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おだんご太平記  作者: 東のマ王


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20/25

20話

勘十郎「ふぅ〜〜、楽しかったぁ」


 床の間の通路を通って茶室に戻ると一息つきながら僕はそう話しました。

 うん、色々新しい発見とかがあってなかなか楽しい冒険だったね。


ちよ「チヨは疲れてしまいました」


 チヨはお疲れのようすでそう話したよ。

 この茶室の奥にこの時代では考えられない物が置かれた部屋がいくつもあったのだからそんな物を見たり体験していたらソレは仕方ないのかな。


ちよ「と言うか、この子を連れて来て若様どうするのですか?」


 そのチヨの隣にさっきの水槽みたいな物の中に入っていた女の子が座っていました。

 チヨに服を持って来て貰ってチャント服は着ているけど、チヨが困ったようにそう話しました。


勘十郎「どうすると言っても、その子は僕の護衛ごえいみたいな人らしいから、一緒にいてもらうしかないの」


 その女の子はなんと僕と僕の茶室を守護するアンドロイドの女の子でした。

 アンドロイドの女の子ってホントなんでそんな子が僕の茶室の奥にいたのだろうね?

 見た目的には普通の人間と全く同じで特に変わったところとかはないのだけど、これまた訳がわかりません。

 もしかして転生特典みたいな感じで神様が僕に茶室とこのアンドロイドの女の子を付けてくれたのかな?

 僕は神様に会った記憶とかはないのだけど。

 それにさっきチラッとゲームの拠点ごとこの時代に転生したとか考えたりもしたけどその女の子に見覚えはないし茶室が出てくるようなゲームもしてないからソレも違うっぽいんだよね。

 んー、考えてもわかりません。


ちよ「でも知らない人が急に若様のそばにいたらお殿さまや奥方さまになにを言われるか分かりませんよ」

勘十郎「そうだよね。どうしよう」


 ずっと茶室の奥の部屋にいさせるのも可哀想だし、ソッチにいてと言ってもついて来ちゃうのだから仕方ないのだど、うーん、本当にどうしよう。


 ドカドカドカ。


信秀「勘十郎いるか。町で面白い本を見つけたから買って来たぞ」


 僕とチヨがどうすば良いかと悩んでいたらそんな足音を響かせながら父上の声が聞こえて来ました。

 わっ、父上が来たみたい。コレはどうしよう。


信秀「おっ、ココにいたのか。んっ? 見た事のない女子おなごがいるが、いったいその者は誰だ?」


 父上がその子に気付いたみたいでそう尋ねてきました。

 どうしよう、まだいい言い訳とか思いついてないのに……。

 昨日に続いてまたまたピンチです。


勘十郎「……この子は、お友だちの桜なの」


 その子はPTZー01とか言う型番みたいな物はあるらしいけど人の名前みたいなモノは持っていなかったらしいのでいま考えてそんな名前にしてみました。

 桜色の花びらみたいな柄の着物を着ていたらそんな名前にしてみたのだけど。いやそれよりもコレで誤魔化せるかな?


信秀「友達って、いったいどこの家の娘なのだ?」


 父上が続けてそう尋ねてきました。

 どうしよう、これ以上話したらお寺に連れて行かれちゃうし、もうダメぇええ。


ちよ「お殿さま、ちょっといいですか?」

信秀「むっ、チヨなんだ?」


 あっ、チヨが父上のそばに行ってなにかを話し始めたよ。

 チヨがうまく父上を誤魔化してくれるといいのだけど……。


ちよ「……こそこそ、お殿さまあの女の子は鬼の子らしいです」

信秀「なんだコソコソと。……なっ、鬼の子って儂を揶揄からかっているのか?」

ちよ「……こそこそ、そんな事はございません。冗談とかではなくて本当にあの子は鬼の子で若様の茶室の奥で寝ていたのです」

信秀「茶室の奥でって、なんでそんな所で鬼の娘が寝ていたのだ?」


 チヨうまく話してくれるかな?

 なんだか二人でコソコソ話をしていて僕には聞き取れないのだけど、チヨ頑張ってー。

 僕は心の中でチヨに向けてそうエールを送りました。


ちよ「それは私にも分からないのですが、なんでも天狗に若様を守る役目を与えられたとかそんな話でした」

信秀「なっ、天狗がそんな者を寄越したのか!?」

ちよ「そうらしいです」

信秀「いや、どう見ても普通の娘にしか見えないが本当にアレは鬼の子なのか?」

ちよ「はい、チヨでは力でかないませんし鬼としか思えません」

信秀「力ではかなわないって、チヨよりも背が高くて歳も上に見えるからチヨが力で負けてもオカシクないのではないか?」

ちよ「そんな次元の話ではなくて、お殿さまでもかなわないかも知れません」

信秀「なっ、儂でもかなわないだと!」


 うぅん、なにを話しているのかな?

 父上が驚いた顔をして桜を見ているけどやっぱりダメだったのかな?


信秀「サクラとやら、おぬし力が強いらしいな」

桜「……………」


 父上が桜の方を向いてそう尋ねました。

 桜の方は興味がないって感じでチラッと父上を見ただけでソッポを向いてしまったけど。

 うぅん、チヨはどんな話をしたのだろう?


信秀「ほぉ、随分と余裕だな。ならば一つ力比べをしようではないか」

桜「……………」

信秀「とは言え、女子供を殴る訳にもいかんし、相撲で勝負をいたそう」

桜「……………」

信秀「それでは行くぞ。おりゃーー!」


 父上はそう話すと桜の方に向かって行きました。

 ええーー! なんでこんな事になっているの!?

