2ー4話
土田御前「勘十郎ちゃん言われた通りの時間に来たけどなにかあったの? あら、吉法師ちゃんも来ていたの」
翌日、父上と母上が僕の部屋に来てそう母上が話しました。
信長「はい、勘十郎に来るように言われて来たのですが、母上たちも呼ばれていたのですか」
母上に言葉をかけられ信長にいちゃんがそう答えました。
信秀「ふむ、それで勘十郎いったいどんな用件だ?」
うん、コレで全員揃ったね。
それじゃあ……。
勘十郎「それじゃあみんなこのままココでチョット待っていてね」
信秀「むっ、待つのか?」
勘十郎「うん、それじゃあチヨと桜も手伝ってね」
ちよ「はい」
桜「……こくこく」
僕はそう話すとチヨと桜を連れてドコでもドアーの中に入って行きました。
勘十郎「よいしょ、よいしょ……お待たせしました」
僕はどんぶりの乗ったお盆を手に持ちながらそうみんなに話したよ。
土田御前「あら? それはなにかしら?」
勘十郎「チヨ、桜もみんなの前にソレを配ってね」
ちよ「はい、若様」
桜「こくこく」
僕は子供だからどんぶりを一つしか持てなくてチヨには二つ、桜はアンドロイドで力持ちだから三つ持って運んで来てもらいました。
土田御前「コレはなにかしら?」
信秀「ふむ、汁がたくさん入っているようだが、なんであろうな?」
チヨと桜が配ってくれたどんぶりを見ながら母上と父上がそう話しました。
信長「おっ、コレは昨日食わせて貰ったかき揚げ蕎麦か」
首を傾げてどんぶりを見ている母上たちとは違って信長にいちゃんがソレを見てそう話したよ。
勘十郎「そなの、美味しいから父上と母上も食べてみて」
昨日の今日だから信長にいちゃんにはコレがなにかわかったみたい。
土田御前「そうなの、勘十郎ちゃんはコレを私たちに食べさせてくれるために私たちを呼んだのね」
信秀「ふむ、そう言う事か。ならば食べてみるとするか」
母上と父上それに信長にいちゃんも箸を手に取ってかき揚げ蕎麦を食べ始めました。
土田御前「この上に乗っているコレはなにかしら?」
勘十郎「それは色々なお野菜を細かく切った物に衣を付けて油で揚げたかき揚げなの」
土田御前「そうなの、それじゃあいただいます。ぱくり……まあ、とっても美味しいわ」
信秀「うむ、確かに美味いな。ぱくぱく……」
母上と父上はお蕎麦の上に乗っているかき揚げを一口食べてそう話したよ。
土田御前「あらコレはお野菜だけじゃなくて小さなエビも入っているのね」
勘十郎「うん、そのエビが入っているともっと美味しくなるの」
流石は母上一口食べただけでそんな事もわかってしまうんだね。
信秀「ほほぉ、コレの小さな赤いモノはエビだったのか。確かにそんな味がするな」
土田御前「そんな物まで入れてあるなんてなんだか手の込んだお料理みたいですね。ぱくぱく……」
かき揚げを二人とも美味しく食べてくれているみたいだね。
信秀「むっ、しかしこの下の麺の方はカビているのではないか?」
土田御前「あら、この色は……」
かき揚げを取った事でその下に見えたお蕎麦を見て父上と母上が困ったような顔をしてそう話したよ。
信長「それは蕎麦と言う物らしいですよ」
土田御前「そばってなにかしら?」
信長「蕎麦の実という物には黒い殻が付いていてソレをひくとそんな色の麺になるそうです」
スゴい、たった一度説明しただけで信長にいちゃんはチャントその事を覚えていたんだ。
信長にいちゃんって頭がいいんだね。
土田御前「そうなの、そばとかそばの実とか初めて聞いたけど、どんな物なのかしら?」
信長「それは俺も昨日話を聞いただけで詳しくは知らないのですが、母上たちも知らない物なのですか?」
土田御前「ええ、初めて聞いたわ」
信秀「うむ、儂も初めて聞く名だな」
