表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おだんご太平記  作者: 東のマ王
1章 僕は織田勘十郎信勝、5歳よろしくね。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/64

28話

勘十郎「おぉお! スゴい、田んぼがたくさんあるよ」


 街を出て少し歩くと水が張られた田んぼがたくさんありました。

 くねくねと曲がりくねった細い道の両脇に田んぼが作ってあってまさに田舎に来たって感じ。

 アスファルトの道もないし道路標識も勿論ないし電信柱も一つもありません。

 こんな景色は元の時代では見た事がないし、まさに風流と言うか正真正銘のド田舎に来たみたいな感じでわくわくしてしまいます。


勘十郎「稲がたくさんはえているね」

勝家「そうですな。今年はよく育っているみたいですな」


 まだ緑色をした稲がたくさん田んぼありました。


勘十郎「桜コレかお米だよ」

桜「………?」

勘十郎「先の方に小さな粒がたくさん付いているでしょう」

桜「じぃーー、……こくこく」

勘十郎「その粒の殻を剥くといつも食べている白いごはんになるの」

桜「じぃーー。……?」


 まあうちのごはんは白いお米だけじゃなくてひえとかあわが混じった100%白米を食べている訳ではないのだけど。

 桜はよく分からなかったのか首を傾げながら稲の穂を見ています。


農民A「こら! うちの田んぼでなにをしているだ。悪ガキどもイタズラするんじゃねぇ!」


 僕と桜が稲を見ていたらそんな声が聞こえて来ました。


勘十郎「ごめんなさい」


 悪気はなかったけど人の田んぼの稲を近くで見るのは失礼だったのかと思って僕は素直に謝りました。


農民A「ありゃ、この近くでは見ねぇ顔の子供さだな。いったいどこの子供だべ」

勝家「おっ、すまぬな。勘十郎様が民の暮らしぶりを見てみたいと仰られてこの近くを案内していたのだ」


 僕に変わって勝家さんがその農家の人に話してくれました。


農民A「ありゃ、このお子さんはお武家さまのぼっちゃんでしたか」

勝家「うむ、織田信秀様のお子であられる」

農民A「織田信秀さまって、そりゃお殿さまじゃねぇべか。こりゃ驚いた。そっただ偉えお方の子供さまがこっただ所にいるとは思わねぇで、おら失礼な事をしてしまったんだべか」

勝家「いや構わん。勘十郎様は稲を見ていただけでイタズラをしていた訳ではないがもしそう見えたのなら致し方あるまい。しかし二度目はないぞ?」

農民A「分かっただ。もう失礼な事は言わねぇから許してけろ」


 なんだか逆に怖がらせちゃったみたいでごめんなさい。


勝家「ふむ、それはともかくとして、勘十郎様この者になにか尋ねてみたい事がおありでしたら聞いてみていかがでしょう」

勘十郎「んっ? それじゃあおじさんはなにをしてしたの?」


 勝家さんにそう言われて僕は色々聞いてみる事にしました。


農民A「おら、田んぼの草刈りをしていただ」

勘十郎「草刈りですか」

農民A「あい、草が生えると稲の養分をそいつ等が吸っちまって実りが少なくなっちまうんで草をからねばならねぇんでごぜぇます」

勘十郎「そうなのですか。こんなに広い場所の草を刈るのは大変ですね。ご苦労さまです」

農民A「あんれまぁ、偉いご子息さまにそっただねぎらいの言葉をかけて貰えるとは思っておらんかったけども、恐れ多い事でごぜぇますだ」


勝家「うむ、民の事など気にも留めない領主はあまたおるが、信秀様はなにより民の暮らしを大事にしておられるその教えを勘十郎様もチャント心得ておられるのだろう」

農民A「あれまぁそっただ素晴らしいお殿様の元で暮らせるのはありがてぇ事でごぜえますだ。おらたちもお殿様のために気張らねばなりませんな」

勝家「うむ、存分に励むがよいぞ。信秀様はきっとそれに報いてくださるであろう」


 おお、勝家さんがチャント農家の人と話をしているよ。

 なんか頼れるアニキって感じで頼もしい感じがするよね。


子供A「とうちゃーん、腹が減ったよー、なんか食わせてくれよぉー」


 農家のおじさんと話していたらそんな子供の声が聞こえて来ました。


農民A「これ、いま偉いお武家さまと話しをしているところだ、そんなみっともねぇ事を騒ぐんじゃねぇ」

子供A「そんな事を言ってもボクお腹が減って死にそうだよー、なんか食わせてくれよー」


 見た感じ僕より一つか二つ歳下かな?

