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おだんご太平記  作者: 東のマ王
2章 立派な武士になれるように頑張っていたら仲間が増えたよ。

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2ー9話

土田御前「はぁーー、全くもう、あの扉を置いた壁の裏側には別の部屋があるだけであんなお風呂とか色々な物があるような部屋なんて家のドコにもないのですよ。そんなの裏から見れば一発で分かるじゃないすか、なんでソレでバレないとか秘密が守れるとか思うのですか」


 なかなか話の本質が分からないお殿様に業を煮やしたのか奥方さまがそう話しました。


信秀「そんな事を言ってもあるのだから仕方がないではないか」

土田御前「だからなんでそんな物を天狗が作ってくるのですか。私たちがオカシイと思った時点でその扉は私たちを誤魔化す役目なんて果たしてないのですからそんな物を天狗が作って来る筈はないでしょう」

信秀「そんな事を言っても儂に分かる筈はないし、本来は別の違う使い方をする物を勘十郎がコレを使えば儂たちを誤魔化せると考えてそんな使い方にしたのではないか?」


 あっ、その可能性もあるのかしら?


土田御前「はぁー、なんでこんなに分からず屋なのかしら。たかだか親に団子を作ったくらいの事で自動販売機とかそんな別の所に行ける扉とかいくつも宝具を勘十郎ちゃんに与えようなども思う筈はないではないですか」

信秀「むむっ、勘十郎の師匠の天狗は気前の良い天狗なのではないか?」

土田御前「気前が良いって、勘十郎ちゃんのあの茶室には水が尽きる事なく湧き出てお湯を沸かせる茶釜とか抹茶が尽きる事なく出てくるなつめとかお茶碗がたくさん入っていたりお団子を作れる小箱があって、更に上の方にはエアコンとか言う宝具まであるのですよ。気前が良いと言っても既に与え過ぎなくらい宝具を勘十郎ちゃんは貰っている事になりますよね?」

信秀「そうではあるが、凄いと言っても天変地異を起こすほど凄い物ではないし宝具の中では下の方の物なのではないか?」

土田御前「天変地異とかそんな物は帝ぐらいしか持ってないのではないですか。今ある物でも普通に考えれば凄い宝具ですよ」

信秀「まあそうではあるが、しかしそんなに凄い宝具か?」


 それはどうなのでしょう?


土田御前「凄いに決まっているではないですか、もしこの街が今直ぐ焼け野原になったとしても勘十郎ちゃんが1人いれば私たち家族とあと何人かは困る事なく暮らす事が出来きるのですよ」

信秀「そうか?」

土田御前「茶室の奥の部屋に入れば雨風が凌げて獣などに襲われる心配もない、お風呂に入れて食事も勘十郎ちゃんが作って食べさせてくれる。なんの問題もなく暮らす事が出来るではないですか」

信秀「むむっ、それは……」

土田御前「天変地異を起こす宝具とか雷とか風を起こす術よりも、今の勘十郎ちゃんの方が遥かに凄くと言えますよね?」

信秀「それはどうなのだ? 天変地異を起こしたり雷を落とす方が遥か凄いだろう?」

土田御前「本当にそう思いますか? 天変地異とかそんな物は誰かと戦う時にしか役に立ちませんしソレでお腹を満たす事は出来ませんから戦う前に餓死して死んでしまうかも知れませんよ? それに比べて勘十郎の力は毎日時を選ばす有効に使う事が出来るのではないですか?」

信秀「まあ、そうではあるが……」


 確かに若様一人いればひもじい思いをしなくて済みそうですね。


土田御前「それに勘十郎ちゃんは寺に修行をしに行った訳でもないのに、この僅か1月ちょっとの間でおだんごが作れる数が20皿から40皿に増えたのですよ。この調子で勘十郎ちゃんの霊力が増えていけば、本当にこの城で働いている者の食事を勘十郎ちゃんが一人で作り出して食べさせてくれる様になるかも知れませんよ?」

