48. 内線と放送
本格的に、風邪をひいてしまった
鼻風邪だ。
やる気、元気、根気。
鼻水が止まらない。
流れるように鼻から出る、鼻水。マスクを越境するのは、時間の問題だ。同時に涙もでる。目だけ見ると、うるうるな、瞳だ。化粧も剥がれてきた。悲しすぎる。
「ハッ、クション!ク、ション!」
ヤバイ、クシャミまで出てきた。ズルズル...
只今、セルフレジ業務中。客は待ってくれない。
「ピンポーン」
「はーい!年齢確認、解除します」
「これ、間違えてしまって、返品していいですか?」
「はい。商品取り消しします。」
「すいませーん」
あれ?
サービスカウンターへ、お客さんだ。誰もいない。どーしていないのだ?売場案内かな?
仕方ない、避けては通れない、放送での呼び出しだ。今まで?放送は回避してきた。今日は無理だ。誰もいない。見あたらない。
「少々お待ちくださいませ。担当者を呼び出します。」
「あなたでいいのよ!商品券が欲しいのよ?」
なおさら、私が出来るわけない!商品券なんて無理だよ。私がボケーッと、してると思ってるなら、大間違いだよ。と、言い返したい。とにかく、呼び出しだ。ずーっと前にセルフレジ研修と同時に教えてもらったのだ。ただし、一回もしたことかがないのだ。理由は簡単だ。用事が単純になかったのだ。
私の虎の巻。メモ帳から放送番号を見る。セルフレジから、放送するには、ガラゲーが子機になっている電話から呼び出しで放送だ。
よしよし。心落ち着かせて、気合いだ。
店内放送デビューだ。ピン、ポン、パン、ポン!
「従業員のお呼び出しを致します。サービスカウンター担当…」
○○サンと、呼び出す予定が、あれれ?誰が今の時間、担当なのだ?私、出勤して来たとき誰に挨拶したんだ?誰だ?お、思い出せない。適当に挨拶したからなぁー。放送中なのに間が空く。呼び出したいのに、呼び出しが…焦る。困る。なんて放送したらいいのだ?考えろ、考えろ、うん、よし、
「サービスカウンター担当の方?サービスカウンター担当の方。サービスカウンターまで至急、」
ヒゥア、クシャミが出そうになった。ガマンだ。息を吸ったら絶対にでる。
「フオ、お戻り下さい。」
息を吐きながら放送して、ブツ切った。
「ヒッ、クッション!」
ギリ、セーフだ。自分で危機回避できた。担当者忘れたけど、担当者呼び出しできた。クシャミも放送を早々に切り上げたから…大丈夫だ。うん。やりきった。上出来だな?
「只今、担当者が来ますので、今しばらくお待ちください。」
どうだ!完璧だ。
「クッシュン」
ズルズル...寒気がしてきた。エアコンが強いのか?発熱か………イヤ、イヤ、病は気からだ。私は元気だ。仕事だ。
「すいませーん、この商品値段がありません、」
えー?ドレドレ?メロンだ。シールが取れたのか?メロンはよく贈答品になるので、軽く値段が貼ってあることが多いのだ。うーん、電話で聞くかなぁ?サッキ放送してから、とても便利なことがわかったのだ。
「少々お待ちください。値段を調べます。」
メモ帳から、番号を調べて内線で青果に聞くのだ。ガラゲー子機は役に立つ(笑)
「モシモシ、青果サンですか?セルフレジです。すいませーん。メロンおいくらですか?値段剥がれてます。教えて下さい。」
「1500円でいいよ」
「北海道産の○○メロンです。箱入り2個です。」
「うん。税込1500円で、」
「ありがとーございます。」
値段を打つのだ!
「安すぎる!」
ジロリ!
にらまれた。えーっと、
「先ほど、値段は電話にて、確認しましたのでご安心下さい」
安いのか?メロン?確かに、単純に1個千円以下だ。うーん?電話で聞いたよ?お客さんは高いメロンを所望してたのか?安いメロンだと困ったのかな?私は、言われたことしか出来ないのだ…
「ありがとーございました」
ズルズル...セルフレジは結構お客さんと話す機会が多いのだ。鼻水でマスクと顔が、大変だ。ティシュはどこだ?どこだ?
サービスカウンター担当、山本サンから箱ティシュを貰った。さすが、気が利く。これで、鼻をかみまくる。
「ハッ、クシュン」
ズルズル…
もう夜だ。
只今、まさかのサービスカウンター業務中。
業務中と、カッコいい事をいったが、立っているだけだ。1番のためピンチヒッターなのだ。暇な時間帯だから、客は来ないだろう。と、思っているのだ。
だーれも、本当にいない。仕事してます?感じで汚れてもいないテーブルを拭く…そして、すぐ終わった…。ボケーッ…
「あれ?カウンター業務出来たの?」
顔見知りの従業員にきかれた。
「まっ、あ~ねー。トップシークレットです」
真顔で伝えた。
「ハッ、ハハハわかった(笑)誰にも話さないよー」
いえ、いえ。話して貰って大丈夫。マスコット的な感じで、働いているのだ。
「すいませーん。両替して下さい。」
両替?やった。できる!
「はい。」
「すべて100円にして下さい。」
「はい。」
ジャラジャラ。簡単。簡単。
カウンター業務なんて、バリバリ出来る気がしてきたぞ。完璧。フフフ、鼻が高くなってきた。
「すいませーん、タバコ下さい。」
「はい。」
タバコ。これも出来る。ピッとして、お金を貰ったら、終わりだ。なんだか楽しくなってきた。完璧。
「コレ、郵送して下さい。」
「はい。」
調子にのって返事をしてしまった。訂正だ。できない、できない。ムリだ。
「すいません。しばらくお待ちくださいませ。」
ジーッと私に熱い視線が…。アッ、私が手続きすると、期待されてる?
「すいません。ハッ、クション!私、出来ません。担当者が、ヘッ、クション!呼び出しします。」
ピンポン、パンポン!
「サービス…」
クシャミが…
「ヒッ」
ブツ!…切ってしまった。
ジーッ視線を感じる。
クシャミがでる。そもそも、呼び出ししても、トイレ中だった。
ジーーーーッ。
し、視線が、説明が必要なのか?目を合わしたら最後だ。会話が必要だ。カイワ?
目を合わせず?
熱が出てきた。自分でもわかる。思考も…おかしくなってきた。
「お待たせしましたー。」
あっ、バトンタッチ。帰ってきた!
私も、帰る時間だ。
では、では。帰る前に店長に挨拶するかな?
「モシモシ、店長ですかぁー」
ハッ、内線を無意識に押してしまった。緊急でもないのに、調子こいた!
ただの挨拶に内線はダメだ。
「ヘッ、クション!」
耳元でクシャミまでしてしまった。アーー考えろ、考えろ、
「大変失礼しました。発熱のため、電話で失礼します。お先に失礼します。さ、ようなら…。」
終わった。
明日も、がんばるぞ!