 見ていて微笑ましい感じがします。


農民A「これ何度も言わせるな、お武家さまおらの息子が恥ずかしい所を見せて申し訳ねぇだ」

勝家「よいよい、子供のする事であるし子供はそのくらい元気があった方が良いに決まっておる。坊主は腹が減ったのか」

子供A「えっ。……びぇええええん! 鬼だ、とうちゃんこわいよぉおおお! えぇええええん!」


 えっ、あの子供、勝家さんを見て泣き出しちゃったよ。


農民A「な、なに言っているだ。このお方は偉い武士さまじゃ鬼などと失礼な事を言うでねぇ」

子供A「チラッ……びぇええええん! 食われちゃう、とうちゃん逃げようよー。びぇえええええん!」


勝家「…………」

ちよ「あーあ、また泣かせた。だから言ったでしょう。そんなブスッとした顔じゃなくてもっと朗らかに笑顔で話しかけるとかそうしないと勝にぃに近付く子供は一人もいなくなっちゃうわよ」

勝家「なにを言うチャント笑顔で話しかけてやったではないか」

ちよ「本気で言っているの? どこからどう見ても今にも涎を垂らして取って食おうとしている顔にしか見えなかったわよ」

勝家「な、なんだそれは、いったいどんな顔をしていたと言うのだ」


 はぅ、一応作り笑顔みたいなのを浮かべていたようには見えたけど、無理をしていたのかこめかみの辺りがピクピクしていたから怒っているように見えちゃったのかもしれないね。

 さて、それはそれとしてこれはどうしよう。

 あっ、そうだ。


勘十郎「ボクお腹が減っているの?」

子供A「チラッ……ツン」

農民A「こら、失礼な事をするでねぇ、このお方はお殿さまのご子息さまだぞ。おらの息子が申し訳ねぇだ。許してくんなまし」

勘十郎「あっ、僕は気にしてないので大丈夫です。ええと、それじゃあ……あっ、あの辺りに、茶室召喚!」


 ぱぁーーん。


 僕がそう唱えると曲がりくねった道の平らな辺りに白い光が立ち昇り始めました。


農民A「な、なんだべ。あっただ所にあんな小屋なんてあったべか?」


 農家のおじさんが僕が出した茶室を目にして首を傾げながらそう話しました。


勝家「あれは、織田弾正忠家に伝わる家宝の品であるな」


 あれ? 勝家さんが変な事を話をし始めたよ?


農民A「家宝の品でごぜぇますか?」

勝家「うむ、はるか昔に帝より賜った宝具であるが使える者が現れず長い間倉の中で埃を被っていたのだ。それがある時勘十郎様がお手で触れられたらその宝具が光を放ち始めてあのように宝具本来の姿を見る事が出来るようになったのだ」

農民A「あれま、お殿様のご子息さまはそっただスゲェお人だったのでごぜぇますか」

勝家「うむ、今はあのような小さな小屋しか出す事が出来ないらしいが、いずれあの小屋が大きな城となりどこでも城を出現させる事が出来るようになると言い伝えられおるな」

農民A「なんと! 城を出せるようになるのでごぜぇますか」


 ええー! そうなの? そんな話は僕初めて聞いたかも。


勝家「うむ、戦の折に合戦のど真ん中でその城を出したらどうなると思う? 敵は高い壁に阻まれコチラを攻撃する事が出来なくなるし、味方は高い壁に守られた城の中から安全に矢を射掛けて敵を蹴散らす事が出来る。まさに百戦百勝、負け知らずの宝具であるな」

農民A「なんと! 織田様はそっただスゲェ宝具をお持ちだったのでごぜぇますか」

勝家「うむ、とは言え勘十郎様はまだご幼少の身で宝具本来の力を全て解き放つ事は出来ないらしいが、元服なされる頃にはきっとそのような事が出来るようになられるのであろう」

