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勇者連盟vs道具屋連盟⑤

もう少し探ってみるか。そう思い、ラバツマ滞在5日目。そろそろ飽きていたし、もう何も収穫はないだろう、そう思っていたところに事件というか、サプライズというか、甲斐があったな、と。

 西門より現れた竜舌蘭の『仮面紳士』。対するは勇者連盟の『伝説人』?運の悪いことにアナウンスが流れた際、お茶を口に含んでいた俺。飲み込むことができずに喉に詰まらせ咽せ返り、回りから白い眼で見られてしまった。すいませんとペコペコしながら、視線だけは闘技場を注視する。すると出てきた、出てきた。先頭はクォーダ、続いて柳で蓑口さん。そこにラビを加えたパーティーが本来の姿なのだろうが、彼女はお菓子屋で多忙な日々を送っている。どうやら、4人チームに対して3人で挑むようだ。

 アナウンスによると伝説人は史上最強、地上最高のパーティーだそうで、これがラバツマでの3戦目。その他の闘技場でも9戦を行っており、いずれも圧勝。5分と持った対戦相手がいない。その勝利の度にファンを拡大し、彼らの圧倒的強さから賭けが成立しないという。コロッセオは完全に運び屋達のホームグラウンドと化していた。懐かしさや喜びもあった。ただ、今にも口を突きそうな一言は・・・・・・何をやっとるんだ、あの人達は?

 試合開始とともに敵陣へ突っ込んでいくクォーダ。公園ではしゃぐ子供みたいに活き〃としているのが遠目からでも伝わってきた。ちなみに竜舌蘭の仮面紳士も勝率の高いパーティーと言うことで、決して弱くはないとのこと。どこまで食い下がれるかが見物なんだとさ。だから伝説人にぶつけられたのだろう。

 クォーダは身の丈ほどもある斧を敵陣で振り回し、相手4人全員にダメージを与えた。特技ではない。あのデカい斧の特殊攻撃か装備しているアクセサリーの効果だろう。通常攻撃が全体攻撃と化している。ちなみに運び屋と蓑口さんは、その様子を初期位置から動くことなく伺っていた。ということは、だ。そら、見ろ、言わんこっちゃない。クォーダが袋叩きに遭う。近接から魔法まで、漏れなく全て。一連の攻撃で巻き上げられた土埃が狂戦士の姿を覆い隠す。他の者は霧の晴れ間を覗かんとする。じっと待つ。そして現れるは仁王立ちのクォーダ。全くの無傷という訳ではなかろうが、左肩に斧を乗せ、空いた右肩をグルグル回しながらのっしのっしと敵に接近する。表情までは確認できないが、半笑いってところかな。お~、こわっ。

 クォーダが繰り出したのは初弾と全く同じ攻撃だった。巨大な斧を振り回す。それで相手全員に致命傷を与えられれば申し分ないのだが、仮面紳士も弱いパーティーではない。4人ともダメージは受けても、戦闘離脱はせず。そしてまたもやクォーダが袋叩きにされるかと思いきや、今回は運び屋が動いた。砂埃を置き去りにして敵陣の懐にもぐりこんだかと思いきや、瞬く間に追撃を果たした。一般人では運び屋が何をしたか見えなかっただろう。かと思うと、運び屋がすぐにその場を離脱。直後、蓑口さんの攻撃魔法が仮面紳士の4人、と、伝説人の狂戦士を巻き込んで大爆発を起こした。この一発で勝負あり。

 前評判通り、伝説人の圧倒的勝利なんちゃらかんちゃらとアナウンスが入っている間、運び屋は手を振って観客の声援に応え、クォーダと蓑口さんはずっと口喧嘩をしていた。この2人は感付いていないはずだが、目を合わされた気がした、運び屋に。


 間に合うだろうか。闘技終了後、俺は人混みを縫って選手控室へ急いだ。別に驚かせてやろうとか、戦いに感激したとか、思い出話を、なんてことではない。どうも、魔王ですなんて改めて自己紹介するつもりもない。一言、何をしているんだ、と。目的は何だ、と。それと、元気か、と。ラビがお菓子屋を始めたから、顔を出してやってくれ、と。

 3人がどんな闘技を見せてきたのか、伝説人は鬱陶しいほどのファンを獲得してしまっていた。

「うわ~・・・マジですか・・・・・・」

誰にも届かないくらいちっちゃく、わざと声に出した。出待ち、という奴だろうか。男女混合、伝説人を一目見ようということらしい。その最後尾に俺も混ぜてもらうことにしたが、結局は無駄足になってしまった。伝説人は転送魔法を使って消えてしまった。どこからかそんな話が伝言され、群衆も次第に散り〃になっていった。さぞかしブーブー文句を垂れるのだろうと訊き耳を立てていたのだが、面白い話は訊こえなかった。全てが肯定的。やれ柳のスピードが、やれ蓑口さんの法力が、やれクォーダの馬鹿力が・・・彼等の言動に無条件で賛同する。どうやら伝説人はいつの間にやらカリスマになったようだ。それとも俺が知らないだけで、元々カリスマ的な存在だったのか。どちらにしても、姿を隠していた神が地上に降り立った。運び屋が何かを始めたことは確かだろう。何か?いや、違う。何かなんてことはない。勇者の、至純の勇者の目的は決まっている。

 さて、掲示板には御親切に闘技会のスケジュールが張り出されていた。伝説人の次の試合は2日後、大酒場『チマミカ』という町で行われる。そういうことなればすぐにでもチマミカへ、ということでも良かったのだが、寄り道をすることにした。魔王になってから移動時間というものを考えずに済むので、何をするにしても時間に余裕が持てる。最上位の転送魔法のおかげで、どこへ行くのも一瞬だ。さて、寄り道についてだが、道具屋の時からずっと、いつかはと、手段や方法などは深く考察せずに漠然と、眠る前に描いた夢か希望か妄想の様な祈りを、叶えることにした。うどんを食いにクゴートへ。

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