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勇者連盟vs道具屋連合⑦

 チマミカはなんでも、ホップの名産地なのだそうで、要は地元で育てられた原料を使ったビールが有名。あちらこちらに酒場があって、夜になるとそこら中で宴が始まる。特別なことではなくて、チマミカでは日常。そんなチマミカだから、コロッセオの観客もビール片手に闘技観戦というのがお決まりだった。

 町の規模もコロッセオの大きさもラバツマと比べると一回りも二回りも小さいチマミカ。人口も少ないし、闘技会も毎日の様に開催されるラバツマに対して月に数日だけ。そこに伝説人が来るとなれば大盛り上がり間違いなしだ。

 誰しもがビール片手に選手入場を待っていた。満席のコロッセオ、ここまでは想像と寸分違わぬ光景だった。けれども会場は思いの他、落ち着いた雰囲気だった。もっとこう、耳をつんざく騒音の様な銅間声で歌でも合唱しているのではと沈んでいたが、盛り上がっていないのではと誤解してしまうくらいに静かだった。誰もがソフトドリンクを飲むのと変わらぬ風でビールを飲んでいた。老若男女、子供までも。えっ?小さな、それこそフィオと同い年くらいの子供が、プラスチックのコップを両手でつかんでビールらしきものをゴクゴク飲んでいた。訊いて確かめられるはずもなく、でも色からしてビールだよな。大丈夫なのだろうか。

 欲望に勝てず、闘技が始まる前に俺も売店に並んでいた。魔王だって喉は渇く。周りでおいしそうにビールを飲まれては、ビールが恋しくなる。チマミカ自慢の名物を食してみたくなってしまう。そこで謎が解けた。ちゃんと子供用のビールが売っていた。ジュースと言っていいのか、ノンアルコールビールと呼ぶのか知らないが、チマミカの子供達は大酒場の名に恥じぬ支度を済ませているようだ。子供用ビール、そしてアルコール度数別に区分けされたビールが販売されていた。3パーセント、5パーセント、7パーセント、10パーセント。加えて炭酸の強度まで選べるようだ。こちらは弱・中・強の3段階。自分好みの組み合わせで楽しめるのかと感心してしまった。少なくとも俺の故郷ではこういうシステムはない。ということで、俺はアルコール5パーセントの炭酸強度・中を購入して席へ戻った。

 

 闘技開始直前、観客席も盛り上がってきた。ラバツマよりも上品な応援と言えばいいのだろうか、お酒が入っているとは思えない綺麗な声援だった。

 まずは西門より、道具屋連合・鳳仙花(ほうせんか)所属『魔抗邪倒(まこうじゃとう)』が入場。これまで見てきた傾向だと人間4人のパーティーが一般的だったが、こちらは人間3人とモンスター1体のチーム。職業柄と自作の創造物ということもあり、どうしても後者ばかり注目してしまう。ゴーレムか・・・当たり障りがないなんて言ったら怒られそうだが、使い易い仲間モンスター。役割は明確。ゴーレムを盾役にして、他の3人で攻撃を行うという算段かな。

 お次は東門。伝説人が姿を現した。いつも通り先頭がクォーダ、続いて運び屋、最後尾に蓑口さん。最初は何か判らなかった。新手の武器かと思ったが、よくよく見てみて驚いた。後ろの2人は普段通り。問題は先頭だ。あろうことか酒を飲みながら入場してきた。しかも俺達の使っているプラスチックコップではなく、どこで売っているかは知らないが、馬鹿でかい深紅の盃だ。あちらこちらに零しながら、飲みながら、のっしのっしと登場だ。酔えば酔う程に強くなるなんてアビリティーがあるはずもなく、ただ欲のままに飲んでいるだけだろう。緊張感の欠片もない。何なら1度ボコボコにされた方がいいんじゃないだろうか。

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