ちょっと昔話を➁
「なぁ~柳・・・戦闘中、私はまだ何もしちゃいけないのか?いい加減暇だぞっ、退屈だっ、眠たくなるっ。」
「もう少し我慢して下さい、ラビ。マジックポイントはできる限り温存しておきたいのです。ラビの法力はとっても貴重なんですよ。」
「いつまで温存するんだ?」
「そ~ですね~・・・・・・」
勇者様、形無しである。このパーティー、どうやら勇者の立ち位置は最下層のようだ。
「戦闘がクォーダと私で間に合っている内は―」
「え---!!ずっと間に合っちゃうじゃないか-!」
「いやいや、そんなことないですよ。もう少し地下に降りたら助けてもらいますから。」
「本当か?」
「はい、その時は宜しくお願いします。」
「あと何階地下に潜ったら私の出番だ?」
「え~・・・っと。そう・・ですね~・・・・・・」
勇者、弱ぇ~な~。
地下20階。ラビの節約は継続中。ラビは不満爆発寸前かもしれないが、続けることができていた。実際強いのだ。柳もクォーダも。ラビだって攻撃以外の魔法も少しは使える。直接攻撃をすれば僅かながらダメージを与えることはできる。でも唱えさせない。攻撃させない。戦闘中は身を守らせるだけ。その指示に背かないラビというのがこのパーティーの関係性である。蓑口もアイテムを使ってヒットポイントの回復に努める。味方全員のヒットポイントを中程度回復できる『賢者の石』。しかも何度使っても壊れない。無くならない。マジックポイントを使うことなく態勢を整えることができる貴重なアイテムだ。この作戦が実行可能な理由それは、柳とクォーダが強いのだ。これでもかという程に。剣を操る柳。斧や棍棒の類に特殊武器を振り回すクォーダ。ここまでは2人で十分。
「ま-、広いからな。それなりにアイテムは落ちてやがるな。」
クォーダが満足気に宝箱を開ける。珍しく言われたことを守っているかと思いきや、中身が武器でないと判明するとそのまま立ち去ってしまうので、その場合は結局、中身の回収を他の3人が行うことになる。
「そうですね、助かりますね。特に武器や防具が強力な物に恵まれると、ダンジョンの難易度が随分と下がってくれるのですが―」
「駄物しか出てこなけりゃ魔法で入口に戻りゃいいんだろう。そうすりゃ、宝箱の中身もリセットされる。」
「そうですね・・・焦らずのんびりいきま―おや、またいらっしゃいましたか。」
「今度は楽しめるといいがな。」
『ダークサーベルタイガー』2体。『地獄の門番』1体。さすがはラストダンジョン地下20階。魔王城のモンスターと比較しても数段上のレベルだ。
「おお!初めての奴だな。蓑口っ。」
クォーダが嬉しそうに、背後の賢者に声を掛けた。
「はいはい。ちょっと待ってて。」
そう言って『モンスター図鑑』を取り出した蓑口が、程無くして分析結果を両者に伝えた、簡単に。
「虎はスピードタイプで、鬼はパワータイプ。ヒットポイントは520と810。スピードは柳が上、パワーはクォーダが上。以上。」
「了解しました。」
「ま~た雑魚かよ。」
この戦闘も2人で切り抜けるようだ。




