第9話 魔剣とスライム
なんと普通の異世界転生モノみたいな話です。
えっ、う…嘘でしょこれ…?こんなのってありえないわ…」
雪が驚きの声を上げそのままヘタリと座り込んでしまう。
「ゆ、雪!?一体どうしたんだ…ってえっ…!?」
俺らの目の前にはあってはならないモノがあったのだった…
目の前には森山さんがいた…。
しかも彼女は磔にされていて瀕死の状態だった。
俺はあの森で森山さんを銃で撃ち抜いたはずだ。一体どういう事なのか…
そしてもう1人が磔になっていたが原型を止めておらず顔すらわからない状態だった。
「一体誰がこんなことを…」
「これは酷い状況ね…彼女はあなたを殺しに来たんだったわよね?ってことは…」
「俺たちの仲間と思われる奴がいるということか?」
「そうね、でもこの街に人がいる気配はないわ…もう居ないのでしょう」
「そうだな、そろそろこの街を出ようか」
そう言ったところで何かに躓く。
「いてて、なんかひっかかったぞ」
と見てみるそこには短剣が落ちていた。
「護身用のためにそれ持っていったらどう?」
たしかに今の俺は銃しか持っていない。近距離戦闘を強いられた際に短剣はないよりあった方がいい。
「そうだな、一応持っていこう」
ビビビビッ
「い、いてぇ!!」
「どうしたの!?」
短剣を持った瞬間、強めの静電気を浴びたように感じた。
「嘘でしょ…その短剣すごい魔力を放ってる…」
「ま、魔力だって…?」
魔力なんてものが存在するなんて異世界ならではじゃん!と内心喜んでいたのは置いておこう。
「ようするにこれは魔剣の類なようね」
「魔剣?普通の剣と何が違うんだ?」
「魔剣ってのはね、簡単に言うと魔力が込められた剣なんだけど魔物や怨霊の類を唯一斬ることが出来るものなの。私があげた銃も魔弾が入ってるでしょ?これも同じ」
「ほーなるほどな。つまり普通の剣じゃないってことか」
魔剣を手に入れた俺らはこの街を出た。
空を見上げると月のような星が浮かんでいる。ただし色は真っ赤で月の10倍ほど大きかった。
「この世界の月ってなんか怖いな…今にも吸い込まれそうだ」
「もしかしてさっきの虐殺は魔王とかがやったんじゃない?」
俺は考えれば当たり前のことを聞いていた。
「そうとも考えられるけどね…ただ魔王達の気配を全く感じないのよね…だから今回のこの事件は違うと思う」
「そうか…今の段階じゃ俺らにわかることは少ないな」
と、道中を歩いているとスライムのようなものが現れた。
「うわあ、絵に書いたようなスライムだ…これ倒すともしかして経験値が入ったりするのか?」
「そうかもしれないわ」
「よし!」
俺は魔剣でスライムを切りつける
ンギャアアアアアア
スライムにしては恐ろしい断末魔を上げながら消えていった。
よく見ると街を抜けたこの草原にはスライムが沢山いた。
「ここで経験値を貯めよう」
そして俺は草原一帯のスライムを殺し続けた。
「ふう、そろそろ休憩にするか…」
そう思った頃にはもう夕方になっていた。
「お疲れ様!」
なんかめちゃくちゃ異世界転生物らしくなってきて俺はウキウキしていた。自分がわけも分からず殺されるよりは全然マシだ。
突然魔剣が光り出す。
「おおおお、何が起こってるんだ!?」
魔剣からは触手のような血管のようなものが伸び、魔剣自体も大きく成長していた。
「な、なんだこれ…」
「この魔剣…すごい速度で成長するのね…」
異世界に転生された勇者ならば普通は聖剣とか光り輝くものを持つだろう!?
でも俺の持つ剣はいかにも悪役が持つような魔剣だった。
しかもこの魔剣からは俺がわかるほど殺気が滲み出ている。
「な、なぁ雪、この魔剣結構危険なものなんじゃ…?」
「いえ、こんなに成長してるのを見る限りあなたとの相性がいいみたい。もしかしたらあなたの不幸スキルと関係があるのかも…?」
うーん、そう言われると納得するしかない。
何かと俺に異変が起きた時は大抵不幸スキルのせいなんだ。
「さぁ、夕食にしましょうか」
雪は夕飯の準備をしようとする。
「え、食べ物あるのか?」
そんなことを聞きながら美人神様とこんな2人でずっと一緒にいると言う事実に初めて気づいた。
俺は急にドキドキしてきた…
「このスライムで肉を作って焼いて食べるの」
「えぇぇ!?!?そんなことできるのかスライムって」
スライムで調理するなんて聞いたことない…
黙って雪の調理を観察することにした
程なくしてスライム製の焼肉が出来上がった。
見た目は普通の美味そうな焼肉だ。
「召し上がれ!」
「いただきます…!」
思い切って食べてみる。…美味い…!!
まさかのスライム製の焼肉は美味しかったのだ…こんな経験をできるのは世界で俺だけだろう。
「美味いよこれ…!!」
すると雪は満足そうにニヤリとする。
「そうでしょう、私が作るものは全てが美味しくなるのよ」
いやすごい自身だな…ほんとに美味しいんだけれども。
「「ごちそうさまでした!! 」」
俺らは夕食を終え一息つく。
「いやー美味かったな…今度は俺も作れるように頑張ってみよう」
「ふふふ、がんばって」
なんて平和なんだろうか…今まで俺に起きたことが全て夢のようだ。
とはいかなかった。
「ギヤヤヤヤアア!!」
突然獣のような叫び声が聞こえてくる。
「ゆ、雪この声は」
「おそらく魔獣の類ね…私たちを嗅ぎつけてやってきたのかもしれない…戦闘の準備をするわよ」
「お、おう!!!」
俺たちに訪れた平和な時間もつかの間、また戦闘が始まる。
しかしだいぶ異世界転生物らしくなってきたんじゃないか…?
そんな期待を胸にひめ俺は戦いに臨んだのだった。
平和でしたね…書いてる自分もほっとしました。
ここまで読んでいただきありがとうございます!(><)
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