2 医者が「直美」によって不足している問題
質問者:
年金については自己積立制度にする事で大きく改善しそうだという事は分かったんですけど、
健康保険については若い方はあまり病院にかからず高齢者の方がかかりやすい傾向にあることは間違いないので、この点は賦課方式でもやむを得ないのではないでしょうか?
筆者:
そうですね。健康保険については賦課方式でもやむを得ないと思います。
ただ、それでも現行制度・体制に問題があることは間違いありません。
質問者:
筆者:
それはチョコビです! (珍しくこっちが突っ込む側だ……)
直美というのは医学部を卒業し、2年間の初期臨床研修を終えた直後に、十分な専門医研修や一般診療の経験を積まず、直接美容医療で開業してしまうことを言います。
https://www.doctor-vision.com/dv-plus/column/money/biyougeka-25.php
質問者:
筆者:
美容外科医療と言うのは保険適用が効かない「自由診療」になります。
そのために保険診療とは違って採算が合うように自由に価格を設定することが出来るんです。
本来であれば自由診療は患者が全額負担するためにお金を払うことは出来ません。
しかし、「美容にならいくらでもお金をかけられる!」という若い男女が増えているんです。
場合によってはコンプレックスの解消に繋がり、人生が豊かになるので「コスパが良い」と言う考え方になりがちなんです。
男性すら医療脱毛などが流行っているのが現状ですから「高いお金を払ってでもやりたい」という「需要」と言うのも存在しているんです。
そして、開業しているのであれば週1日や2日休みを設定することも出来ます。
その上で美容治療は高度な美容整形を除けば意外とそんなに高度な技術が必要でないことも多いです(例えば脱毛なら看護師さんでも出来るレベル)。
質問者:
だから、「男の医療脱毛」などの宣伝も頻繁に見るわけですか……。
筆者:
それに対して勤務医は緊急対応の当直などもあり、勤務時間が不規則かつ長時間になりやすいです。
その上で初期研修を終えたばかりでは年収は300~400万円ほどでしか無いとも言われています。
医師は「過労死ライン」の週80時間を超える方が全体の37.8%に到達、1824時間方が全体の10%も存在しているようです。
https://toyokeizai.net/articles/-/865899?display=b
400万と聞くと初任給では高い印象がありますが、激務の上にそれまで医学部に受験・投資してきた金額が違い過ぎるので回収が遅くなります。
そのために「稼げる上に楽」な「直美」に陥ってしまいがちな構造にあるんです。
現状、わざわざ勤務医を選ぶのは「やりがい搾取」をされに行っているようなものだと思います。
この構造を少しでも防ごうと2026年施行の健康保険法の中では管理者要件(つまり開業要件)について「保険診療5年が必須化」されました。
質問者:
確かにそのような様相であれば改善策を講じなければいけませんね……。
筆者:
ただ、先ほど紹介した「保険診療5年が必須化」では全く解決しないことが予想されます。なぜなら当直医が激務であり、美容外科が稼げるという構図は全く変わっていないからです。
そのために今後は「5年保険診療してから美容外科で開業する」と言う構図に変わるだけになるでしょう。
この40年間で医師の数は16万だったものが34万と2倍以上に増えたそうですが、「無医村」と呼ばれる日常的な診療を行う医師が定住していない地域は557地区、32町村あると言われています。
岩手県や新潟県など県の面積が広く気候が過酷な地域が無医村の地域として多いようです。
質問者:
筆者:
結局のところ地方では「採算が合わない」これに尽きると思います。
高齢化率が高い過疎地域ほど無医村になりがちだと思うんですが、その村の割合としては医療を受ける方は多いものの、「絶対数」としては少なくなります。そうなると、「週2回出張で医者が来る」みたいな感じになりがちになるんです。
しかし、美容外科医は「自由診療」であるため、診療報酬に上限を設けることは合理的とは言えないでしょう。
