第13話 雷帝鵺
(●´ω`●)王都って概念が出ます。王政を敷いてるんですかね。電話は使ってないので電話は無さそうです。そのうち出て来るかもですがせいぜい有線でしょうね。
「虚空が現れました」
「そうね」
昨夜何処かの組織が彼にちょっかいを出して皆殺しにされたわ。
問題はうちの縄張り内で殺り合った事。
本当に迷惑だわ。
その組織は私達に責任を擦り付け様として来た。
突っぱねたし、被害に遭った施設の修繕費を請求してやったわ。
「氷炎の緋雨」
最強と名高い二属性能力者。
虚空に敗れ、行方不明に。
仇討ちを画策した連中も皆殺しにされたとか。
「モンスター⋯は罠だったのよね」
人間の町へ近付く為の隠れ蓑だった。
「エルフ」
モンスターの腹の中から現れた三人のエルフの戦士達。
それも虚空が倒した。
信じられないわ。
「獣人の森から獣人が出て来たわね。それは?」
「さぁ、詳細は未確認ですが多分無関係かと。多少小競り合いは有った様ですが撤退しています」
「危険だわ」
人間の能力者としては規格外過ぎる。
「彼を狙う組織が壊滅したわね」
私は溜め息を吐き出す。
「一つや二つではないですね。氷炎の緋雨の暗殺を虚空に依頼した組織が、虚空の手で壊滅してます。二回も壊滅したのでもう再起は不可能かと」
「滅茶苦茶だわ」
仕事への拘りも仁義とかも無い。
ただただ己の欲求のままに力を振るう者。
「空間能力者、虚空」
「雷帝様」
「私でも勝てないわよ?」
念押しをしておく。
私は電撃系の能力者。
電撃を使った事なら大抵何でも出来る。
氷炎の緋雨と同じく最強格扱いされていた。
けれどそれもあくまで人間相手の話。
「私ではエルフ三人を退けるのは無理よ」
「ですが⋯」
「無理だってば」
報告だとエルフの内の一人⋯もしくは複数が雷魔法を使っていたらしい。
虚空はそれを倒した、若しくは追い払ったのだ。
戦いたくない。
「エルフは基本的に自然界の力を利用、応用する」
彼等が魔法と呼ぶ現象と人間が能力と呼ぶ現象は、同一でありつつも異質だ。
「人間はあくまで個人から出力される範囲でしか戦えない」
例えば私の奥の手⋯電撃を纏って脳内の電気信号を操り、反射速度や肉体の強度を上げたりはきっとエルフよりも優れている。
けれど黒雲を呼び寄せ雷を落とす様な攻撃には無意味だろう。
彼等は別に肉体強化に固執しない。
鉄壁とも呼べる魔法防御を誇るからだ。
私の電撃も、電撃を纏わせた拳も触れる事等出来ないだろう。
「いったいどうやって勝ったのかしら」
同系統の能力者の中では一番強いから雷帝、鵺等と云う大層な二つ名で呼ばれているが、私自身はそこまで大した能力者ではないと思っている。
「町をいくつも纏めて守るなんて無理よ」
虚空が何を考えているかなんて解らない。
エルフを退けた後は直ぐに姿を消している。
だが結果として彼は複数の町を守り抜いた。
エルフをそのまま暴れさせていたらいくつもの町が壊滅していただろう。
「各組織間で、虚空を始末する依頼が飛び交っています」
「エルフ三体を単騎で撃破する様な男をどうやって殺すのよ?」
少なくとも私は無理だ。
私にも何件かそんな依頼が届いているが破り捨てた。
殺りたいなら自分達で殺ればいい。
「ですが雷帝様」
名乗った覚えの無い二つ名で呼ばれる。
「それやめて」
「鵺様」
そっちも名乗った事無い。
「そっちも嫌」
可愛くない。
「ボス」
前のボスが戦死したから仕方無く皆を纏めてたらボスになっただけなのに。
「それも嫌。もー嫌」
私は、私達は穏健派で通っている。
あくまで自己防衛に徹している。
余計な火種は身を滅ぼす。
他の組織は縄張り争いや能力者の新規獲得に躍起になっている。
だが私達は参加はしない。
町に住む民間人からの依頼を受けたり、治安維持とかに徹している。
「そう言えばちょっと前に好き放題してる獣人達が居たわよね。そっちは?」
獣人にも色々居るが、人間の町に流れ着く様なのは獣人の森から追放されたり逃亡して来たりした重犯罪者達ばかり。
人間の町で問題を起こす。
まぁ逆に、人間の犯罪者が獣人の森に隠れ潜んでいたりもするのだけど。
(接するのがお互い持て余してる犯罪者ばかりだから、両種族の関係が改善されないのよね)
エルフもそうだ。
大昔には穏健派のエルフも居たそうだが、人間に殺されてしまったらしい。
エルフを恨む人間が人間寄りのエルフを殺す。
何処まで行っても相容れない者同士なのだ。
「首無し死体で発見されましたね。恨みはあちこちで買ってるでしょうし、賞金首にもなってました。換金所に首は持ち込まれていないので、怨恨かと」
「若しくは獣人側の処刑人かもね」
だとしたら首は獣人の森に持ち帰っているのでしょう。
⋯話を戻しましょうか。
「それで私にどうしろと?虚空が現れても放置しなさ⋯」
「虚空が現れました」
ガタガタッと私が椅子から落ちかける。
「ほ、本当?」
「はい、目撃情報が有りました」
「早く言いなさい」
「言いました」
「それで何処に?」
「市街地中心部のカフェです。最近王都から出店して来た行列店です。高級店ですね」
よりによって高級店がら並ぶ中心部の大通りっ!
ギリギリうちの縄張りじゃない⋯。
「も、もう居ないんでしょう」
出て行って。
早く出て行ってて。
お願い。
「いえ、監視からの報告だとまだ列に並んでいるそうです」
終わった。
(いいえ、まだよ、皐)
私は意を決する。
カフェに行儀良く並んでると云う事は問題を起こす気は無いと云う事。
変な組織に見つかって市街地戦に発展する前に出て行って貰わなければ―――
「私が出るわ。皆は下がりなさい」
監視も下げさせないと。
彼の能力は未知数。
刺激しないように穏便に済ませないと。
私は部下達に絶対に先走らない様に厳命し、虚空の元へ向かうのだった。
(●´ω`●)皐ちゃんは中環管理職っぽい哀愁がありますね。




