第19話 出陣
(●´ω`●)初めての母乳って初乳言いますねん。だとすると『初乳戦記』や『授乳戦記』とかになるのん?
「やだ」
駄々を捏ねる枢をあやす。
「よしよし。大丈夫だから、ね?」
「やーだー働きたくなーいーーー」
「そんな事言わない」
彼に短くされた手で頭を撫でてやる。
「俺ここに住むー」
彼は私の母乳を吸いながらぼんやりと呟く。
いつもの様に私を犯しながら母乳を飲んでいたが、事後もずっと縋り付かれている。
鬱陶しいとは言わないけど、どうしたのかしら?
「住んでるみたいなもんでしょ?」
此処は彼の空間内だし。
誰にも侵せない絶対領域―――
(ではないのかしら?)
枢が本当に完全に引き篭もれるのなら、私⋯私達を囲って永遠にこの世界から出なければ良い。
それをしないと云う事は、永続的にこの空間内に滞在し続ける事が出来ないのだろう。
私の氷炎も反則な能力だと思われがちだが、それなりに繊細なコントロールが要る。
氷で冷えた体を炎で温めなければならない。
炎を使って熱せられた体を氷で冷やさねばならない。
つまり、氷と炎を交互に使わねば戦えなかったのだ。
枢に敗北したので出会わなかったが、もしも私よりも単純に出力が上の火炎系能力者や氷雪系能力者と戦っていたら力負けしていたろう。
(複雑な能力程、シンプルな能力に弱い。逆もまた然りだけど)
「死にたくないし戦いたくないし働きたくな〜い〜」
「もぉ、どうしたのよ今日は」
枢も、この空間も、格上の空間能力者になら侵蝕出来るのかも知れない。
もしくは空間を破壊する、特化型能力者になら負けるのかも。
(そうなったら私達は助かる⋯訳ないわね。恐らく死ぬ。この空間と共に―――)
この空間が崩壊する時、私もきっと滅びるだろう。
「私だってあなたが死んだら嫌だし、戦って欲しくないし、ずっとここに居て欲しいわ」
正直な気持ちだ。
好きか愛してるかは良く解らないけど、お腹の子の父親だしね。
手足を切られて孕まされた以降は特に酷い事されてないし。
なんか美味しい物食べさせてくれて色々服着せてくれるだけ。
何か猫っ可愛がりされてるだけって感じ。
(一緒に並んで戦う未来も有ったのかな?いや、無理か⋯)
能力者の実力差はシビアだ。
私の実力ではモンスター戦役クラスの戦いが有ったら生き残れない。
モンスター戦役は王国が定めた年度や地方で、第何次何々方面何々モンスター戦役とか名前が細かいから、私達は単にモンスター戦役って呼んでるのよね。
(エルフや魔人とか、本物の化け物達も居る。人間が生き残る為には枢みたいな存在が必要よ)
私じゃきっと生き残れない戦いも、枢なら勝って帰って来れる筈なのだ。
「でも必要とされてるんでしょ?」
枢がこれだけ嫌がると云う事は、今回の敵はモンスターかエルフか魔人か。
私ではステージが違い過ぎる相手なのだろう。
「うん」
私のおっぱいを吸いながらそれでも嫌そうにしてる枢。
「でもさぁ⋯行きたくない」
泣き言を言う枢に私は膨らんだお腹を示す。
「お腹の子はどうするの?」
妊娠したは良いが出産出来るのかは良く解らないけれど。
「うう⋯」
どうするのだろう?
「そだね、雫」
私の胸から唇を離し、体も離す。
フリフリのドレスも整えてくれる。
(こんなエッチな服、枢以外に見せられないけど⋯)
偶に連れてってくれるデート用の服と違い、今着せられてるのは胸の先端と股が開き易くなっている。
(妊婦用に授乳し易い服なのかな?まぁ使い方は間違ってないけど⋯)
股の所も、大きなお腹の女性が用を足し易くしてあるとかなら解るかな。
私が出すんじゃなくて入れられて出されてるんだけどさ。
「ありがと」
枢はガリガリと頭を掻く。
「仕方無いから、殺して来るよ、雫」
そう言って彼は姿を消した。
「気を付けてね」
何も無い空間に私が声を掛ける。
「行ってらっしゃい」
此処が彼の世界なら、きっと私の言葉も思いも届いているだろうから。
(●´ω`●)語呂的に母乳戦記のままで




