3.冒険者ギルド
お待たせしました。
中世ヨーロッパのような白い建物の中で、ひと際大きい建物が冒険者ギルドだ。街の入り口に近く、こちらに来た時の噴水からもそれほど離れていない。軒先からは剣が交差したエンブレムが細めの鎖でぶら下がっている。
中に入ると、思ったよりも明るく、カウンターが4つある。それとは別に、大口のカウンターが2つ、テーブルが少々、奥まったところに食堂があるようだ。すでに何席か埋まっており、テーブルの上の料理を遠目で見る限り美味しそうである。
「冒険者ギルドへようこそ。ご登録ですか?それともご依頼ですか?」
「登録を5人お願いします。」
「かしこまりました」
どうやらよそ見をしているうちにカウンター前に出来ていた列が進んでいたらしい。カフワが受付嬢とやり取りする会話で列の一番前に来ていたことを知った。
受付嬢が手元から五枚のプレートを取り出し、カウンターの下から10センチ四方の黒い石の様なものを引き寄せる。
「こちらに一人一枚ずつ、手に持ってかざしてください。各々の魔力を読み取って自動的に登録し、あなた方のギルドカードとなります。ギルドカードは自分のカードしか使えません。身分証も兼ねておりますので街の出入りには必ず提示してください。なお、紛失・破損などされた場合は再発行に100セル必要となりますのでご注意ください。また、ギルドカードには討伐記録や受注している依頼も記載されますが、こちらの各ギルドにて管理している魔道具でないと確認はできないようになっておりますのでご安心ください。」
「わかりました」
一人ずつカードを持ち、黒い石にかざしていく。すると、カードに緑と黄のラインが浮かぶ。おや、何だか見たことのある色合い。そう、例えるなら若葉的な。
「ギルドランクはFから始まります。カードの色は緑と黄。ランクが上がるにつれてE・D・C・B・A・Sとなります。Eランクでようやく駆け出しの冒険者となります。まずはEランクを目指して頑張ってください。
依頼の受注と完了の報告はこちらのカウンターで、薬草や魔物などの素材はあちらの大口のカウンターで買い取り致します。以上で説明は終了です。」
「ありがとうございました」
分かり易く、簡潔にまとめられた説明を淡々と言われると何だか申し訳なく思ってしまうのは私だけだろうか?きっとこの一時間もしない間にかなりの人数の冒険者に同じことを説明したのだろう。喋りすぎると表情筋が死んでいく。
私たちの後ろにも新人の冒険者はたくさん並んでいる。何かないかと思っても、手持ちにあるのはチュートリアルのクリア報酬であるお金と初心者装備、少しの携帯食料に水と…回復薬と名高いポーション。
「あの、…これよかったら」
「え…あ、ありがとうございます…」
「私たち<異邦人>がご迷惑をおかけします。こちらの常識を知らない方たちがほとんどですが普通の人間として向き合ってくださると助かります。」
ポーションの解説を詳しく読まないで手に取り出し、そのまま受付嬢に手渡すと驚きで目を見張りつつ受け取ってくれた。隣にいるカフワも「いいの?」みたいな表情でこちらを見ているが、ポーションはどうせお店で購入できるだろうし、今は目の前の美人を放っておけない自己満足。
オープン初日なら、ゲーマーは冒険したくてたまらないはずだ。きっとろくに説明も聞かずにギルドに登録したら魔物を倒しに外のフィールドへ出かけるはず。聞いてもいない相手に長々とした説明聞かせるのは良い気分じゃないよね。
「…お名前をうかがってもよろしいですか?私はシャルルといいます」
「リーフです。これからよろしくお願いいたします」
「はい、お気をつけて」
受付嬢のシャルルさんはふんわりとした微笑みを浮かべてお見送りをしてくれた。まだまだ登録者が来るけど頑張ってほしい。
さて、次はフィールドで戦闘だ。
「うちの姉ちゃんひとたらし」
「美人同士の微笑みあいは美味しいですもぐもぐ」