信長にいちゃんたち三人は首を傾げてそんな事を話してします。
コレは僕が説明するしかないよね。
勘十郎「お蕎麦は信濃の方で食べられている物なの」
土田御前「えっ、信濃って……?」
信秀「信濃だと?」
お蕎麦の発祥地って確かその辺りだった気がするよね。
勘十郎「うん。あっでもまだこう言うお蕎麦じゃなくて、蕎麦がきって言う蕎麦の実を引いて粉にした物をお茶碗の中に入れてお湯とか水をかけてグチャグチャにかき混ぜた物にお醤油とかをかけて食べているのだけど、ソレを食べやすいように麺の形にした物が今食べてもらっているお蕎麦なの」
麺状のお蕎麦が食べられるようななったのは江戸時代の初めとかその辺りだった筈だから、まだこの時点ではこう言うお蕎麦はないのかも知れないね。
土田御前「そうなの、勘十郎ちゃんはそんな物を作っていたの……」
信秀「信濃か……よくそんな所で物を食べている物を知っていたな」
母上と父上が驚いているみたい。
それはともかくとして。
勘十郎「美味しいからたくさん食べてね」
コレを食べてもらうためにみんなを呼んだのだから食べてもらわないと話が先に進まないし、僕はそう話しました。
土田御前「そうね。せっかくこうして作ってくれたのだから、いただきましょう。ずずず……あら、コレは」
信秀「うむ、そうだな。ずずずず……なっ! 美味い!」
父上と母上は一口お蕎麦をすするとそう話したよ。
土田御前「麺にしっかり味があってとても美味しいわね」
信秀「確かに、これは美味い物であるな。ずずずず……」
よかったぁ、父上と母上にも喜んでもらえたみたい。
信長「ずずず……ぷはぁあ。うん、美味かった」
信長にいちゃんはどんぶりに残っていた汁をお酒をあおるように飲み干してそう話した。
勘十郎「おかわり食べる?」
信長「いいのか? ならもう一杯もらえるか」
勘十郎「はーい、それじゃあチョット待っていてね」
ちよ「あっ、若様、私が持って来ますから若様はコチラでお殿さまたちと一緒に食べていていてください」
僕が立ち上がったのを見てチヨがそう話してくれました。
勘十郎「ありがと、でもコレは僕にしか作れないし、チヨはみんなと一緒に食べていていいよ」
僕たち家族四人の分とチヨと桜の分もチャント作ってその二人にも食べもらっていたんだよね。
ちよ「それじゃあ私が運びましょうか?」
勘十郎「一杯くらいなら僕でも持てるし、それに時間が経つとお蕎麦が伸びちゃうからチヨはココで食べていていいよ」
ちよ「なんだか申し訳ございません」
勘十郎「いいの、それじゃあチョット作って来るね」
僕はそう話すとドコでもドアーの中に入って行きました。
勘十郎「よいしょ、よいしょ……はい、信長にいちゃんお待たせさま」
僕は作ってきたかき揚げ蕎麦を信長にいちゃんの前に置いてあげました。
信長「悪いな。まあ俺の名前は吉法師だが……まあそんな事はどうでもいいか。ずずずず……」
信長にいちゃんは僕に信長にいちゃんと呼ばれる事に慣れてきたのかサラッとその事は流してお蕎麦を食べ始めました。
信秀「ふぅ〜〜、この蕎麦という麺も美味いが汁の方もなかなか美味いな」
土田御前「そうですね。とっても良い味がしますね。ずずず……」
父上と母上がどんぶりを持って汁を飲みながらそう話したよ。
勘十郎「父上もおかりいる?」
信秀「うむ、それでは儂も頼むとするか」
勘十郎「はーい。あっ、母上もおかわりする?」
土田御前「あっ、私はまだ残っているしコレだけいただけば十分よ」
勘十郎「そうですか。それじゃあまたチョット行ってくるね」
行ったり来たり大変だけど僕は父上のおかわりの分を作りにドコでもドアーの中に入って行くのでした。




