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おだんご太平記  作者: 東のマ王
1章 僕は織田勘十郎信勝、5歳よろしくね。

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38/65

38話

勘十郎「父上まだかな」

ちよ「もうそろそろお戻りになられると思いますよ」

桜「…………?」


 あれから数日後、茶室でお茶を飲みながらチヨとそんな事を話していました。


土田御前「勘十郎ちゃん、あの人が帰って来たから迎えに行きましょう」


 そんな僕たちの所に母上がやって来てそう話したよ。


勘十郎「はーい」

ちよ「若様よかったですね」

桜「…………?」


 うん、コレはみんなでお迎えに行かないとだよね。

 そして僕たちは父上を出迎えるために玄関の方へと向かって行きました。


 ……………。


ちよ「あっ、若様お殿さまの姿が見えましたよ」

勘十郎「あっ、ホントだ」


 チヨの言葉にソチラに目を向けると馬に乗った父上が家臣の人たちを連れてコチラに進んで来る姿が見えました。

 チャント無事に帰って来たんだね。

 ホッとしながら父上の姿を見ていました。


信秀「おっ、いま帰ったぞ」

土田御前「ご無事のお帰りなによりでございます」


 馬に乗った父上が僕たちの所まで来るとそう話したよ。


信秀「うむ。よっと、色々と心配をかけたみたいだがコチラに変わった事はなかったか?」


 父上が馬から降りて母上にそう尋ねたよ。

 こっちの事も心配してくれていたみたい。


土田御前「はい、コチラは大きな問題などは起きずにつつがなく過ごせました」

信秀「そうかそれは良かった」

土田御前「お前さま大勝利おめでとうございます」

信秀「うむ、なかなか大変な戦であったが見事に勝ち切る事が出来た。まあこうしてお前たちの姿をまた見る事が出来たのがなによりの手柄であろう」

土田御前「本当にお疲れさまでございました」

信秀「うむ」


 うん、父上が無事に帰って来て母上も凄く嬉しそうだよね。

 勿論、僕も凄く嬉しいけどね。


信長「父上、おかえりなさいませ。無事のお帰りなによりでございます」

勘十郎「あっ、父上ーー、おかえりなさい」


 信長にいちゃんが父上の側に行ってそう話したので僕も慌てて父上の側に行くとそう話したよ。


信秀「おっ、吉法師に勘十郎、お前たちにも心配をかけたみたいだな」

勘十郎「うん、僕、すごく心配したの」

信長「んっ? 俺はオヤジたちが勝つと思っていたから心配なんて少しもしてなかったぞ」


信秀「あっはっはっ、そうか。勘十郎は心配してくれていたみたいだが吉法師は心配してくれんかったのか。それはちと寂しい気がするそれだけ儂たちの勝ちを疑っていなかった気持ちの現れであろう。うむ、それはそれで嬉しくはあるな」

信長「当然だ。オヤジたちがあんなヤツら負ける理由なんてドコにもないし勝って当然だ。まあ少しは心配したが今思うと心配して損した気分だ」

信秀「あっはっはっ、そうかそうか少しは心配してくれていたのか。よいよい、それはそれで悪くはない労いの言葉であるな。はっはっはっ」


 うん、信長にいちゃんも凄く心配していたのは間違いないけど、カッコ付けて心配してないって言っちゃったみたいだね。

 信長にいちゃんは優しくて少し照れ屋さんな男の子なのです。


信秀「おっと、それと勘十郎それに吉法師もあの団子はよい贈り物であった。アレで儂らの勝ちが決まったようなモノであるし、よくアレを届けてくれた。よくやった」

勘十郎「あっ、はーい。僕頑張っておだんごを作ったの」


 よかったー。ちゃんと父上たちに僕のおだんごが届いたみたいだし褒めてもらえて僕嬉しいの。


信長「んっ? それは俺はなにもしてないぞ」

信秀「おっ? 届けた兵からお前が届けるように指示を出したと聞いたが違うのか?」

信長「俺は届けるように話しただけでなにもしてないぞ」

信秀「そうか。しかしいくら良いモノを作ったとしてもキチンと相手に届かなければ意味はない、勘十郎の事だからきっと団子を作る事に夢中で届ける事まで気が回らなかったのかもしれん、しかしそれをお前が届けさせた事で意味のあるモノに変えたのだ。勘十郎だけでも吉法師だけでもそうはいかなかっただろう。あれはお前たち二人がいたから出来た、お前たち二人の手柄だ。二人ともよくやった」

勘十郎「あっ、はーい」


 そうだよね。僕は作る事に夢中でちっとも父上たちにどう届けるとか考えてなかったよ。

 そう考えると信長にいちゃんってすごいよね。僕が寝ちゃった後にチャント父上に届くように手配をしてくれたのだもの。

 信長にいちゃんがいてくれてホントによかったーー。


信長「まあそう言う事なら俺も少しは役に立ったのか」

信秀「そうだな。それに聞いた話によるとお前は街の見回りなどもしていたらしいな」

信長「俺に出来るのはそのくらいだし俺の出来る事をしただけだ」

信秀「うむ、そこまで成長しているとは思っておらなかったが、よくやってくれた。頑張ったな」


 うん、僕はおだんごを作った後は大人しくお留守番をしていただけだったけど信長にいちゃんはその後もずっと見回りとかしていたから凄く頑張っていたと僕も思います。

 信長にいちゃんってスゴい!


