2ー3話
勘十郎「ふぅ〜、こうしてお茶を飲んでいると疲れが取れる気がするね」
ちよ「そうですね」
服の打ち直しをするのにも霊力を使うみたいで、2着目を作ったあたりで霊力が切れそうになったので、そこで作業は一旦やめにしてコチラの茶室に戻って来て一休みしています。
2着目は耐久力が+1しか増えてなかったら必ず同じだけ耐久力とかが上がって同じ物が作れると言う訳ではなさそうだけど、何度か試していればもっと良い物が作れるかも知れないね。
あっ、ステータス画面を見たら鍛冶(打ち直し)(初級)と言う技能が増えていたの。
ポイントを割り振って楽して手に入れたい技能じゃなくてチャント自分で努力して獲得した技能だからなんだか嬉しくなっちゃうよね。
信長「勘十郎、いるかー」
お休みしているとそんな信長にいちゃんの声が聞こえて来ました。
信長「おっ、ココに居たのか」
勘十郎「信長にいちゃん、どうかしたの?」
僕の部屋へとやって来た信長にいちゃんに僕はそう尋ねたよ。
信長「いや、俺は吉法師なんだが……」
勘十郎「あっ、ゴメンなさい。吉法師にいちゃん」
ついつい信長にいちゃんになっちゃうよね。でも信長にいちゃんはまだ信長になる前の子供だから吉法師と言う幼名が今の名前なの。間違えてゴメンなさい。
信長「まあそれはいいが、腹が減った団子を食わせてくれ」
勘十郎「あっ、おだんごですか。なにがいい?」
戦の時と戦が終わった後にみんなにおだんごを作ってあげてから信長にいちゃんもたまにこうしてお腹が減ると僕の所に来るようになったんだよね。
おだんごを作ってみんなに食べさせてあげるのは僕は嫌いじゃないし、僕はそう尋ねたよ。
信長「あんこの団子を食わせてくれ」
勘十郎「あんこのお団子ですか。あっ、僕新しいおだんごを作れるようになったのだけど、そっちのおだんごも食べてみる?」
この間の戦の時にたくさんおだんごを作ったおかげか僕の茶室が初級から中級になって作れるおだんごの種類が増えたの。
新しく増えたおだんごもドレも美味しいから信長にいちゃんもソッチを食べてみるのはどうかと思ってそう尋ねました。
信長「そうなのか。うーん、少し気になるがやはりあんこの団子を食わせてもらおう」
勘十郎「はーい、それじゃあすぐに作るね。それじゃあ、ドォーーン!」
本人が食べたい物を出してあげるのが一番いいよね。と言う事で僕は茶室の机の下にある小箱の上の引き出してを引き出しておだんごを作りました。
この小箱の上の段の底に霊力を流し込むだけで済むから簡単に作れてしまいます。
勘十郎「それじゃあ、吉法師にいちゃんどうぞ」
信長「うむ、それじゃあ、ぱくり……美味い! 勘十郎の作る団子は本当に美味いな。ぱくぱく……」
僕がおだんごの乗ったお皿を信長にいちゃんの前に差し出しあげると、信長にいちゃんはそのおだんごを美味しそうに食べ始めました。
うん、こんなに喜んでもらえると作ったかいがあるし僕も嬉しくなっちゃうよね。
勘十郎「あっ、そう言えば吉法師にいちゃんはドコかに行っていたの?」
信長「ああ、町の見回りに行っていたんだ。ぱくぱく……」
勘十郎「見回りですか、お疲れさまです」
この間の戦の時から信長にいちゃんは町にオカシナ人が入り込んでいないか町の見回りをするようになったの。
まだ小学2、3年生って辺りの歳なのにそんな事を自分から率先してやるなんてスゴいと思います。
信長「まあ今日は何件か喧嘩を止めたぐらいだから大した事はしてないがな。ぱくぱく……」
勘十郎「えっ、そんな事があったの? 怪我とかしてない?」
信長「チンピラにやられるほどやわな鍛え方はしてないから怪我なんてする筈はないぞ。ぱくぱく……」
