第23話 母性
(●´ω`●)ある漫画の、ネグレクト気味の幼少期を過ごした主人公が深層心理で過去を思い出した時に、大好きなお母さんに虐待されてる過去を思い出す場面好きでしたね。自己犠牲の理由が正義感とかじゃなくて愛情を求める手段だったのがストンと納得しました。
「あー疲れたマジで」
「ふーん、お疲れー」
僕は枢の頭をポフポフと撫でる。
「疲れてるのにする事はするんだね」
やって来たかと思ったら散々抱かれたよ。
キスから入れよ。
ムードもへったくれも無いよ。
「ストレス溜まるし」
コノヤロー、出してスッキリしやがって。
「まぁ良いけどさ」
⋯⋯⋯僕もまぁ、気持ち良かったし?
「はぁ、疲れた」
「それしか言わないじゃん」
「疲れた」
「はいはい、頑張ったね枢。偉い偉い」
枢は僕の中に散々出した後、おっぱい吸いながらうだうだ愚痴ってる。
おっぱい吸うかどっちかにして欲しい。
「ほら、零れてる。勿体無いし」
なんかやたら今日は飲むな。
それになんか⋯
(なんか、疲れて、る?)
僕自身も疲れてる気がする。
枢の支配する謎空間に幽閉ってか、監禁状態なんだけど⋯今何か疲れてる。
動いてないのに。
(まぁ気分が落ち込むとかって事、かなぁ?)
緋雨さんにも逢わせて貰えないし、枢も偶に会いに来たと思ったら好きに抱いて出して吸って飲んで寝るだけだし。
「ぐぅ」
「おい」
言ってる側からもぉ〜〜〜。
枢は僕のおっぱいを吸いながら寝た。
「枢?」
けど、何がいつもと違う。
いつも疲れたとか怠いとか煩いけど、今日は何か違う。
「⋯お疲れ様」
手が短いので抱き締められないけど、精いっぱい抱き締めてやる。
(僕の手足切った張本は枢なんだけど)
お腹は重いし、手足は無いし。
⋯赤ちゃんは未だ産まれない。
(やる事無いからなぁ)
時間感覚が良く解らなくなってくる。
(ここは昼も夜も無いし)
「お⋯」
「お?」
寝言だ。
僕は寝言に応えてやる。
「なぁに、枢」
「おかぁ、さん⋯」
あーはいはい。
ママね。
ママが欲しいのね。
自分で孕ませて母乳出させてその女の乳飲みながらママって甘えたいんだよね。
解ってるよ。
僕や緋雨さんはコイツのママ代わりで―――
「やめ、て⋯」
「―――⋯⋯⋯」
何なんだよ。
やめろよ。
「僕のおっぱい吸いながら寝るなら、もっと安らかな顔しろよ」
枢が苦し気な表情で僕の胸の中で震えている。
「ああ、くそっ⋯」
能力者の半生なんてろくなもんじゃない。
能力覚醒時には、大抵凄まじいストレスがかかってる。
僕の感知系能力はなんだっけ?
(何が原因で覚醒したんだっけ?)
思い出せないけど⋯
「思い出したくない事は忘れていいんだから」
僕は枢の耳元で囁く。
「僕は枢を傷付けないよ」
てか出来ないけどさ。
「なんで、僕なんだよ⋯」
弱みなんて見せるなよ。
「枢?」
顔を覗う。
「ふん」
ちょっとは眉間のシワは無くなったかな。
「最強の空間能力者なんでしょ?」
最強なら最強らしく強いままでいてよ。
恨ませてよ。
憎ませてよ。
「葵⋯」
「なに?」
「好き⋯」
「そう⋯」
寝言だ。
寝言に応えてやる義理は無い。
「僕は緋雨さんが好き」
そう応えた僕の胸が、何故かギュッと切なくなった。
(●´ω`●)殴る腕をもいで、蹴る足をもいで、やっと安心して甘えられると思ったらお母さんが抱きしめてくれない。そんな理不尽な哀しみが能力覚醒のトリガー⋯だったりして。




