第12話 庭
(●´ω`●)エルフは全体的に合理的に動く種族ですね。千年も生きてると感情が乏しくて植物みたいになるのかも。
「うお?何コレ?」
「枢」
枢が帰って来た。
「シュリーヤルル⋯コレは?」
戸惑っている。
ふふふ、驚かせてやれたな。
「殺風景なのでな。リフォームした」
我が自慢気に告げる。
我はこの部屋に二本の木を生やした。
本来なら町一つ覆い尽くせる程の木を生やせるのだがな。
(弱体化⋯と云うより、力そのものを奪われている)
「俺の空間内で魔法使えるのかよ」
我は生やした木同士の間に枝と葉を絡めてハンモックを作りベッド代りにしていた。
「主は己の能力をキチンと把握しとらんな?」
体を揺らしながらジロリと枢を見上げる。
「我が枢に危害を加えない、枢に不利益な行いをしない、寧ろ枢にとって有益な糧を齎す事を己に制約させる誓約を立てた。そうしたら使えた」
本来の力の一割にも満たんがな。
「驚いたな」
枢は我が寝てるハンモックを興味深気に揺らす。
「今までは仕事の処分に適した専用ダストボックスみたいな感覚だったから」
そうであろうな。
この空間は不要な物を吸収分解する。
排泄物でも死体でも、な。
「お主はゴミ捨て場や掃き溜めに女を囲うのか?」
「いや、そういう訳じゃないけど」
部屋がいくつも有るのは解っている。
トイレや屠殺場の様に、部屋割りは決めている筈だ。
「食せ」
我が木に命じると、枢の掌に一つ林檎を落とす。
果実だ。
厳密に云えば林檎の様な何かだな。
「甘い」
特に怪しむ事なく齧った枢が驚いている。
「ああ、栄養価も高いぞ」
我の魔力で生み出した物だからな。
「でもおっぱいのが良い」
「たわけ」
枢は我の衣服を脱がし始める。
枢は我に人間の変な衣服を着せる。
今はゆったりとした布地の物だ。
し易い様に胸と股に穴が開いた物も着せられた事がある。
アレは何かスースーして落ち着かん。
しかし人間の旺盛な繁殖力を舐めていたな。
まさか孕ませ種付けした女を何度も犯すとは。
エルフは仲の良い夫婦ですら百年も営みが無い事がある。
エルフは女もだが男も性欲が薄い。
(枢なら他のエルフも孕ませられるだろうな)
「他の女達にもコレを喰らわせろ。乳の出が良くなるぞ」
我の母乳を吸う枢に告げる。
「他の女」
枢の唇が乳を吸うのを止め呟く。
「気づいてないとでも思ったか?余り詮索はせんが、囚えた女の手を能力の出力点に使ってるのであろう?先日は我の手も使ったな?魔力が抜けてく感覚は解ったぞ」
そしてもう一人女が増えた。
囚えた女の力を使って女を増やす。
誠に業腹な事よ。
「そうなんだ」
「他の女にも栄養を付けておいてやれ。いざと云う時に使い物にならなくなるぞ」
枢が死ねば恐らく我も死ぬ。
厳密には枢が死ぬ前に我も我の子も死ぬ。
過程は気に入らないが、子の出来難いエルフの千年ぶりの子共だ。
産んでやりたい。
「うん」
「おいで」
手招きすると枢もハンモックに寝そべる。
(手招きではないが)
二の腕の途中で腕は無い。
我の魔法で作ったハンモックは頑丈だ。
二人寝ても問題無い。
「落ち着く」
枢が我の髪の毛の匂いを嗅ぐ。
「どうした?飲まぬのか」
枢が飲まないと乳が溢れて胸を汚すのだ。
「飲む」
飲むと云う割に我の下半身を弄って来る枢。
「するのか」
「する」
裸にされる。
お腹は一定の大きさのまま止まっている。
(我の想像通りなら、出産するには⋯⋯⋯いや)
まぁ今更良いか⋯。
「我を犯しながら乳は吸えぬぞ?」
「頑張る」
我の体格が小さ過ぎて、枢は我の乳を飲むか我を犯すかの二択を迫られている。
「ふふ、好きにしろ」
我の体に甘えて来る枢を見詰める。
ここは枢の作った箱庭の一室⋯正に猫の額程の狭さの土地だ。
しかし、その狭き土地に緑を蘇らせた。
「良い風だな」
本来なら無風の筈の閉ざされた領域に風が吹く。
「乳にしたか、甘えん坊め」
枢は我の中に出した後、結局乳を吸う事を選んだらしい。
我のお腹を抱き締め、胸に顔を埋めて来る。
「こんな平たい胸から出る乳が良いのか」
「良い」
「そうか」
お腹の子を産む前に子共が出来た様な感覚だ。
まぁ枢は我の十分の一も生きてはいまい。
子共か孫みたいなものだ。
「寝たか」
良く眠る奴だ。
「我も眠い。寝る」
胸に乗る温もりと重さを感じながら我も目を閉じる。
虜囚の身でありながら、その睡魔はとても心地好く、抗い難いものであったからだ。
(●´ω`●)シュリーヤルルの部屋は植物園みたいになりましたね。