勘十郎「そうなんだ、吉法師にいちゃんってスゴいんだね」
もちろん、家臣の大人の人たちも連れて行っているとは思うけど、町の人のためにそう言う事をしているのってスゴく偉いと思います。
信長「ホントに大した事してないがな。ごくん。ふぅー、ご馳走さん」
話している間に信長にいちゃんはおだんごを食べ終えたのかそう話したよ。
勘十郎「お腹いっぱいになった? 足りなければもっと作るよ?」
信長「うぅん、腹いっぱいとは言えないが、無理をさせて倒れられても困るし、このくらいなら我慢できるだろう」
信長にいちゃんが自分のお腹の辺りを手で撫でながらそう話したよ。
あっ、僕がこの前の戦の時におだんごを作りすぎて何度も気絶していたから信長にいちゃんは僕の事を心配してくれているみたいだね。
勘十郎「一つや二つ作ったところでなんともないけど、あっそうだ。信長にいちゃんお腹がすごく減っているの?」
信長「俺は吉法師だが、まあ減ってはいるな」
勘十郎「そうなんだ。それじゃあチャントしたご飯の方がいいのかな。チョットこのまま待っていてね」
信長「んっ? 勘十郎はドコに行くのだ?」
急に走り始めた僕に信長にいちゃんは戸惑っているみたいだけど、信長にいちゃんがお腹が減っているのならお腹いっぱいにさせてあげないとだよね。
急げーーーー。
と言う訳で、僕は部屋の脇にあるドコでもドアーみたいな感じの茶室の奥の部屋に続く秘密の扉の中に入っていきました。
勘十郎「よいしょよいしょ、信長にいちゃんお待たせしました」
僕はお盆に乗せたどんぶりの中身を溢してしまわないように気を付けて持ちながら持って来ると信長にいちゃんの前にそれを置いてあげました。
信長「んっ? コレはなんだ?」
信長にいちゃんがそのどんぶりの中を覗きながらそう尋ねてきました。
勘十郎「コレはかき揚げ蕎麦なの」
信長「かきあげ、なんとかって、なんだ?」
勘十郎「かき揚げと言うのは玉ねぎとかお野菜を細長く切ってそれに衣を付けて油で揚げた物で、ソレをお蕎麦の上に乗せた物なの、とっても美味しいよ」
信長「そんな物は初めて見たが、確かに美味そうな匂いがするな。試しに食ってみるか。ぱくり……う、美味い!」
信長にいちゃんは上に乗っていたかき揚げを箸で摘んで一口食べるとそう話したよ。
勘十郎「かき揚げも美味しいよね」
信長「なんだコレは、こんな美味い物は初めて食べたぞ。ぱくぱく……」
勘十郎「ねー。揚げたてのサクサクした状態のかき揚げも美味しいけど、少し汁の中に浸してくたーってなったかき揚げも美味しいんだよね」
どっちの状態のかき揚げも美味しく食べれるんだよね。
信長「うん、確かに美味いが……なっ、なんだコレはこの細いうどんはカビが生えているじゃないか」
勘十郎「えっ、カビってそんな筈は……あっ、それはカビじゃなくてお蕎麦なの」
信長「カビじゃないのか?」
勘十郎「うん、お蕎麦って蕎麦の実をうどんみたいな感じで石臼で引いて粉にした物をこねて作るのだけど、蕎麦の実には黒い殻が付いていてソレを全部剥いて取るのは大変で少し残ってしまうの、その殻にも栄養があるからそのままそうして食べているの」
信長「カビではないのか」
勘十郎「うん、中の方までその殻を取っちゃえばもっと白い色になるのだけど、それだと食べられる量も減っちゃうしチョット殻が残っている方がお蕎麦っぽい良い匂いがするからお蕎麦ってだいたいそんな感じで食べられているの」
信長「そうなのか」
勘十郎「とっても美味しいから食べてみて」
信長「まあそう言う事なら食べてみるか。ずるる……なっ! 美味い!」
信長にいちゃんはお蕎麦を一口すするとそう話したよ。
