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おだんご太平記  作者: 東のマ王
2章 立派な武士になれるように頑張っていたら仲間が増えたよ。

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2ー17話

勘十郎「ええと、コレとコレとコレ……このくらいでいいかな?」


 お坊さまにお茶碗をあげて良いか聞かれて僕は小箱の中からお茶碗を三つ取り出すとみんなに見えるように並べて置きました。


土田御前「勘十郎ちゃんそんなにお茶碗を出してどうしたの?」


勘十郎「飲むのに使った物をそのままあげるのは失礼かと思って、使ってない物を出してみたの」


土田御前「あっ、そうなのね」


 そうでーす。


僧風の男「おや、コレはどれも見事な物ですな」


 お坊さまが出した茶碗を見てそう話しました。

 今お茶を飲むのに出した物と同じような感じの黒い色をしたお茶碗と、白い色で表面にポツポツと小さな泡の痕みたいな物が凹みがたくさん付いたチョット歪んだ形をして少し茶色く焼けこげたような跡があるお茶碗と、全体的に茶色で上の方が濃い茶色で下の方に行くと少しずつ薄い茶色になっていくお味噌汁を飲むお碗に近い形のお茶碗。

 あっ最初の黒いお茶碗は半筒形と言うかお椀の下の方が半円みたいな形じゃなくて角ばったような形をしているのだけど。

 他にも種類はあるけどあまり出すのも嫌味みたいな感じになっちゃうからこの三つを出してみました。


勘十郎「この中で気に入った物をどうぞ」


僧風の男「むむっ、そう言われると迷ってしまいますな。うーむ」


 お坊さまが僕が出してあげたお茶碗を熱心に見ています。


信長「そんなに悩むような事か? どこからどう見ても真ん中の白いヤツは失敗した茶碗だろう」


 信長にいちゃんもそのお茶碗を見ながらそう話しました。


僧風の男「ふむ、一見失敗した物ようにも見えますがなかなか良い品でございますよ」


信長「コレがか?」


僧風の男「はい、確かに不格好ではありますがなかなか味があって良い物ですな」


信長「ホントか?」


僧風の男「はい、例えば一番左の茶色いお茶碗は綺麗に形が整っておりますが、このような綺麗に形が整った物を作るのは意外と簡単でロクロを回して手や木べらを当て形を整えてあげればそれで見れる形になるのです」


信長「へぇ」


僧風の男「勿論、寸分違わず同じ大きさや形となると熟練の技が必要になりますが、このような物を作ろうとするのは逆に大変なのでございます」


信長「それじゃあ一番左の茶色いヤツの方が安いのか?」


僧風の男「そう言う訳ではなくてソチラはソチラで釉薬ゆうやくの質感や色合いが素晴らしく大変良い物でございますな」


信長「むむっ、それじゃあこの中でドレが一番高いんだ?」


僧風の男「どれもが大変に素晴らしい品で悩んでいるのでございます」


信長「そうなのか……俺にはサッパリ分からないぜ」


 子供の失敗作みたいな茶碗を見せられて良い物だと言われても信長にいちゃんは全く理解できなかったみたいでそう呟きました。


僧風の男「多くの茶碗に触れたり見ていればおのずとそのような事も分かってくると思いますが。そうですな。ふむ、決めました。やはりコチラの茶碗をいただけませんか?」


 お坊さま今までお茶を飲んでいたお茶碗を手に取りそう話したよ。


勘十郎「えっ? それでいいの?」


 同じような形をした使ってないお茶碗を出してあげたのになんでそれなんだろうね?


僧風の男「新しく出していただいた物もどれも素晴らしい一品だとは思いますが、こうして私に出していただいた事になにか意味があるのでしょう。であればこの茶碗をいただきたく思います」


勘十郎「そう言う事ならどうぞ」


 本人がそれで良いと言うのならそれでいいかと思い僕はそう答えました。


信長「まあ俺もこの中で選ぶのならその黒いヤツだな」


 ねー。僕もこの中で選ぶのならソレと言うか、僕は殆どその茶碗を使ってお茶を飲んだり人に出していたから一番落ち着く良い物だよね。


僧風の男「左様でございますか。これはなかなか良い物を頂戴する事ができましたな。ほほほほほ」


 そんな感じで母上も混ざって楽しくお茶とおたんごを食べるのでした。


 ……………。


僧風の男「長居をしてしまいましたが、これにておいとまいたします」


 屋敷の門の所でお坊さまが僕たちにそう話しました。


土田御前「大したおもてなしも出来ず、申し訳ございませんでした」


 見送りに来ていて僕たちを代表して母上がそう話したよ。


僧風の男「いえ、とても楽しいひと時を過ごす事ができました」


土田御前「そう言っていただけると助かります。あっ、そうそう、勘十郎ちゃんアレを」


勘十郎「はーい。お坊さまどうぞ」


 母上にそう言われて僕はお坊さまに布で包んだ重箱を渡してあげました。


僧風の男「おや? コレはなんですかな?」


勘十郎「コレはおだんごなの」


僧風の男「おお、あの団子でございますか」


勘十郎「うん、その中には今日出したみたらし団子とあんこのお団子が入っているの」


土田御前「途中でお腹が減ったら食べてください」


僧風の男「コレはかたじけない、あの茶碗のみならずこのような物まで頂けるとは思っておりませんでしたが。それでは遠慮なく頂戴する事にいたしましょう。ほほほ」


 お坊さまは嬉しそうにそう話しました。


勘十郎「あっ、僕はその他にもいくつかお団子を作れるのだけど、次に来た時はソッチのおだんごも出してあげるね」


僧風の音「なんと、そのような事を聞かされたら訪れない訳にはまいりませんな。もしこの近くに来る事があったらまた寄らせていただく事にいたしましょう。ほほほ」


 お坊さまが笑いながらそう話しました。


僧風の男「それではこの辺りで、失礼いたします」


土田御前「道中お気を付けてお帰りください」


信長「爺さん、楽しかったぜ。またな」


勘十郎「またねー」


 手を振る僕たちの先でお坊さまが帰って行きました。

 

信長「なかなか面白い爺さんだったな」


勘十郎「うん」


 利休さんくらいしか僕は知らなかったけどお茶の色々な話を聞かせてもらって楽しかったね。


土田御前「爺さんって、仕方のない子ね。それじゃあ戻りましょう」


勘十郎「はーい」


 有名なお茶の達人のお坊さまを爺さん呼ばわりする信長にいちゃんに母上は少し困った顔をしていたけど、僕たちは屋敷の中に戻って行きました。

 僕の知らない事も結構あるんだね。

 屋敷に戻って行きながら僕はそんな事を思うのでした。

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