信秀「むむむっ、それは……」


 確かにお団子を作れる量はグングン増えていらっしゃいますよね。

 剣の腕の方はからっきしみたいですけど。


土田御前「お前さまどうします? 勘十郎ちゃんが城の者のご飯を全部作ってくれたら、食費が浮いて凄く楽になりますよね?」

信秀「おお、それは良い。ならその浮いた金で釣り竿を新しく買うか。いや城の者全部となるとそんな物ではなくて馬も買えるか」

土田御前「そうですね」

信秀「うむ、それに新しい太刀を買ったりお土たちにも服を作る反物も買ってやる事が出来るな」

土田御前「はい、そう言う事なのです」

信秀「そう言う事とはなんだ?」

土田御前「私が一番初めに勘十郎ちゃんを寺に預けたら一日中食事を作らされる事になると話したのを覚えていますか?」

信秀「おお、確かにそんな話もあったな」

土田御前「いまお前さまはなんと話しましたか?」

信秀「んっ、そんな話もあったと話したが?」

土田御前「その前です。勘十郎ちゃんが城の者のご飯を作れるようになったら釣り竿を買うだとか馬を買うとか話していましたよね」

信秀「それは金が浮くのだから浮いた分を使うくらいは問題なかろう」

土田御前「その寺の者もそう考えると言う話しです」

信秀「その寺の者もだと……」


 なるほど、それはありそうな話ですね。


土田御前「勘十郎ちゃんがたくさん作れるようになって寺の者だけでは食べきれなくなったら、勘十郎ちゃんのお団子でもお蕎麦でも売りに出せばソレでお金を稼ぐ事も出来ますよね?」

信秀「金を稼ぐだと?」

土田御前「勘十郎ちゃんの作るお団子もお蕎麦も凄く美味しいですから、飛ぶように売れるのでないですか?」

信秀「むっ、それは売れるだろうな……」

土田御前「勘十郎ちゃんは術で作るのですから材料などは要りませんし、売ったお金は全部丸儲けですよね?」

信秀「むっ、丸儲けであるな」

土田御前「食費もかからずお金も勘十郎ちゃんにお団子とかお蕎麦を作らせればジャンジャン稼げますし、稼いだお金はお前さまが話したように釣り竿を買ったりお酒を買ったり遊んで暮らせますよね?」

信秀「それは……」

土田御前「さて、それでは問題です。勘十郎ちゃんを寺に預けて勘十郎ちゃんは術とかを教えて貰えるでしょうか?」

信秀「それは術を教えて貰うように頼むのだから教えて貰えるのではないか?」

土田御前「ぶぶーー、もう一度聞きます。勘十郎ちゃんにお団子とかを作らせればソレで遊んで暮らせるようになるのですよ? 勘十郎ちゃんに術を教える人は誰かいますか?」

信秀「いや、それは徳を積んだ僧であるし、そんな事には……」

土田御前「ぶぶーー、最後にもう一度だけ聞きます。勘十郎ちゃんにお団子とかを作らせればソレでお金がジャンジャン稼げて年貢でお金を支払う必要もなく丸儲けその稼いだお金で遊んで暮らせるようななるのですよ。偉い僧だのなんだの話しても人ですからお酒を飲んで騒いだり妾を何人も作って武家以上に良い暮らしをしている人もたくさんいます。そんな人たちのところに預けて勘十郎ちゃんは果たして術の修行をつけて貰えると思いますか?」

信秀「それは……」

土田御前「お団子を作る事が修行になるとか言って一日中勘十郎ちゃんは無理矢理お団子を作らさせる事になるかも知れませんね」

信秀「いや、流石にそこまではせんだろう」

土田御前「私たちは家族ですから勿論そんな事はしませんが、他人から見たらただの金のなる木ですから勘十郎ちゃんがどう思おうが嫌がろうか関係ありませんし、そうなるのではないですか?」

信秀「むむむっ……いや、チョット待て、確かに勘十郎のあのドコでもドアーとか言う物は天狗が作ってくれたとかそんな話だった筈だぞ。それがナゼそんな話になったのだ?」


 お殿様はイキナリそんな話に変わった事に気付いてそう話しました。


土田御前「その話はもうケリが付いたのでその先の話に進んだだけです」

信秀「いったいどんなケリが付いたと言うのだ?」

土田御前「アレらの物は全部勘十郎ちゃんが作ったと言うのは分かったのでその話はもう終わりました」

信秀「いつ終わったのだ? その話をしている途中だった筈だぞ?」


 そうですよね?