 チヨはいったい父上になにを話したの!?

 驚く僕の目の前で父上が桜に踊りかかって行きました。


桜「…………ふん」

信秀「おりゃーー! ってなんじゃ!? な、なにをするのだ!?」


 迫って来た父上を桜が掴んで軽々と頭の上に持ち上げてしまいました。

 うわぁ、流石はアンドロイドだけあって力が強いよね。

 父上よりも背が低くて体も小さな桜がやすやすと父上を頭の上高くに持ち上げている光景はかなり衝撃的なモノでした。


信秀「な、なんだこの娘はおろせ、おろさぬか」

桜「…………(怒)!」


 あれ? なんだか桜がチョット怒っているようにみえるのだけど……。

 いや桜にしたらイキナリ襲われたようなモノだからソレは怒るか。

 いやでもコレは……。


勘十郎「桜! 投げちゃダメーー! それは僕の父上なのだから投げちゃダメーー!」

桜「…………?」


 僕の声は桜に届いたみたいでそのまま父上を投げ飛ばすような事はしなかったけど僕の言った事はよく分からなかったのか首を傾げて僕を見ています。

 ええと、アンドロイドに父親だって話しても伝わらないのかな?


勘十郎「その人は大切な人だから投げたり怪我をさせたらダメだよ」

桜「…………こくり」


 あっ、今度は頷いてくれたから桜にも伝わったみたい。

 ふぅ〜〜、桜は高性能の学習技能を備えたAIを搭載しているらしいけど、まだ目覚めたばかりで色々知らない事とか分からない事があるみたいなんだよね。

 取り敢えず、他の人に無闇に暴力をふるっちゃダメとか他の人と仲良くする事から教えていった方がいいのかな。

 ええと、父上と仲良くなるためには……ええと、あっ、そうだ!


勘十郎「それじゃあ、桜、お手玉」

桜「……………こくり」

信秀「な、なんじゃ、わっ、なにをしておるのだ! やめんか! わわわ、なんじゃコレは! うわぁああ!」


 僕がそう桜に話すと桜がポンポンと父上をお手玉とかジャグリングをしているみたいな感じで上に投げ始めました。

 僕もさっきしてもらったけどアレってすごく楽しいんだよね。

 コレで父上と桜が仲良くなれるかな。


ちよ「うわぁ、お殿さまを投げているわ。あんな事をして大丈夫なのかしら?」


 チヨが心配そうな顔をしてそう呟いているけどあの楽しさを知っているチヨなら分かってくれる筈だよね。


勘十郎「どう? どう? 父上、楽しい?」

信秀「なんじゃコレは! わわわ、落ちるぅうう! わわわ、なんじゃコレは、クルクル体が回って目が回る……な、なにをしているだ! わわわ」

桜「………………」


 桜って本当に力持ちだよね。片手で軽々と父上を屋根の近くまで放り投げているのだもの。

 あんな風に楽しく一緒に遊べば仲良くなれる事まちがいないね!


信秀「わわわ、なんだこの娘は、なんて力をしているのだ」

桜「…………」


 暫くお手玉をして満足したのか桜が父上を畳の上に下ろしてあげました。

 父上は驚いた顔をして座ったまま桜を見上げているけど桜の方はツンとおすまし顔で向こうの方を見ています、でもコレでもう桜と父上は仲良しさんだね。


勘十郎「桜ー。僕もお手玉してーー」


 ポンポン投げられている父上を見ていたら僕もして欲しくなったのでそう桜に話しました。


桜「………こくり。ぽぉ〜ん、ぽぉ〜ん」


 桜が僕のリクエストに応えて僕をお手玉してくれました。


勘十郎「わあぁいい、楽しい〜〜、クルクル回って、ジェットコースターに乗っているみたい。きゃっきゃっ」


 クルクル投げ上げられたり落ちたりしているとジェットコースターに乗っていると言うか宇宙遊泳をしているみたいですごく楽しいの。

 こんな事ができるなんて桜ってホントにすごいよね。きゃっきゃっ。


信秀「なっ、勘十郎をあんなにやすやすと片手で投げ上げるとはあの娘はどんなバカ力をしているのだ」

ちよ「お殿さまもさっきアレと同じ事をされていたのですけどね」

信秀「むむっ、そうではあるが。あんな事をされて勘十郎は大丈夫なのか?」

ちよ「若様はご覧の通り喜んでいらっしゃいますし大丈夫だと思いますよ」

信秀「……そうではあるが、よくあんな事をされて勘十郎は喜んでいられるな」

ちよ「あれは鬼流の高い高いみたいです」

信秀「高い高いだと?」

ちよ「はい、私もさっきされましたが、鬼はあんな風に子供をあやしているのではないでしょうか」

信秀「……それで高い高いか、随分と人とは違うやり方をするのだな」

ちよ「はい、あまり人の常識とかは知らないみたいで、悪い子ではなさそうですが、色々心配です」


 楽しそうに放り投げられている勘十郎を見ながらチヨがそう話した。


信秀「それであの娘はどうするのだ?」

ちよ「それを考えるのはお殿さまの仕事だと思いますよ。チヨには事が大きすぎて判断できません」

信秀「儂が考えるのか」

ちよ「はい、若様に危害を加える様子はないのでこのままココにいて貰っても構わないような気もしますが、それをお決めになるのはお殿さまのお考えしだいだと思います」

信秀「ふぅむ、いかがいたそうか……」


 信秀は勘十郎と桜の姿を見ながら暫く思案に暮れるのだった。

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