信長「そのくらいで誉めらるのもどうかと思うが、次は俺も戦に連れて行ってくれ。その方がもっと役に立つし手柄が立てられそうだ」

信秀「おっ、そうか。それは良い心がけであるし心強い限りではあるが、しかし戦に連れて行くのはちと早いかな。だがその心意気は悪くはないし頼もしく思うぞ」

信長「ちっ、まだ俺は戦に連れて行ってはもらえんのか……」


 信長にいちゃんは残念そうにしているけど僕から見てもソレはチョット早過ぎる気がするよね。

 もう少し大人になってからでもソレは良いと思います。


信秀「うむ、それにしても勘十郎あの団子は見事な味であったぞ」

勘十郎「僕? 僕、頑張ったの」

信秀「そうか、あれだけ多くの団子を作るのは大変だったのではないか?」

勘十郎「うん、少し大変だったけどみんながお腹をすかせていたら困るし喜んでくれるように頑張って作ったの」

信秀「おお、やはりそうか。儂一人で食うには妙に数が多いと思ったが、やはりアレは儂だけではなく家臣たちの事まで考えてあのような数になったのだな。よくやった。あれで士気が上がり勝てたようなモノだ。ようあれだけ作ってくれた」

勘十郎「わわわ……きゃっきゃっ」


 父上はそう話すと僕を頭の上に抱え上げて高い高いをしてくれました。

 こうして父上に高い高いをしてもらうのは久しぶりの気がするし嬉しくて楽しくなっちゃう。きゃっきゃっ。


信秀「おお、そうだ。あの団子を食べた家臣達がみな美味いと褒めていたぞ。勿論、儂も美味いと思ったがあんな美味い団子はそうは食えまい。まことに見事な団子であった」

勘十郎「きゃっ、きゃっ」


 ふふふ、こうして高い高いしてもらうのはすごく嬉しいの。桜にしてもらうのも楽しくていいけど、父上にしてもらうのもとっても楽しくて嬉しいよね。きゃっきゃっ。


土田御前「お前さま、お疲れでしょう屋敷に入って一休みしてください」

信秀「おお、そうだな。それでは屋敷に帰るとしよう」

勘十郎「はーい」


 と言う訳で僕は父上に抱っこされたまま屋敷の方へと向かって行くのでした。

 いや、でもコレは……。


勘十郎「く、くさいーー」


 父上に抱っこしてもらうのは嬉しいけど父上の体から獣と言うかスゴい匂いがして僕は思わずそう言葉が漏れてしまいました。


信秀「く、くさいだと……」

土田御前「こら、勘十郎ちゃんソレはお父さまに失礼でしょう、チャント謝りなさい」

勘十郎「あっ、父上ごめんなさい」


 そうだよね。ずっと戦場で戦っていた訳だしお風呂にゆっくり入る余裕なんてなかった筈だから臭いとか言ったら失礼だよね。


信秀「あー、よいよい。確かに臭くはあるが、この汗と埃と土にまみれたこの匂いがお前たち家族と領民たちを守り抜いて勝ち取った勝利の匂いとも言える。そう考えればこの匂いもそう悪くはないのかもしれんな。はっはっはっ」

勘十郎「父上、ごめんなさい」


 そうだよね。父上たちはずっと頑張っていたのだから僕失礼な事を言ってしまったかも。

 あっ、でも待って。


勘十郎「父上、チョット下ろして」

信秀「んっ? 下ろすのか? よいしょっと」

勘十郎「うん。それじゃあ、父上ちょっとコッチに来て」

信秀「なんじゃ? 勘十郎、儂をどこに連れて行くのだ?」

勘十郎「いいから来て、あとチヨと桜も一緒に来てー」

ちよ「はい、若様」

桜「…………?」


 僕は父上の手を引いて走り始めました。


土田御前「あら、勘十郎ちゃんその人をドコに連れて行くの?」

勘十郎「すぐに戻るから、チョット待っていてね」


 母上が少し驚いたようにそう話したけど僕は父上の手を引いてそのまま走って行くのでした。

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