Chapter 4 重税
食事が終わる頃、村長が家を訪ねてきた。
見知らぬ大男が村にやってきたというので、一応確認に来たらしい。父親から事情を聞くと、村長の警戒は薄れた。
村長が家に入り、ユーグの真向かいに座る。
「驚かれたでしょう? 客人に出せるものが、これくらいしかない」
ユーグが空になった椀を見る。
「食い物、足りてないのか?」
村長が暗い表情で答える。
「……ええ」
「なんで?」
「…今年は収穫がよくありませんでした。それに――税も」
「税?」
「自治政府へ納めるものです。主に麦ですな。ここ数年、少しずつ増えていまして」
「なぜ増えている?」
村長は口元に手を当て、少し考える。
「自治政府に納める税は、増えていないのでしょうな」
「どういう意味だ?」
「自治政府が発行した納税証書に書かれた量と、お役人に渡した量が一致していないのです」
「差はどこへ行く?」
「……さて、それは私の方では何とも」
「あと、税とは別に色々と持っていかれますが、それも書かれてはいません」
「なぜだ?」
「……供応、とのことです」
ユーグは少し目を細め、何も言わない。
「皆、分かっているんです」
村長が、絞り出すような声で続ける。
「このまま政府に従っていては、いずれ村はなくなる」
「かといって、税を拒めば……戦になります」
少年は父親を見る。父親は目を伏せている。
再びユーグが尋ねる。
「では、どうする?」
「……それが」
村長は膝の上で拳を握ると、俯きながら答える。
「決められません」
「……そうか」
少年は、少し拍子抜けした。この、熊も撃退できるほど強い男なら、何かすごい答えを知っているような気がしたからだ。
しかし、ユーグは何も言わなかった。
その夜。
ユーグは、少年の家に泊まった。




