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おだんご太平記  作者: 東のマ王
1章 僕は織田勘十郎信勝、5歳よろしくね。

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30/64

30話

信長「それでは勘十郎、かかって来い」


 剣の素振りと形稽古を済ませて、実戦形式の稽古の始まりです。


勘十郎「はーい」


 今日こそは絶対に信長にいちゃんから一本を取っちゃうんだからね。


勘十郎「それじゃあ行くよ。たぁあああああ」


 僕は木刀代わりの棒を構えて信長にいちゃんに向かって行くとその棒を信長にいちゃんに向けて思いきり振り下ろしました。


信長「遅い!」


 わわわ、信長にいちゃんに僕の棒をまたかわされてしまいました。

 いやーー、また叩かれるーー(><)


 ……………………あれ?


 いつまで経っても頭を木刀で叩かれる痛みが来ないよ?

 どう言う事だろう。

 僕は瞑っていた目をチラッと開けて頭の上を覗いてみました。


桜「……………」


 あれ? 桜が信長にいちゃんの木刀を掴んでいるよ。

 これはどう言う事でしょう。

 いつの間に桜は僕の近くに来たのかな?

 もしかして桜が信長にいちゃんの木刀を止めてくれたのかな?


信長「なんだオマエは、稽古のジャマだ、引っ込んでいろ」


 信長にいちゃんが桜を見ながらそう話したよ。


桜「………………(怒)」


 あれ? なんだか桜が怒っているような?

 もしかしてコレは……。


勘十郎「桜、怒っちゃダメーー! コレは稽古なの、喧嘩をしている訳じゃないから怒っちゃダメなのー!」

桜「? ………こくこく」


 いちおう僕の言葉が伝わったのか桜の目から怒気みたいなモノが消えました。

 ふぅ〜〜、危なかったぁ。


勘十郎「いい? コレはお稽古なの、こんな風に2人で向かい合って剣の代わりに安全な木の棒とかを使って、相手にその棒を当てたり当たらないようにかわす練習をしているの。だからジャマをしたらダメだよ」

桜「……こくこく」


 よし、桜にもコレが稽古だと伝わったみたい。

 桜の前でこう言う稽古をするのは初めてだから僕の事を心配してくれたのかもしれないね。


信長「離せ、離さぬか。ぬぬぬ……びくとも動かん。この女いったいどんな力をしているのだ」


 信長にいちゃんの木刀を桜が手で掴んだまま僕と話をしていたので信長にいちゃんが困っているみたい。


勘十郎「桜、信長にいちゃんの木刀を離してあげて」

桜「こくこく……ぱっ」


 僕がそう話すと桜が信長にいちゃんの木刀を離してくれました。

 さあ、お稽古の再開です。


信長「むっ、おい女。オマエはただの侍女じゃなくてオヤジが勘十郎の警護に雇った者らしいな」

桜「…………?」


 あれ? 信長にいちゃんが桜を見てそんな事を話し始めたよ。


信長「そこそこやるみたいだが。どのくらい強いのか俺が確かめてやる。俺と勝負しろ」

桜「…………?」


 えっ? 信長にいちゃんが桜を見ながらそんな事を言い出しました。


勘十郎「ええーー、僕とのお稽古は!?」


 信長にいちゃんと桜が稽古をしたら僕とのお稽古の時間がなくなっちゃうよー。それは困ります。


信長「この女を倒した後にチャント勘十郎の稽古もつけてやるさ。さあ、女! 勝負しろ」


 むむむっ、信長にいちゃんはすごくやる気になっているみたい。

 コレは止めるのは難しそう。


勘十郎「……こそこそ、桜いい? コレはお稽古なの、相手を傷つけたり痛くさせないように、そぉーーっと優しく、ソフトに相手に棒とかを当てたり、当たらないようにかわすお稽古なの。信長にいちゃんに怪我をさせたりしたら絶対にダメだからね?」

桜「……こくこく」


 うん、僕はいつも信長にいちゃんに頭を叩かれてタンコブができたり痛い思いをしているけど、桜がうっかり信長にいちゃんを叩いたらタンコブじゃ済まない事になるかもしれないし、ココはチャント教えておかないとだよね。


