3話
勘十郎「うわぁああ! なんだか目の前の畳の所が光り始めたよ!」
僕がスキルを唱えると少し先の所から光が上に立ち昇り始めました。
スゴい、本当に魔法を使っているみたいでゾクゾクしちゃうよね!
勘十郎「おっ、おおお! コレは、黄金の……いや黄金じゃないけど、茶室が出て来たよ!」
光が止んだソコには秀吉さんが晩年に作らせた黄金の茶室、アレを黄金じゃない普通の木の小屋のような形にした茶室がありました。
うん、イケている。
さっきの風玉より全然チャントしているし、こんな物が出せるなんて僕はイケている5歳児だね。
???「若様、どうかしましたか? なにを騒いでいるのですか?」
あれ? この声は……。
???「あっ、ココに居たのですか。えっ、ええーー!? なんですか、なんでこんな物が部屋の中にあるの!?」
あっ、驚かせちゃった。
まあイキナリこんな物が部屋の中にあったら誰でも驚くよね。
チヨごめんね。
このオレンジ色の着物を着た女の子は僕の遊び相手と言うか僕のお世話がかりで家臣の柴田勝家さんの親戚の子で名前はチヨ。
確か歳は11歳で信長にいちゃんより3つ歳上なんだ。
もしかすると信長にいちゃんより力が強いかも、ムキムキのマッチョとかじゃないけどマッチョで力持ちの勝家さんの従兄弟の子だけの事はあるって感じ。
???→ちよ「若様、誰がココにこんな物を運んで来たのか知っていますか?」
チヨが僕を見てそんな事を聞いて来ました。
どうしよう、なんで答えようかな。
勘十郎「……コレは僕が出したの」
チョット悩んだけど正直に答える事にしました。
うん、何事も正直が1番、嘘はダメだよね。
ちよ「若様が出したって、チヨをからかっているのですか?」
勘十郎「嘘じゃないもの、僕が魔法で出したんだ」
ちよ「えっ? まほうってなんですか?」
チヨがキョトンとした顔で僕を見ています。
そんなに見られたら僕照れちゃうぜ。
じゃなくて魔法とかこの世界にはないのかな?
いや呼び方が違うだけかな。
勘十郎「魔法じゃないのなら……うーん、法術?」
日本的な言い方に変えるとこんな感じになるのかな?
ちよ「法術って、こんな小屋を出すような法術なんてある訳ないじゃないですか」
あっ、チヨが少し困った顔をしています。
でも法術なら話が伝わりそうな感じだよね。
勘十郎「そうなの? それなら法術ってどんなのがあるの?」
僕はどんな魔法があるのか気になって尋ねてみました。
ちよ「それは火を起こすとか風を吹かせるとか、そんな感じのモノですよ」
勘十郎「そうなんだ。その他にはどんなのかあるの?」
ちよ「その他ですか? うーん、雨を降らせたり災を払ったり後は病気を治したり、そんな感じでしょうか」
その話を聞く限り黒魔法と白魔法みたいな感じなのかな。
勘十郎「そうなんだ。チヨはなにか法術が使えるの?」
ちよ「えっ? チヨは使えませんよ」
勘十郎「そうなんだ。どんな人が使えるの?」
ちよ「どんなと言われても修行を積んだ偉いお坊様とか修験者とかかしら」
勘十郎「そうなんだ。あっ、信長にいちゃんとか父上は使えるのかな?」
ちよ「使えないと思いますよ。厳しい修行をしないと会得できるモノではないですし、もしかしたお殿様は少しは使えるのかも知れないけど、そうそう使える人は居ないと思いますよ」
勘十郎「そうなんだ。父上は使えるんだ。スゴい! スゴい!」
流石は父上、剣の腕が凄いだけじゃなくて魔法も使えるんだ。
流石、尾張の虎って異名がつくだけの事はあるよね!
