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53.発想は大変だ

 このエッセイ集を書く動機となった『つぶやきのクリーム』で、作者の森博嗣がまえがきにて『頭とエネルギィを使うのは、最初の発想、つまり(省略)』と書いています。


 最初は『それより文章を書く方が大変だろ』とか思っていたのですが、こうして書いてみますと、確かに発想する方が大変だと思うようになりました。


 何について書くか、ということが決まれば後は本当に楽なものです。しかし、それを決めるのが大変です。


 既にこうして第53回を迎えて、52回は何かについて書いているわけです。もう、何だかネタ切れ感がぷんぷんと漂ってきている最近ですが、まあ仕事で書いているわけでもないし、金銭を対価に貰っているわけでもないので思い詰めるということは皆無なわけですが。


 思えば、何かを発想するということは不思議なものです。何か小説を書きたいな、と思った時に私が何を最初にするかというと、ワードを開いて適当に文章を打ち込みまくってみるか、それともウンウンと唸って考え込むか、の二つです。


 どっちの方が面白い物語が思い浮かぶか、とか生産性が高いか、とかは比べたことはないので分からないです。


 しかし、大抵の場合は普段の生活で、ふっと思い浮かんだネタを膨らませて書くことが多いです。それが拡張性の高いネタであれば、書くのは非常に楽なのですが、そうではないと直ぐに書くのに行き詰まる、ということが多々あります。


 もっとも、どんなネタであれ何かしら膨らませることは可能ではある。けれど、それが面白いモノになるかどうか、というと話は別で。


 誰だって小説を書くことはできるけれど、面白い物語を書けるかというと話は違う。それはイラストの領域でも同じで、誰だって絵を描くことは出来るけれど、上手い絵を描けるかというとそれは別の話。


 小説というのも、きっと文章を書くよりもその発想の方が大事で、難しいことなのだと思います。そして、発想が難しいからこそ、そうではない文章を書くことをまずは練習していくべきなのかな、と思います。


 自分は本当に量の書けない人間で、いっぱい書ける人というのを本当に尊敬します。


 いったいどうしたらそんなに書けるのか、と不思議で仕方ないです。自分が今までに書いた小説の文字数を合計したとしても、きっと百万字には届かない気がする。けれど、このサイトには百万字を越える小説がいっぱいある。


 凄いなあ、と思います。


 HDDに眠る数万字程度で放置された小説を眺めて、自分も一つの小説に力を注いでいれば、それだけ書けただろうか、なんて詮無い想像をしてしまう。


 いつか百万字を越える小説を書くことができたらな、そう思います。


 なんか、自分のことなのに他人事みたいですね。


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