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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第二章 冒険者と仲間
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91.止めない夜

彼の冒険は……

 クランが椅子から崩れ落ちた。

「クラン?」

 横に座っていたリンが声をかける。


 ブシュッ


 クランの全身から血が噴き出し、床を赤く染める。

「ヒィッ」

 リンが噴き出す兄の血を見て悲鳴を上げた。

「クラン!」

 シュウが駆け寄り、クランを仰向けにする。

「!?

 なんだよ、これ……」

 仰向けになってクランの傷が露わになった。

「さっきはこんな傷じゃなかったよな……。

 そもそも治癒術で塞がってたハズ」

 ティアリスの治癒術で癒された切り傷がぱっくりと開き、その周囲が紫色に染まっている。

「新しい傷……。

 それなら、いつの間に……」

「そんなことよりも、まず傷を!」

 横に来たティアリスがシュウに指示を出す。

「そ、そうだね!」

 ティアリスが布で血を拭った傷口にポーチから下級治癒ポーションをかける。

 みるみるうちに血が止まって、傷口が塞がった。

 しかし、

「う”っ!」

 プシュッ


 クランが呻き声を上げると塞がった傷口から血が噴き出す。

「!?」

 クランが心配になり周囲に集まったみんなが息を飲む。

 ビアンゼはリームの目を手で塞いでいる。

「これは……。

 一体……」

 再度ポーションをかけようとすると、

「待って!」

 ティアリスがシュウの手を止める。

「傷口がさっきよりも開いてる!」

 ティアリスの言葉に傷口をよく見てみると治癒ポーションをかける前よりも傷が広がり、吹き出す血の量が多くなっている。

「傷を癒すとさらに傷が広がる!?」

 さらに見ていると紫色に変色した肌の色も範囲が広がっていく。

「これは……」

 その肌を見たビアンゼが思いついたような声を出す。

「何か知ってるんですか?

 ビアンゼさん!」

「昔にその肌の変色を見たことがある気がする……」

 ビアンゼが昔の記憶を掘り起こすように考え込む。

 考えるのに意識を奪われてリームの目の覆いが外れてしまっていた。

 その目が赤い血だまりに横たわるクランを静かに見つめている。

「そうだ!

 まだ冒険者でパーティを組んでた頃に、遺跡を調査してる時にうちの旦那が同じような傷を受けて……。

 たしか、その時は『呪い』の一種だった」

「呪い!?」

「稀に傷を付けた相手に呪いをかける武器もあるのよ。

 呪いにもいろいろな症状があるらしいけど……。

 この肌の変色はあの時と似てるわ。

 旦那が受けた呪いも受けた傷を癒しても傷が開くものだったけど……。

 クランくんみたいに傷が広がってはいなかったはず」

「その呪いはどうやって治したのですか?」

「呪いは教会に行って解呪してもらうか、聖水で治せるわ。

 あの時は聖水を使って治したわね。

 遺跡探索の依頼を主に受けていたから準備もそれなりにしてたから」

「聖水……。

 僕は持ってない……。

 ティアは?」

 シュウの質問にティアリスは首を横に振る。

「リンは……?

 リン?」

 シュウは椅子に座っていたリンを見るが、そこに姿はなかった。

 いつの間にかシュウの横に来て、クランの体を揺すっている。

「ねぇ……。

 クラン……?」

 よく聞くと小さくクランに呟きかけていた。

 シュウや周りの声が聞こえていないようだ。

「今から道具屋に行っても間に合うか?」

「こんな真夜中に道具屋は開いてないわ」

「それに聖水は道具屋に滅多に置かれてないわ。

 教会がある街はだいたい教会でしか売ってないのよ。

 その教会もこの時間じゃ……」

 道具屋に走ろうか迷うシュウをティアリスとビアンゼが止める。

 この間にもクランの体からは血が流れ続ける。

「ティア!

 とりあえず、綺麗な布で傷を押さえて出血を少しでも抑えよう!」

「わかったわ」

「リン!

 リン!

 体を動かしちゃダメだ!

 まず、血を止めよう!」

 シュウの言葉にクランの体を揺すっていたリンは手を止め、ペタンと尻餅を付く。

 リンが座る場所はクランの血で染まっているがリンは呆然として気づいていないようだ。

「ただ傷が開くだけなら、あの時と同じなのに……。

 呪いは滅多に受けるモノじゃないから症例が少ないって言ってた……」

 ビアンゼがクランと過去に見た呪いを思い出しながら比較しているようだ。

 シュウもクランの傷を圧迫止血しながら考える。


『旦那が受けた呪いも受けた傷を癒しても傷が開くものだったけど……。

 クランくんみたいに傷が広がってはいなかったはず』


(くっ!

 アルテ!

 クランを診てくれ!)

 シュウはクランの傷をアルテに調べさせて治癒方法を探ることにした。

『報告。

 パーティメンバークランの状態に「呪い」……と


 「毒」


 を検知』

 

「毒……?」

アルテの思わぬ報告につい呟きを漏らしてしまう。

「毒だって……?

 なるほど、呪いと毒の二つの症状が重なっていると言いたいのね……。

 一つの武器によるか他の要因によるかわからないけど可能性は高いわ」

「なら解毒ポーションを試してみましょう」

 シュウの呟きを聞いたビアンゼが過去の経験を踏まえて可能性を示してくれて、ティアリスが解毒ポーションの使用を提案してくれた。

「いい閃きだよ!

 シュウ君」

 シュウの呟きを少しも不信に思ってないようで少しホッとするシュウ。

「よし。

 やってみよう。

 クラン、少し我慢してくれ」

 シュウはポーチから解毒ポーションを取り出した。 



前話の後書きの嘘予告から助けるために必死な回

回復する度にさらに傷が大きくなって開くって怖いですね

誰が考えたんだ……ぶるぶる


ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです

それではまた~


累計7777PVを見ようと近づくのをドキドキしながら待ってたのですが

まさかの一気見してくださって驚きでした

本作よりも面白い作品がたくさんある中で読んで頂いて本当にうれしいです

ありがとうございました

累計10000PV目指して頑張ります

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