勘十郎「ねっ、お蕎麦も美味しいよね」
信長「うん、確かにコレは美味い、うどんよりもシッカリ味が付いていて、寧ろコッチの方が美味く感じるな。ずるるる」
勘十郎「ねー。僕もドチラかと言うとおうどんよりもお蕎麦の方が好きかも」
おうどんも美味しいけど僕はお蕎麦派なのです。
信長「ずずずず……ゴクン。はぁ〜〜、美味かったぁ」
お汁まで全部飲み干して信長にいちゃんがそう話したよ。
うん、そこまで食べてもらって喜んでくれたら作ったかいがあるし僕も嬉しくなっちゃうよね。
勘十郎「どう? お腹いっぱいになった?」
信長「うむ、コレだけ食べれば十分だ。腹いっぱいになったぞ」
勘十郎「そう、それはよかった」
信長にいちゃんに満足してもらえたみたいでよかったー。
信長「さて、腹もいっぱいになった事だし、部屋に戻るとするか」
勘十郎「えっ、信長にいちゃんもう行っちゃうの?」
信長「ああ、見回りをしていたと言っても勉強もしないとオヤジとお袋に小言を言われるしソッチもしておかないとな」
勘十郎「あっ、お勉強ですか」
信長にいちゃんと遊びたかったけどそう言う事なら仕方ないかな。
信長「うむ、それじゃあまたな」
勘十郎「うん、お勉強頑張ってね」
信長にいちゃんはそう話すと僕の部屋から去って行きました。
ちよ「若様、お蕎麦まで食べさせてしまって大丈夫なのですか?」
信長にいちゃんの姿が見えなくなるとチヨがそう僕に話して来ました。
勘十郎「えっ? お腹が減っていたら可哀想だから食べさせてあげた方がいいよね?」
ちよ「そうではなくて、若様の茶室の秘密がバレてしまうのではないですか?」
あっ、そう言う事ですか。
勘十郎「うーん、でもみんなをお風呂に入れてあげているし、キッチンの方もその時に見ている筈だから多分大丈夫なんじゃないかな?」
今回はドコでもドアーの方から茶室の奥の部屋に行ったけど、僕の茶室の奥にはキッチンとかお風呂やトイレそれに寝室とかさっきまで作業をしていた作業部屋みたいな部屋があるの。
側から見ただけだと畳3畳ほどの小さな小屋みたいな茶室だけど、その茶室の掛け軸がかけてある床の間の後ろの壁は隠し扉みたいになっていて本来はそこからソッチの奥の部屋に行けるようになっているの。
なんで畳3畳の小屋の後ろにそんな部屋があるのかよく分からないけど、たぶん転移魔法みたいなモノでソッチの部屋に行けるとか空間魔法みたいなモノでその辺りに広い部屋がいくつも作ってあるんじゃないかなと思っています。
まあドコでもドアーの方が完璧に転移魔法的な物だと思うけどね。
その他にもその茶室の奥の部屋にはいくつか秘密があって、茶室の机の下に霊力を注ぐとおだんごが作れるマジックアイテムみたいな物があるのと同じでキッチンの所にもソコで霊力を注ぐとさっきのお蕎麦みたいな物が作れるの。
キッチンの方は最近ソレに気付いて、茶室が初級から中級に上がった時にアレコレ違いを調べていたらその事に気付いたって感じなのだけど。
もしかしたら初めからなにかご飯的な物がソコで作れていたのかもしれないね。
ちよ「そうですか」
勘十郎「心配してくれてありがとう。でもおだんごもバレなかったからお蕎麦を出してもバレないと思うよ」
ちよ「そうかもしれませんね……」
もし僕が魔法みたいな事ができる事がバレたらお寺に連れて行かれてしまうからチヨはそうならないように心配してくれているんだね。
チヨは優しい女の子なのです、お勉強は少し苦手みたいだけどね。
勘十郎「でも、これはアッチの計画の方も進めた方がいいかもしれないね」
ちよ「アッチの計画ですか?」
勘十郎「うん」
僕はそう話すとチヨとナイショの話を始めるのでした。




