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勇者連盟vs道具屋連合④

 俺は今、『ラバツマ』という城下町にいる。既に2泊。久々の地上、そして日の光は心地良かった。魔王にも太陽は必要なのだ。それと、風。多少、埃や砂が舞い上がっても構わない。気持ちの良いものだ。さて、10日前にラストダンジョンを出発して情報収集に汗を流す。俺が道具屋として通ったルートとは別の道を進んでいるのだが、全く未知の世界が広がっていた。

 まずは万屋として頭の中に入れておくべきこと。例の紋章、派閥に関してだが、道具屋連合の派閥は全部で4つの団体に分かれていて、最も多くの勇者と契約しているのが『秋桜(こすもす)』。幅広い地域に店舗を出店しており、4団体の中で最も大きな組織である。武器、防具、道具にアクセサリーと、どの分野も品質の高い商品を扱っており、顧客からの信頼も厚い。道具屋のスタンダード、それが秋桜である。

 続いては『白百合(しらゆり)』。こちらは定期的に特売を行うことで客を集めている。秋桜同様に武器、防具、アクセサリーを扱っているのだが、殊にアクセサリーの評判がすこぶる良い。特殊効果を付与するアクセサリー、その品揃えが豊富だということは、目的に合わせた特殊効果を選択しやすいということ。攻撃力アップも良し、属性強化も好し、最大マジックポイント上昇も善し。好みのアクセサリー探しは楽しいに違いない。近々DM(ダイレクトメール)の類を始めるという噂も耳にする。

 第三勢力の『鳳仙花(ほうせんか)』は24時間営業の店。しかも昼と夜とで品揃えが変わるという。会員制を取っていて、会員になると夜の店でも買い物ができるそうだが、年会費もかかるようになる。訊く所によると、魔導士系が重宝するアイテムが多いとのこと。

 そして『竜舌蘭(りゅうぜつらん)』。最も小規模で店舗数も圧倒的に少ない。その看板を見たことのない冒険者もいるかと思われる。取り扱うモノは武器のみ。高い、少ない、開いていない。値段は法外、品数はちょっとだけ、店舗があっても営業していないなど、小売業としてはとんでもないのだが、その商品は見たこともない武器。是非1度は利用してみたいと思うのが人の性だろう。

 

 ラバツマは最大規模の『闘技会』が開催される町として有名だった。俺がこの町を訪れた理由もそこにある。闘技会。闘技会―道具屋と契約した勇者一行、すなわち4種のいずれかの紋章をまとう勇者一行(俗に紋付と呼ばれている)と、魔王討伐を目指す勇者達の力比べ。4対4の戦闘でモンスターも参加可能だが、その際は人間と交代しなくてはならない。馬車の中の待機組は見学だ。ヒットポイントが1になったら強制退場ということで敗れても死ぬことはないが、手持ちのアイテムの中から相手に好きなものをひとつ取られてしまう。また、勝利チームは国王から褒美のルナが授与される。何回負けても闘技会には参加できるのだが、負ける度にせっかく手に入れた貴重な道具を持っていかれてしまうので、そこはやはり考えものである。

 人混みというものに慣れていない俺は、ちょっとばかし気持ち悪くなっていた。人が多い。こいつは予想以上だ。どこを見たらいいのだろうか。上、ではない。それでは誰某構わずぶつかってしまう。やはり正面かとおもいきや、そうすると見知らぬ人々と次々に目が合う錯覚に襲われた。冷眼視されているのではないかと。これも違う。では下。足足足・・・・・・それが動く動く動く動く。隙間から覗く地面なぞごく僅か。気分が悪くなっても致し方あるまい。早く慣れなくては。


 コロッセオは人で溢れていた。その理由は目の前で人知を超えた戦いが観戦できるから、だけではない。賭けが成立しいるから。ラバツマの税収の7割がこの闘技会関連によるものだというのだから驚きだ。

 「お~待たせ致しました!まずは西門より、白百合連合所属、『疾風迅雷』の登場だー!!」

まるで祭りだった。御大層に実況付きで勇者達が紹介される。会場は大盛り上がり。歌詞はよく聞き取れないが、応援歌みたいなものまで合唱されている。

「続いて東門より勇者連盟、『朧月』ー!!」

こちらにも同様の拍手喝采。だだっ広い円形闘技場の中央に8人の冒険者が集まり、闘技開始となった。


 その日は合計4試合が行われた。俺を脅かす程の実力者はいなかったが、何なら8人全員を相手にしたところで負ける要素は見当たらなかったが、ひとつ驚かされたことがあった。闘技開始直前に、観客席を覆った結界。観戦者は主に一般人だから、その身の安全確保の為だろうが、これが強力だった。もしもひとりで作っているとしたら大した法力だし、複数人だとしてもなかなか作れ代物ではない。俺としてはこっちの制作者の方が気になるのだが。

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