独りじゃない④
ライバル店へ向かう途中に酒場もあったのだが、準備中だった。まだ昼過ぎだからな。寄るとしたら仕事帰りか。それと、ライバル店の隣には小さな公園があった。数人の子供達が砂場で遊んでいた。懐かしい、俺も山とか川を作るのは得意だった。政樹は下手くそで、いつも川に水を流す係りをやっていたな。
視線をライバル店に移す。客の動きも含めて、しばらくの間様子を見たい。遠目で構わないのだが、直立不動で待っていても怪しまれる。なんだかんだで昼過ぎ、小腹が空いた。近くに軽食屋でもないかと探してみると、『渡り鳥に味の思い出を。名物ソフトクリーム!』。こいつはいい。公園のベンチで食べながら眺めることにした。
横の方では大きな砂山にトンネルを開通させんとしていた。微笑ましい光景。そこから本来の目的に視線を移しつつ一口、ソフトクリームを頂く。うん、冷たくて気持ちいい。そして・・・ん・・・・・・?不味い?マズイというより薄いのか?味がしない。買ったのはバニラソフトのはずなのだが、ほとんど無味無臭。全く甘味がない。とても奇怪な感覚だ。舌触りの良い、柔らかい氷を食べているかの様。
客は多かった。ダイヤ・セガタに人が多いのは一目瞭然。比例して利用客が増えても不思議ではない。それでも敢えて言わせてもらおう。何故だ。勇者一行がある程度のレベルに到達すれば回復魔法を習得する。マジックポイントが増えていけば使用回数も回復量も上昇する。そうすれば、薬草や毒消し草の世話になることがなくなる。道具屋に用がなくなるわけだ。実際、オメガの丘では何も買わずに立ち去っていく冒険者もいた。目新しい商品がないかを確認するだけ。
ライバル店。客が立ち寄っただけという可能性もある。薬草や毒消しそうではないはずだ。需要のあるアイテムは何だ。小物だと買ったかどうかが公園からでは見えない。もしかしたら防具か。いや~、でもごっつい鎧や盾を装備している様子は伺えなかった。見に行ってみるか。遠くからでは限界。品揃えは見ておきたい。と、その前に、片付けておくことがある。
コーンも美味しくなかった。申し訳ない、ソフトクリームの話のちょっとだけ戻らせて欲しい。吐き出しておかないと気が済まない。ワッフルではないようだ。パリッともサクッともしていないんだよ。しっとりとしていて、柔らかくてふにゃふにゃ。モナカ・・・かな。よくもまぁ、ソフトクリームを漏らさずにいたもんだ。コーンの部分まで食べ進めると、クリームと一体感がありすぎて何を食べているのか分からなくなってしまった。元々そういう仕様なのか、クリームが染み込んでそうなったのかは知らないが、俺の口には合わなかった。独特なソフトクリームであった。以上。
さて、道具屋。結論から言うと、秘密は分からなかった。ライバル店で見たことのない商品はなかった。単純にダイヤ・セガタの人口が多いだけかもしれない。
よし、寝よう。明日以降、明らかになるかもしれない。




