第8話 探索のその先に
今回は短めです。
まさかのまさか、俺は迫り来る死の連鎖を断ち切ったのだ。
これもしかして従来の異世界転生物になってきたんじゃない!?主人公の俺めっちゃ強えええええ!!!って感じでは…?
ふふふふははははははは!!!!
どんな敵でも来たまえ。俺が全て薙ぎ払ってやろう、この銃でな…。
とまぁこんなご都合主義的な妄想していたら目が覚めた。
目を開けるとそこには美少女神様がいた。
しかも顔が近い…!!
もしかしてこれは膝枕、膝枕なのか!?
「あっ、起きたわね!おはよう」
「お、おはよう…!」
異世界来てよかった〜!殺人鬼とか巫女さんとか迫り来る死の連鎖とか脳内に直接響く声とかしらね〜!!!
そんな気分だった。
「あのあんたさ、全部脳内の声漏れてるんですけど…まぁ調子乗るのもいいけどね、あなた、私がいなかったら今頃死んでるわよ…?感謝でもしたらどう?」
俺はいつの間にか思考を声に出していた。これこそホラー案件だった。
「まぁいいわ…こうなったのわたしのせいでもあるし」
俺はここでやっとひとつ違和感に気づく。
「なぁ、なんで俺ら生きてるんだ?お互い瀕死だっただろ…?」
「そんなこと今更聞く?あのね、前にも天界で言ったけどあなたが死んだ時に私は髪な権力を使ってあなたを生き返らせたの。その時に私とあなたはほぼ生死をともにする運命共同体になってるの」
「あー、確か聞いたわそれ…あともうひとつ聞いていい?」
「なに…?」
俺はこの物語が始まって以来ずっと触れられてこなかった禁忌に触れることになる。
「神様、あんたの名前って何?なんて呼べばいいか分からないんだけど…」
「…なんだそんなことか。私のことは雪とでも呼んでちょうだい」
「わかった、雪。よろしくな」
神様と同じ能力を得たってことか俺は?それはさすがに普通の異世界転生チートものじゃないか!?
ついに来た…俺無双来た…
「あの…また口に出してるわよ…」
「わっ!?お、俺何も言ってないよ!?」
「まぁいいわ…でも悪いんだけどあなたは私と同じ神の力を得てはいないの。なぜなら…」
雪は半ば諦めたように言い続けた。
「私はもう神の力はほぼ残ってないの、残ってるとしたら自然治癒がはやいくらいかしらね…」
「…まぁそうだよな普通に考えて…俺に関わった時点で雪にも不幸がうつってそうだし…」
俺は森での戦いでわかったことがある。
俺は稀に見る不幸スキルの持ち主らしい、しかもめちゃくちゃ強いらしい。
これがほかのスキルだったらどんなによかったことか…不幸スキルがめちゃくちゃ強くても何も嬉しくないでしょ…
実際死んでばかりだし。
「本来なら私達は異世界転生の定番、魔王と勇者が存在する異世界に転生するつもりだったの。つもりっていっても私たちがいるこの世界は正真正銘、目的のい世界よ。
でもね、それが何か強い因果で始まりの村が大虐殺に襲われてしまったの」
そうか…大方予想通りではある。普通の異世界転生ものならここで新しい仲間を見つけて鍛錬をして…なんて生活が待っていたのかもしれない。
しかしそのスタートすら俺には許してもらえなかった。
「そうか…なら俺たちのやることはまず、この街がなぜ大虐殺に襲われたのかを解明すること…だな?」
こんな普通ならありえない事件をこのまま放っておいたらいつか必ず僕らはまた同じ目にあうだろう。
だから今ここで俺らはこの事件の真相を少しでも見つけなければならない。
「建物を見て回りましょうか」
雪はそういい俺は頷く。
「ここで何が起こったのかを正確に知ることは出来ないけれど、魔力や人の気配の残骸を感じ取ることは出来るわ」
「ま、まじか。ほぼ神の力がなくなってもそんなことができるのか…」
「ええ、まぁ何かに秀でている…例えば剣道などの武道ね。自分を集中させて意識を極限にまで持っていく。そういう訓練を日頃からやってきた人もこの魔力や人の気配の残骸を感じ取ることが出来るわ。魔力に関してはもとの私たちの世界では魔力そのものを感じる機会がなかったからわからないけどね…」
「なるほど…つまり雪はめちゃくちゃ強い人間みたいな能力を残しているって感じか?」
「い、言い方はあれだけど実際はそういう事ね」
そして俺らは飲食店のような建物に入る。
ここでももちろん人が大量に死んでいた。
「うっ…うううう…」
俺は吐き気が止まらず耐えられない。
「奥の方を見て見ましょう、なにか感じる」
そして俺らは血の海の中を歩いていく。
「えっ、う…嘘でしょこれ…?こんなのってありえないわ…」
雪が驚きの声を上げそのままヘタリと座り込んでしまう。
「ゆ、雪!?一体どうしたんだ…ってえっ…!?」
俺らの目の前にはあってはならないモノがあったのだった…
2人の前に現れたモノとはいったい…!?