勘違い
前回、自分勝手な理由で土地神、白風ことシロちゃんと『従僕の契約』をして私の従僕になってもらい約一週間たちました、主人公の奏です。
人間の勝手で死にかけて、私の我が儘で私の従僕にしてしまいましたが、私はシロちゃんにいくら恨まれても憎まれても契約したことに後悔はしません。私は其れでも命を投げ出すということは絶対に赦しません。
そんな事もあり今はシロちゃんの背中に跨って旅を続けています。
「………何を言っているのだ?」
「ふぇ?」
「先程から契約だ憎むだ恨むだ赦しませんだ、何を言っておるんだお主は?」
「………声にでてましたか?」
「顔を見れば分かるぞ」
「……あぁぁぁぁ!!、シロちゃん、今すぐに忘れてください!!」
「無茶を言うな」
「うぅぅ~、恥ずかしい……」
「何を唸っておるか、それと一つ言っておくが、お前のことは恨みも憎みもしておらんぞ?」
「なんでですか?」
「我はお前のことが気に入ったから契約したのだ。恨み憎む相手の従僕に我がなると思うのか?」
「………ありがとうございます、シロちゃん」
「ふんっ」
照れているのか、その後シロちゃんは何も話しませんでした。
それが私は最高に幸せと感じました。
契約の後、シロちゃんには隠れてもらい、村に戻って山犬はもうあの山には寄り付かないと村長さんに伝えました。村長さんと村人さん達も喜んでくれましたが、まだ問題は解決していないません。
村長さんに山の破壊を止めてほしいと頼んでみたが良い返事が貰えませんでした。
そんな時にシロちゃんの出番です!!
合図を送り山から今私のいる村迄、文字どうり跳んできて貰います。
その時の村長さん達の反応は凄かったですね。今まさに問題になっていた山犬が目の前に降ってきたのだから。
山犬は白銀の天の御遣いの従僕になった。これ以上あの山を荒らすなら、その時は私とこの山犬が天罰を与えると。
天の御遣いとされている私+山犬のおどs……説得で何とか分かって貰えたようですね。あれで山の土地神さんもかなり時間は掛かるけど回復してくれるとシロちゃんがいっていました。
あれから一週間、元道理旅をしているけど、その最中、シロちゃんのスペックの高さに驚いた。
まず、強さ。
私よりとても強い。流石元高位土地神さん!!
スペックは私の方が上らしいですが、経験の差がありすぎます。
高位の土地神さんよりスペックが上って、アリアちゃん…
やり過ぎじゃないですかね!?
シロちゃんに引かれちゃったんどすけど!!
はぁ~。
閑話休題
シロちゃんは強くて、戦うのが上手いです。
黄巾党さんとの戦いの時も圧倒的強さで黄巾さんを倒していました。
次に、私に闘い方を教えてくれました。
アリアちゃんから貰った力が如何に凄くても、武器の使い方を理解していても、やはり私の闘い方にはムラが在るそうです。
この一週間、徹底的に大鎌の闘い方を教えてくれたお陰でかなりレベルアップ出来たと実感出来ます。
最後に、氣の使い方を教えてくれました。
これには流石の私でも驚きました。
……シロちゃん、どんだけ万能なんでしょうね?
まぁ、兎に角、シロちゃんのお陰で氣の使い方をマスター出来ました。何でも、他の修行の片手間で一週間足らずで習得できる物ではないそうです。
この時からシロちゃんは、私が人間では無いと思ったみたいです。
まぁ、出来ちゃったので良しとしましょう。
今では身体の内側と外側に氣を巡らせて堅くする事や身体全体に氣を巡らせて更に身体能力を上げたり、脚から氣を噴射?して二段ジャンプができたり、武器に纏わせて威力を上げたり斬撃を飛ばしたりともう、フィクションの世界になっています。(ビームを打てたと大はしゃぎでした)
こんな何年も掛けてようやくできるという事をたっ
た一週間でできてしまった、そんな一週間だったのでした。
―――――
―――
―
「奏、街が見えたぞ」
「街ですか」
今までこの世界に来てから小さな村々しか訪れていないので、三国志の世界の『街』の想像がつかず少し楽しみです。
「シロちゃん、街まで全力疾走!!」
「其れは良いが、お主が街に居る間、我はどうすればよいのだ?流石に街までは我は入れまいぞ」
「う~ん、……どうしましょうね?」
「考えなしか……」
「……シロちゃん、空とか飛べませんか?」
「無理だ。お主と契約したばかりで我の力もある程度安定しておらんのだ。流石にまだ空は飛べん」
「そうですか~、う~ん、町の外で待ってて貰えますか?」
「致し方ないの」
「済みません」
「気にするな」
「其れでは少しの間待っていてください」
奏は街から少し離れた所で白風から降り、白風を林に隠し街へ向かうとします。
「委細承知。何かあれば我が名を呼べ」
「委細承知!!其れじゃあ行ってきま~す!!」
――――――
――――
――
「何かあったのでしょうか?」
街に着いた奏の第一声これだった。特に民家が荒らされている訳でもなく、廃れている訳でもないのですが
「人がいない」
一人として、人間、果ては生き物の気配かまるで感じません。
いや、三人ほど私の近くに気配を消して隠れていますね。
とっさに大鎌・夢幻を召喚し構ます。
次の瞬間――
ガキンッ!
咄嗟に夢幻で突き出された拳を防御する。
「!?」
攻撃が防御されると思っていなかったのか、動揺が見て取れたさます。そして、一度間合いを取り一言
「貴様、黄巾族の者か!?」
……はい?
いきなり黄巾族?と勘違いされ攻撃をされましたが、大体の状況が理解できました
「あの~」
「なんだ!!」
「私、黄巾の者じゃないんですけど……」
「ならば何故この街に来た?」
「ただ旅の途中に立ち寄っただけなんですけど」
「本当か?」
「はい」
「凪ちゃん!まってなの~!」
「待ちいや凪!」
攻撃してきた子と変わらない子が叫びながら私達に近付いてきました。
「沙和!?真桜!?」
「このおねーさん、黄巾族じゃないの!!」
「そや、体の何処にも黄色い布身に着けてないやろ」
「………」
痛々しい沈黙の後、私を黄巾族と勘違いした女の子は瞬間的に――
「申し訳在りませんでした――――!!」
土下座した。
……なぜか最近女の子に土下座されることが多くなってきている今日この頃(泣)
何だか訳もなく悲しくなりました…