信長「手加減など無用。歳は俺より上みたいだが女にやられるほどやわな鍛え方はしてないぞ。本気でかかって来い」


 あう、信長にいちゃんに聞こえてしまったみたい。


勘十郎「いい、絶対に本気でやっちゃダメだよ? 怪我をさせないように優しくソフトにオブラートで包むみたいに、優しく相手をしてあげてね」

桜「こくこく……」


 大丈夫かなぁ、桜って手加減とかできるのかな。

 こう言う事は今までなかったからスゴく心配です。


信長「勘十郎ジャマだ、脇の方に移っていろ」

勘十郎「はーい。桜、絶対に信長にいちゃんを叩いちゃダメだからね?」

桜「? こくこく……」


 少し心配だけど僕はジャマにならない場所に移って行きました。


信長「おい女、好きな得物を選ばせてやる、木刀でも槍でも好きな物を使っていいぞ」


 ぼんやりと立っている桜を見てなにも手にしていない事に気付いたのか信長にいちゃんがそう話したよ。


桜「……………」


 一方、桜の方はぼんやり信長にいちゃんを見ているだけでなにも動きません。

 コレはどうなるのでしょうか。


信長「なぜなにも取らん。もしかして無手の技が得意なのか?」

桜「……………」

信長「それならそれで構わんが、素手の女を倒したところでなんの自慢にもならん。勘十郎お前のその棒をその女に貸してやれ」

勘十郎「はーい。桜、優しくね?」

桜「こくこく……」


 と言う訳で僕の使っていた棒を桜に渡してあげました。


信長「うむ、それではかかって来い」


 桜が僕の棒を持つと信長にいちゃんがそう話したよ。


桜「…………」


 でも桜はぼんやり信長にいちゃんを見ているだけで動きません。


信長「どうした、来ぬのか」


 信長にいちゃんは木刀を両手で構えて桜を見ています。

 桜の方はボケっとしたまま信長にいちゃんを見ているだけで僕が渡した棒も先の方を下を向けてただ棒を持っているだけって感じだけど、これ大丈夫なのかな?


信長「来ないのなら、コチラから行ってやる。うおぉおおりぁあああ!」


 動かない桜に業を煮やしたのか信長にいちゃんが桜に向かって行きました。

 桜、大丈夫だよね? チャント手加減できるよね?


信長「たぁああああ!」

桜「…………ひょい」


 信長にいちゃんが上段に構えた木刀を桜に向けて振り下ろしました。

 スゴい! 信長にいちゃんってあんなに早く剣を振り下ろしていたんだ。

 信長にいちゃんと練習していた時は分からなかったけど、あんなに早く木刀を振り下ろされたら僕がかわせなくても仕方ないよね。


信長「ほぉ、コレをかわすか。いちおうオヤジが護衛に雇っただけの事はあるみたいだな」

桜「…………」


 今の素早い一撃をアッサリかわしてみせた桜に信長にいちゃんは少し感心したようでそう話しました。

 桜の方はどうでも良さそうな感じでぼぉーーっと信長にいちゃんを見ています。

 ってか、ココで終わりしてくれたりしないかな。


信長「ならば次は本気で行かせて貰うぞ。うぉおおりゃあああ!」

桜「…………ひょい」


 あっ、やっぱりソレで終わりなんて事にはならないみたい。

 信長にいちゃんが先ほどよりも素早い一撃を桜に向けて放ちました。

 桜の方はどうでもいいって感じのやる気のない顔をしながらサラッとその一撃をかわしました。

 スゴい、信長にいちゃんさっきのは本当に本気じゃなかったんだね。

 剣の勢いがさっきとは全然違います。


信長「まだまだ、おりゃおりゃおりゃーー」

桜「………ひょい、ひょい、ひょい」


 信長にいちゃんの息をもつかせぬ連続攻撃が桜に向けて放たれました。

 桜の方は少し離れたところで飛んでいる蝶々が気になったのかソレをぼんやり目で追いながらその片手間みたいな感じで信長にいちゃんの木刀をかわしています。

 スゴい! 信長にいちゃんってあんな技を持っていたんだ。

 僕初めて見たかも。


信長「ええい、チョコマカうっとおしい、動きだけはいちおう素早いみたいだな」

桜「…………」

信長「だが逃げ回っているだけでは俺は倒せんぞ。喰らえ、おりゃあああ!」

桜「………ひょい、ひょい、ひょい」


 信長にいちゃんがギアを一段上げて桜に襲いかかっていきました。

 一方、桜の方はまだコレを続けるの? って感じでめんどくさそうな顔をして僕を見ています。

 なんで僕の方を見ているのに信長にいちゃんの振る剣を避けられているのか全く僕には分かりません。

 でも、信長にいちゃんは僕が思っていた以上に剣術を体得していたみたい。スゴい!


ちよ「コレは勝負にならないですね」

勘十郎「そだね」


 いつの間にか僕の近くに来ていたチヨがそう僕に話しました。

 チヨの目にも勝負の行方は一目瞭然みたいだけど、でもコレは仕方ないの。

 だって桜は要人警護用のアンドロイドだからまだ子供の信長にいちゃんに勝てる筈はないの。


信長「はぁはぁ、ぜぇぜぇ……なんだこの女は、全く俺の剣が届かん……いったいどんな技を使っているのだ……はぁはぁ」

桜「…………」


 残念ながら桜はなんの技も使っていないの。

 ただ信長にいちゃんより早く動いてただ信長にいちゃんの剣をかわしているだけなの。

 そこにあるのは純粋なスペックの違いだけだからコレはどうしようもないの。


勝家「吉法師様にはその女の相手はまだ早いみたいですな」


 信長にいちゃんの動きが止まった瞬間を狙いすましたようにそんな言葉がその場に響きました。

 あれ? 勝家さんもココに来たの?

 見慣れたマッチョな大男の姿を目にして僕は心の中でそう呟くのでした。

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