農民A「スゲェだ。そったたスゲェ物を持っている織田様に勝てる相手なんてどこにもいねぇんじゃねぇでごぜぇますか」


 って、コレは勝家さんの作り話なのか。

 僕の法術の事を知られないようにそんな嘘の話を作ってくれたのかもしれないね。

 勝家さんってマッチョなだけじゃなくて意外と頭も良いみたい。

 って、そんな事よりこの間におだんごを作って来ましょう。

 では、しゅっぱーつ。


勘十郎「ボク、お腹かが減っているのならコレを食べていいよ」


 パパッと茶室でおだんごを作って来るとおじさんに抱き付いて泣いている男の子にそのおだんごを差し出してあげました。


子供A「チラッ……なにその小ちゃくて変なだんごは」

勘十郎「小さいけど、とっても美味しいよ」

ちよ「若様の作ってくれるお団子はとても美味しいから一つ食べてみたらどうかしら?」

子供A「……ふん、食わせてくれるって言うのなら食ってやるか。ぱくり……なっ! うめーー! なにこれ! 甘くてスゲェうめぇぞ! ぱくぱくぱく……」


 おお、すごい勢いでおだんごを食べ始めたよ。

 喜んでくれると僕もうれしくなっちゃうよね。


農民A「あんれまぁ、若さまにそっただ物をいただけるなんて、ありがとうごぜぇますだ」

勘十郎「お腹が減ると悲しくなっちゃうし、気にしなくていいよ」

勝家「勘十郎様のその民を思いやるお優しい心、この勝家感服いたしましたぞ」


 なんか褒められちゃった。

 ちょっと照れちゃうかも。


子供A「あーうまかった」

農民A「ほれ、ちゃんとお礼を言うだよ」

勘十郎「お腹いっぱいになった? たりなければもっと作ってあげるよ」

子供A「ほんと、もっとくれるの? やったー! かーちゃん! みんなも、この小ちゃなお侍さんがだんごを食わせてくれるってさー! みんな来いよ!」

勘十郎「えっ、みんなって……」


 わっ、ゾロゾロ田んぼから出て来たよ。

 って、コレは……。


勘十郎「チヨ、それと桜も僕がおだんこを作るからみんなに配ってあげて」

ちよ「はい、これは仕方ないかな」

桜「………?」


 と言う訳で出て来たみんなにも僕はおだんごを作ってあげるのでした。


 …………。


勘十郎「ふぅ〜〜、楽しかったぁ」


 と言う訳で、お城の近くまで帰って来ました。


ちよ「ほとんど、おだんごを食べながらお喋りをして終わりになってしまいましたね」

勘十郎「そうだけど、みんな喜んでくれていたから僕は満足なの」

ちよ「まあ、若様が満足されたのならそれで良いのかしら」


 そうでーす。みんなの喜ぶ顔が見れたしソレに桜もチャントお手伝いをしておだんごを横取りして食べちゃうような事もなかったから良い遠足だったのではないでしょうか。


勝家「それにしても話で聞いていましたが、勘十郎様があのような小屋を出して、更にあのような美味い団子を食べさせてくだるとは驚きましたな」

勘十郎「この事は誰にも内緒だよ?」

勝家「勿論、武士に二言はございません。誰にも話したりいたしませんぞ」

勘十郎「そう、それならよかった。その代わりにおだんごが食べたくなったら僕の部屋に来てくれればいつでも食べさせてあげるね」

勝家「なんと! あの美味い団子をまた食べさせて貰えると言われたらコレは行かぬ訳にはまいりませんな。はっはっは」


 うん、買収成功、このようすなら黙っていて貰えそうだね。ふふふ。


ちよ「と言うか、こんなにたくさんお野菜を貰ってしまって大丈夫なのかしら?」


 あっ、帰る時にお土産にお野菜をたくさん貰っちゃったんだよね。

 勝家さんが両手で抱えて持ってくれているけど貰いすぎたかも。


勝家「良いのではないか。あの美味い団子の代わりに貰った物だし、くれると言うのなら貰っておいて損はない、コレくらいで困るような事もないだろう」


 そうなんだ。この時代の農家の人とかってもっと貧乏で苦しい生活をしていたんじゃないかと思っていたけど、意外とそうでもないみたいなんだよね。

 勿論、すごく余裕があるって訳じゃないけど、みんなカラフルな色の着物をチャント着ていて街の人と見分けが付かないくらいだし、勿論畑仕事をしている時は汚れちゃうからそんな服は着てはいないけど、それなりにチャント生活は出来ているみたい。

 実際に来てみないと分からない事もあるみたいだね。


ちよ「まあ勝にぃがそう言うのならそれで良いのかしら」


 そうして僕の月に一度の外出は終わるのでした。

 うん、とっても楽しかったね。


 次の外出はドコに行こうかな?

 そんな事を話しながら僕らはお家に帰って行くのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