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断罪された悪役令嬢ですが、“嘘を一つだけ混ぜたら”全部壊れました ~正しさは、簡単に裏返る~  作者: 空乃エリシア


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第二十九話 あなたが作った断罪

 ――次は、そうしよう。


 その言葉が、落ちた瞬間。


 場のすべてが、静まり返った。


 逃げ場はない。


 隠れる場所もない。


 完全な対面。


 わたくしは、ゆっくりと息を吐いた。


「ええ」


 微笑む。


 崩さずに。


「そうなさってください」


 短く。


 だが。


 はっきりと。


 リュシアンの目が、わずかに細くなる。


 そして。


「では」


 彼が言う。


「こちらからも、確認させてもらおう」


 一歩、前へ。


 距離が詰まる。


「お前は、何を根拠に“こちらを崩せる”と判断した」


 問い。


 核心。


 逃げられない。


 だが。


 逃げない。


「簡単ですわ」


 わたくしは答える。


 静かに。


「あなたが“作ったから”です」


 沈黙。


 一瞬。


 だが。


 重い。


「……どういう意味だ」


「そのままですわ」


 わたくしは一歩、前へ出る。


 完全に対面。


「この断罪は、あなたが作った」


 断言。


 迷いなく。


 周囲がざわめく。


 小さく。


 だが。


 確実に。


「証言の順序」


「資金の流れ」


「監査部の介入」


 一つずつ。


 積み上げる。


「すべてが、あなたの意図で“整えられている”」


 間。


「違いますか?」


 リュシアンは、動かない。


 否定しない。


 肯定もしない。


 ただ。


 見ている。


「……仮にそうだとして」


 やがて、彼が言う。


「それが何になる」


 当然の返し。


 だが。


 遅い。


「ええ」


 わたくしは頷く。


「それだけでは、何にもなりませんわ」


 同意。


 だから。


 ここから。


「ですが」


 ほんの少しだけ、声を落とす。


「“一つだけ”足りませんでしたわね」


 その瞬間。


 彼の目が、わずかに動く。


 初めて。


 はっきりと。


「……何だ」


「簡単ですわ」


 わたくしは言う。


 ゆっくりと。


 確実に。


「“動機”です」


 沈黙。


 完全に。


 場が止まる。


「この断罪は、完璧でした」


 続ける。


「証言も」


「証拠も」


「状況も」


 すべて。


「ですが」


 一歩、踏み込む。


「“なぜ私だったのか”がない」


 その一言で。


 空気が、変わる。


 完全に。


 リュシアンの表情が、わずかに変わる。


 初めて。


 明確に。


「……それは」


 言いかける。


 だが。


 止まる。


 わたくしは、逃さない。


「答えられませんわね」


 静かに。


 だが。


 鋭く。


「なぜなら」


 間。


「“壊しやすかったから”ですもの」


 その言葉で。


 すべてが、繋がる。


 周囲がざわめく。


 大きく。


 抑えきれずに。


「身分も」


「立場も」


「孤立も」


 一つずつ。


 並べる。


「あなたにとって、最も“都合の良い駒”だった」


 断言。


 完全に。


 逃げ場はない。


「……」


 リュシアンが、黙る。


 ほんの数秒。


 だが。


 それで十分。


 答えだ。


「そして」


 わたくしは続ける。


「その“都合の良さ”を隠すために」


 ゆっくりと。


「断罪という形にした」


 沈黙。


 完全に。


 崩れた。


 構造が。


 音を立てずに。


 だが。


 確実に。


「……なるほど」


 やがて。


 リュシアンが、静かに言う。


 否定しない。


 逃げない。


 それが、彼。


「そこまで読んだか」


 その一言で。


 すべてが確定する。


 ざわめきが広がる。


 完全に。


「では」


 わたくしは、微笑んだ。


 変わらずに。


「確認は終わりですわね」


 そして。


 一歩、引く。


 ほんの少しだけ。


 だが。


 意味は大きい。


「次は」


 間。


「あなたの番ですわ」


 その一言で。


 構図が、完全に反転する。


 断罪される側。


 それが。


 彼になる。


 リュシアンは、ゆっくりと目を閉じた。


 ほんの一瞬。


 そして。


 開く。


 その目は。


 もう、揺れていない。


 だが。


 ――終わっている。


「……見事だ」


 短く。


 それだけ。


 だが。


 完全な敗北の認識。


 わたくしは、微笑みを崩さなかった。


 ――ええ。


 これで、終わりですわ。

ついに決着です。


断罪がひっくり返り、構造そのものが崩れました。

そしてレティシアは「裁かれる側」から「裁く側」へ。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次は最終話、余韻と関係の答えになります。


面白いと感じていただけたら、ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。

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