土田御前「あの扉を作って持って来たのは天狗ではないと分かった時点でその話は終わりです」

信秀「ナゼ終わるのだ?」

土田御前「お前さまはなにか法術が使えますか?」

信秀「それは儂は使えんが……」

土田御前「そうですね。それでは勘十郎ちゃんが使える術はなんですか?」

信秀「それはあの茶室を呼び出す術と風を吹かせる術の2つであろう」

土田御前「はい。ならその術で呼び出す茶室は勘十郎ちゃんが作った事になりますよね?」

信秀「んっ? いやそれは、天狗の里に置いてある天狗が作ってくれた茶室を呼び出しているのではないか?」

土田御前「アレは天狗の里にあるのですか?」

信秀「ない物を呼び出す事は出来ないし、当然そうなるだろう」

土田御前「それでは茶室の奥の部屋はドコにあるのですか?」

信秀「それも天狗の里にあるのではないか?」

土田御前「それも天狗の里にあるのですか?」

信秀「うむ、茶室とその後ろ小屋はどうやって繋がっているのか分からんが、勘十郎は茶室の方だけを呼び出す事が出来て、隠し通路を通れば天狗の里に置いてあるもう一つの小屋の方に行ける。そんな事ではないか」

土田御前「なんで二つに分けるとかそんな面倒くさい事をしたのですか? 初めから家を一軒呼び出す事にした方が楽ですよね?」

信秀「むむっ、それは……勘十郎の力では大きな物は呼び出さなくてあの小さな茶室ぐらいの物しか呼び出す事が出来ないとかそんな事ではないか?」

土田御前「なるほど、それでは私の考えを話しますね」

信秀「ふむ、話してみろ」


 それは凄く気になります。


土田御前「まず初めに、勘十郎ちゃんはチヨとおままごとをしているみたいな感じでお団子がいつでも食べられるあの小さな小屋を作った」

信秀「勘十郎が作ったって……」

土田御前「あの大きさなら自分の部屋にも置けますし、子供は小さな隠れ家とかを作るのが好きですから尚更あんな姿の茶室が出来た」

信秀「それは……」

土田御前「でも使っているうちに不便というか、もう少しなにか欲しいと思って後ろの部屋が出来た」

信秀「後ろの部屋が出来たって……」

土田御前「お前さま、子供の頃に夜トイレに行くのは暗くて怖くはありませんでしたか?」

信秀「またトイレの話か……まあ確かに子供の頃はあまり一人で行きたいとは思わなかったな」

土田御前「はい、勘十郎ちゃん後ろの部屋のトイレは明るくて怖くはありませんよね?」

信秀「むっ、それは……」

土田御前「屋敷のトイレと勘十郎ちゃんのトイレお前さまならドチラに入りますか?」

信秀「それはまあ同じ距離とかもそっと離れているくらいなら勘十郎の部屋のトイレを使うのではないか」

土田御前「はい、そんな理由であのトイレが出来た。お風呂も体を濡らした布で拭くよりもお風呂に入った方が気持ち良いですし、それであのお風呂が出来た」

信秀「待て待て、それは宝具だけでなくあの奥の部屋自体を勘十郎が作ったと話しているのか?」

土田御前「はい。あの後ろ部屋には家族が全員座って食べれる机や椅子が置いてあるキッチンがありますが、勘十郎ちゃん一人で使う物ならあんなに椅子とか必要ありませんし、お風呂の方の洗い場とかもそうですね」

信秀「いや、ソッチは普通の家みたいになっているのではないか?」

土田御前「キッチンもお風呂も何人も使えるような作りになっているのに寝室は一つしかありませんよね?」

信秀「んっ? それはそうだな」

土田御前「それはナゼでしょう? 普通ならソコも何人も寝れる部屋がいくつかある筈ですよね?」

信秀「いや、それは作り忘れたとかそんな事ではないか?」

土田御前「勘十郎ちゃんと私たちは別々に寝ていますからソコは勘十郎ちゃん一人が寝る分の寝室があるだけで、私たちや他の者は各自自分の部屋に帰ると言う前提の話なら寝室が一つしかなくてもオカシクありませんよね?」

信秀「なに、それは……」

土田御前「お風呂場に脱衣所に牛乳が出せる自動販売機が出来ましたが、アレも普通に考えたらキッチンの方に置いてあるのが自然と言うか、わざわざ服を脱ぎ着するお風呂の所に置く理由はありませんよね?」