ただ、保険の点数を各治療で上げるとなると今度は健康保険料を上げなくてはいけなくなると言うジレンマが出てくることでしょう。
質問者:
今はAIの精度も上がっているのでAIによる診断、あとはリモートによるオンライン診療と言うのも出来るような気もするんですけど。
筆者:
大阪公立大学大学院医学研究科の研究によると、
『生成AIの診断能力について2018年6月から2024年6月までに発表された83報の研究論文を用いてメタ解析を実施しました。その結果、専門医は生成AIよりも診断精度が15.8%高く、有意差がありました。しかし、生成AIの平均診断精度は52.1%で、医師全体と有意差がなく、非専門医との差も僅か』
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-17114.html
という結果があります。そのために病院に来てもらって診断をする医師の数は減らすことができるかもしれません。
ところが、世界全体として見ればデジタル化している状況ではありますが、医療を受ける必要がある高齢者の方であればあるほど、デジタルデバイスを持っていない傾向が強いために「オンライン診断」などを受けることが出来ない状況にあるんです。
質問者:
確かにご高齢な方ほどデジタルのものに対して疎い印象がありますよね……。
筆者:
台数は今現在少ないですが質の高い外科ロボットは人間をも凌駕すると言われています。
それらが将来的に普及していき、端末を高齢者にも配ったオンライン診療(しかも診断する相手はAI)と言った状況になれば大きく医師の数を減らすことも出来るのかもしれません。
端末を持っている世代が高齢者になることで変わる可能性はあるかもしれませんがそれにしても時間がかかり早期の解決は難しいでしょうね。
質問者:
筆者:
あ、アメリカがイスラム諸国にやっているような「レジームチェンジ」みたいなことじゃないです(笑)。
そもそも僕はそんなに病院や病床数がそこまでいらない論者なんです。
2006年に夕張市が財政破綻し市が運営していた病院が閉院したことによって病床数は171から19に激減しました。
しかし、平均寿命は変わらずそこの地域住民の医療費に関しては下がったそうです。
勿論、夕張市外の病院に転院したり手術を受けたケースもあるでしょう。しかし、「病床数」に拘る理由と言うのはそこまでない気がするんですよね。
また「末期患者」や90歳以上の高齢者などは外科手術をする体力が無くそもそも治療をすることすらできない状況であることも多いです。
それなのにどうして病床ばかりあるの? と言うのが僕の感覚としてはあるんです。
質問者:
ではどうして病床数があるんですか?日本の病床数は人口あたりだとダントツで世界一みたいなんですけど……。
※日本は人口1,000人当たり約12〜13床 2位のドイツ(約8床)、3位フランス(約6床)
筆者:
保険が点数制度になっているために「多い病床を埋めることが正義」になっているからです。
そもそも善意で医者が医療しているわけでは無く、「医療を受けさせれば受けさせるだけ儲かる」と言う構図になっているんです。
先ほども語りましたが、保険医療は「やりがい搾取」をされている側に医者がなっているので、少しでも患者から回収してやろうという魂胆があるのです。
医学部の学費がとんでもなく高いのもこれらの問題を引き起こしている要因だと思われます。
大手の病院が医師をかき集め病床数で稼ぎ、必要そうなところには医師がいないという現象が起きているのだと思いますね。
少なくとも公営の医療機関は点数制度はやめて純粋に勤務時間や医療の難易度などで報酬を与えた方が良いと思います。
質問者:
筆者:
これは医者の方にもよると思うんですけど「過剰医療」によって「患者から搾取する」と言う思想に染まっている可能性があります。
そのために患者側が思考としてチェンジすることはちょっとやそっとのことでは病院に行かないことだと思います。
調子が悪かったらよく寝て治して、市販の薬でも効かないようならやっと病院に行くぐらいにしないと医者に搾取され続けます。
これ以上,健康保険料が上がったらまず現役世代が死滅しますので、先ほども言ったようなテクノロジーによる解消を期待したいところですね。




