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五枚目 祭囃子
「近くで夏祭りがあるんです。先輩、お暇ありますか」
岩関真由美という女の子だった。どこの楽器かは忘れた。
「ない」
「そんなこと言わずに」
半ば強制に夏祭りに連れ出された。
スピーカーから聞こえる夏祭りは蚊ばかりで、焼きそばはべちょべちょ、フライドポテトはしなしな、ありえないほどに面倒で帰りたいのに岩関は楽しそうだった。金魚をすくうだけ、すくって、殺すのに岩関は袋に入れていた。僕もすくったけど返した。
ここで何をしたらこの女は喜ぶか知っていた。僕はそうしてもいいと思った。思っても届かない女の子を追うより、ここで手に入る幸せでいいのではないか。そうだ、思っても届かないならいっそのこと。
「先輩、私先輩のこと好きです」
僕のことが好き。そうか、好きって言われたら僕も好きにならなとね。
好き好きはケースの中にいれないといけない。
好きだからいれる。ケースは好きでいっぱいr、大好き大好き。