信秀「それは……」

土田御前「でもあの自動販売機はアソコにある、勘十郎ちゃんはお風呂上がりに喉が渇いて直ぐにソレを飲みたいと思ったからアソコに自動販売機が現れた。アレもコレも全部勘十郎ちゃんにとって都合が良いと言うか、勘十郎ちゃんの思う通りの物がアソコにあるとは思いませんか?」

信秀「いやそれは……作った物をどこに置くか勘十郎の意見を聞くなりして天狗がソコに置いたのではないか?」

土田御前「勘十郎ちゃんの意見ですか、あの扉もアレがあれば私たちを騙せると話して天狗はアレを勘十郎ちゃんに渡してくれたのですか?」

信秀「いや別の使い方をする物を勘十郎がそんな感じに使っただけかも知れんだろう?」

土田御前「自動販売機の置き場所をドコにするか話してアソコに置くくらいですから、その扉の方も天狗と話したり、私たちにバレないようにするのはどうすれば良いかくらいの話をする筈ですよね? ならそんな間違いなんて起きる筈はないのではないですか?」

信秀「いや、そう言われても儂には分からんが……」


 確かにお殿様の考えには無理がありそうに私も思います。


土田御前「そう、分からないのです」

信秀「そうであろう? 別に儂はオカシナ事を話している訳ではないよな?」

土田御前「そうではなくて、ハッキリ言って勘十郎ちゃんは天狗に修行を付けて貰ってその修行も終わっているのですよ」

信秀「修行が終わっているって……」

土田御前「要するに既に天狗から免許皆伝を貰っているのです」

信秀「免許皆伝だと」

土田御前「お前さまは子供だからそんな事は出来ないとか話していますが、天狗から免許皆伝を貰うくらいの腕ならそんな事が出来ても少しも不思議ではないですし、私たちに分からないのはドコまで勘十郎ちゃんが出来るのかソレだけなのですよ」

信秀「いや、それはどうなのだ?」

土田御前「どうなのだもなにも、今よりもっと幼い頃に修行を付けて貰ってソレは終わっているのですから、勘十郎ちゃんは今の状態でも凄い術師なのですよ」

信秀「凄い術師って……」

土田御前「あの茶室の中にある物は全部勘十郎ちゃんが作り出した物です。天狗も風を吹かせる事が得意ですがアレも木の葉っぱとかを持って術を使った方が凄い風を吹かせる事が出来ますよね。勘十郎ちゃんのお団子を作る小箱とかはその葉っぱみたいな物なのかもしれませんね」

信秀「あれが葉っぱって……」


 なるほど……。


土田御前「勿論、勘十郎ちゃんはまだ子供ですから力が弱かったり法術の方も苦手とか上手く使えないモノもあるみたいですが、元々もっと大きくなってから術を習った事を思い出す予定だったらしいのでソレは致し方ないですね」

信秀「それは吉法師に頭を叩かれて思い出したと言う話か?」

土田御前「はい、だからこのまま成長すればもっと凄い術を使えるようになるのかもしれませんし、今のままでもその辺にいる僧などとっくに超えた実力を持っているのです。そんな勘十郎ちゃんが誰かに術を習う必要などあると思いますか?」

信秀「むむむっ、それは他流派の術を習えば更に出来る事が増えて良いではないか」

土田御前「もし習うのであれば天狗と同じくらいの術が使える達人の元で習う以外は意味はないのでは無いですか? 使えもしない秘伝書とらやを大事にしてダラダラと何十年も無駄な修行をしている者の所に行っても得るものは一つもない。寧ろさっき話したみたいに金のなる木としてずっとシャブリ続けられるだけだと思いますよ」

信秀「むむむっ……」


 確かに奥方さまが心配されている事は普通に起こりそうですし、お寺に行かせない方が良さそうな気がしますね。


土田御前「と言う訳で勘十郎ちゃんはドコにも修行に出しません。それで良いですね?」

信秀「むむむっ、まあそれならもそっと様子を見る事にするか……」


 流石にソコまで言われるとお殿様は反論する事が出来ずそう呟きました。

 取り敢えずコレで暫く若様が寺に修行に出される心配はなさそうですね。

 若様良かったですね。

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