ちよ「はぁ、こんな所にこんな物を置いたらお殿様に叱られてしまうのじゃないかしら。しかたない誰かを呼んで片付けてもらいましょう」
勘十郎「えっ? ダメだよ。僕が出したのだから片付けちゃダメ」
ちよ「片付けちゃダメって、こんな所にこんな物があったらジャマですよね」
勘十郎「そうだけど、確認したらチャント片付けるからもう少し待って欲しいの」
出せるのは分かったけどどうせなら中がどうなっているのかチャント見てみたいし今直ぐ片付けられたら困ってしまいます。
ちよ「片付けるって、若様1人で片付けられる大きさの物ではないですし男の人を何人か呼んできましょう」
勘十郎「片付けられるもの、見てて、送還!」
僕がチャント片付けられる事を証明するためにいったん茶室を消す事にしました。
また呼び出せば済む話だから問題ないよね。
ちよ「えっ? なんですか、ええーー!? 小屋が無くなってしまったわ! どう言う事!?」
僕が茶室を消すとチヨが訳が分からないと言った顔して驚いています。
ふふふ、ちょっと楽しいかも。
イタズラが成功したみたいで良い感じ。……あっ、そうじゃなくてチャント説明しないとただ驚かせただけで話が終わってしまうよね。
勘十郎「ね? チャント片付けられたでしょう」
ちよ「片付けられたって……若様が今の小屋を消したのですか?」
チヨが半信半疑の様子で僕を見て来ました。
あれ? まだ信じて貰えてないのかな?
それならもう一度。
勘十郎「そうだよ。それじゃあ出してみるね。茶室召喚!」
僕がそう唱えるとまた少し先の所から光が立ち昇り始めました。
うん、さっきのはまぐれじゃなかったみたいだね。
ちよ「ええーー!? また小屋が出て来た。えっ、どうなっているの!?」
チヨが凄く驚いています。
うん、イタズラ大成功!
いやイタズラが目的でないのだけど問題なく出せました。
勘十郎「どう? どう? 凄い? チャント出せたでしょう」
ちよ「出せたって、若様がコレを出したのですか?」
勘十郎「そうだよ。チャント片付けられるし問題ないよね」
ちよ「問題ないって、本当に……若様はなんでこんな事ができるのですか!?」
勘十郎「えっ? 法術で出したの、父上もできるのだから父上の子供の僕ができてもオカシクないよね?」
なんでチヨがそんなに驚いているのか逆に不思議だよね。
ちよ「お殿様ができるって……できるのかも知れないけど、こんなハッキリとした術は使えないと思いますよ」
勘十郎「そうなの? 召喚魔法ってメジャーじゃないのかな?」
ちよ「しょうかんまほう、ってなんですか?」
ちよ「こんな風になにかを呼び出す法術で、忍者とか修行僧が大きなカエルを呼び出したり大きなヘビを呼び出したりする術と同じで、僕のはこの小屋と言うか茶室を呼び出す事ができるの」
訳が分からない様子のチヨは僕は説明してあげました。
ちよ「そうなのですか……若様はいつからこんな術を使えるようになったのですか?」
勘十郎「えっ? 最初から使えたよ」
ちよ「最初からって、若様がこんな術を使った所なんてチヨは今まで一度も見た事がないのですが」
チヨが納得できない様子でそう聞いて来ました。
あっ、イキナリ使い始めたらソレはオカシナ感じになっちゃうのか。
ええと、どう答えよう。
勘十郎「ええと、さっき思い出したの」
ちよ「思い出したのですか?」
勘十郎「うん、さっき信長にいちゃんに棒で頭を叩かれて、それで思い出したの」
ショックでなにかを思い出すのはよくある話だし、信長にいちゃんを巻き込むのは少し悪い気がするけど頭を叩かれた拍子で思い出したのは嘘ではないし、コレでチヨに納得して貰えるかな?
ちよ「……ええと、のぶながにいちゃんと言うのは誰ですか?」
勘十郎「あっ、吉法師にいちゃんなの」
イケないイケない、気を抜くとつい信長になっちゃうけど今はソレじゃ誰にも伝わらないから僕はそう言い直しました。
ちよ「そうなのですか。若様はこの他になにか術を使えるのですか?」
勘十郎「このほか? この他は風玉って術を使えるの」
ちよ「それはどんな術なのですか?」
勘十郎「風をビューーって吹かせる術なの」
ちよ「それを見せて貰う事はできますか?」
勘十郎「えっ、できるけど、僕ソッチの術はあまり上手く使えないの」
ちよ「上手くなくても構わないので、見せて貰えますか?」
うーん、チヨが真剣な顔をして聞いて来ました。
どうしよう。まあ見せるくらいは構わないか。
勘十郎「それじゃあ見せてあげるけど、下手でも笑ったりしたらヤだからね?」
ちよ「笑ったりしませんから大丈夫ですよ」
そうですか。一応保険もかけたしそれなら見せてあげる事にしましょう。
それでは……。
勘十郎「いけ、風玉!」
僕は気合を入れてそう唱えました。
チヨと信長の歳の差を4つ→3つに修正しました。
現時点で、チヨ11歳、信長8歳、勘十郎5歳です。
その他にも一文字抜けていた部分などを修正しました。




