第27話 遭遇
(●´ω`●)楓ちゃん苦労人
(コイツも歩くのか。まぁ大通りで消えたり現れたりしたら目立つか)
「また会ったな」
「そうですね」
私達騎士団幹部が駐留するのは高級住宅街だ。
(こんな所に能力者が?)
空間能力者⋯確か虚空。
この男も生き残った。
戦果は自己申告と映像記録から算出される。
(コイツ周りの映像は乱れている)
特にめぼしい戦果は無い。
モンスターの死体を何体か提出しているぐらいだろう。
(本当の実力はどれぐらいだ?)
戦闘は可能な限り記録している。
しかし能力者が能力使用時に発生する力場の影響で、記録媒体が大体壊れる
(この男か?)
大量のモンスターが同時に殲滅されている。
そして螺が行方不明になった。
(いや、螺が居たポイントからは離れているが)
この虚空が確認されたポイントは例の爆発や螺が行方不明になった場所からは離れている。
(空間転移には条件が有る)
無条件ならば騎士団内で保有し温存している空間能力者の力で、大軍を王都からここまで転移させている。
虚空は消えたり現れたりするが、特に力の溜めや力場の揺らぎが無い。
洗練されているのか、はたまた何か別の条件が有るのか。
(能力者自身の価値観に左右されるがな)
空間能力者ではないが、ある特異な能力保持者で、金を支払わないと能力を使用出来ない者も居た。
しかし一度能力の使用をして得た金を使い切らないと、次の能力使用が不可能と云う条件があった。
寄付やギャンブルでの散財はカウントされず、自分が欲しいと思ったものに支払わなければ意味が無いと云う無茶苦茶な条件だった。
本人も何故この様な条件が能力に付随しているのか理解していなかった。
(空間転移か)
一度行った事が有る場所。
知り合いが居る場所。
自分の血でマーキングした場所⋯血液を付着させた物を他者が運んでセットしても発動した⋯等々。
(能力発動の条件は正に十人十色千差万別)
確言う私の能力も発動条件や効果は類似の能力と一々違う。
一番の欠点は居合いのモーションが必要と云う事。
連続攻撃が出来ない。
納刀する瞬間が隙になる。
勿論奥の手は有るが、それを披露する時は私か相手が死ぬ時だ。
(気にしても仕方無いか)
「後日トーナメントを行う。能力者同士の戦いだ」
「⋯⋯⋯⋯」
虚空は私を無視してカフェに入ろうとして⋯満席で断られていた。
仕方無く私と同じテラス席に着く。
ただ私からは離れた席だ。
(嫌われたものだな。まぁ貴族で騎士で軍人で即死系能力者。好かれる理由が無いな)
「貴様も出ろ」
「断る」
即答だった。
店員にオーダーをしている。
(コイツは紅茶派か)
まぁこの店は紅茶も美味い。
「逆らうのか?」
脅してみる。
「強制か?」
私の方を見ずに淡々と応える虚空。
「いや、違う」
私は珈琲を一口飲む。
「個人的に貴様の能力を見てみたい」
「断る」
虚空は立ち上がる。
どうやらテイクアウトでオーダーしたらしく、紙袋を受け取りそのまま歩み去る。
「ふむ、フラれたか」
私は少し残念に思ったが仕方無いと納得させる。
能力者には力を喜んでひけらかす輩と、徹底的な秘密主義者で二極化する。
空間能力は繊細なコントロールが必要な筈。
一見無敵に見えるが発動条件やインターバル、射程距離等は絶対に有る。
それを大っぴらに見せる様な、見世物には出る気は無いと云う事だろう。
「さて、仕事の続きをするか」
私は頭を切り替え、退屈なデスクワークへと戻る。
(●´ω`●)楓ちゃんがんばえー




