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おだんご太平記  作者: 東のマ王


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13話

信長「勘十郎、かかって来い」


 屋敷の庭で木刀を持った信長にいちゃんが僕に向かってそう声をかけました。


勘十郎「やぁああああ!」


 今日は信長にいちゃんと二人で剣術の稽古をしています。

 立派な武士になるにはヤッパリ剣がじょうずに使えないと武士とは言えないよね。

 と言う訳で僕は気合を入れて信長にいちゃんに向かって行きました。


 ぽかり。


勘十郎「い、いたいぃいいい(><)」


 両手で棒を握って信長にいちゃんに向かって行ったら木刀で頭を叩かれてしまいました。

 なんで叩かれたのー!


信長「ただ突っ込んでくるだけじゃなくて剣を振らなければ相手を倒せないぞ」

勘十郎「あっ、そうでした」


 うん、これは失敗です。

 ただ走って行くだけじゃ斬られちゃうよね。

 ちゃんと剣を振らないといけません。


信長「よし、もう一度だ。かかって来い」

勘十郎「はーい。いくよーー。たぁああああああ」


 ぽかり。


勘十郎「あいたぁあああ(><)」


 ぐぉおおお! 頭がメッチャ痛いよ!

 僕は痛さでたまらず頭を抱えてしゃがみ込んでしまいました。

 今度はチャント棒を振ったのに、なんで頭を叩かれたのー!


信長「勘十郎、相手をちゃんと見ていなければ剣を振っても当たらないぞ?」


 ぬぬぬ、そうなのか。

 そう言われると棒を振り下ろす事に夢中で信長にいちゃんを見ていなかったかも、それじゃあ僕の振った棒はけられちゃうしそもそも当たらないよね。

 うん、これも失敗です。


信長「う〜ん、剣の稽古を始めてそこそこ経つが勘十郎はちっとも進歩していないな」


 信長にいちゃんがあきれたようにそう話したよ。

 ぐぬぬ……。

 僕も一生懸命しているのにそんな事を言われるのは心外だよね。悔しすぎます。


勘十郎「僕も成長していますー。ぐんぐんそれはものすごく成長していますー」


 そんな事を言いっぱなしにされるのは悔しいので僕はそう言い返してあげました。


信長「いったいどこが成長しているのだ?」

勘十郎「おだんごを2つ多く作れるようになりました!」

信長「な、なに? だんご、だと?」


 ふふふ、そうなのだ。

 毎日チヨとおだんごを食べたり茶室を出してお茶をいれたりしていたら、なんと霊力が2増えて僕の霊力は34になったんだ。

 レベルは上がってないし筋力とかの数字も変わってないけど、霊力は使えば使うほど上限が増えていくみたい。

 えへん。僕もチャント成長しているのです。


信長「団子が2つって、それは成長していると言えるのかどうか俺には分からんが、そもそも団子が2つ作れたくらいでなんの役にもたたないだろう?」

勘十郎「お腹が減っている人を助けてあげる事ができますー」

信長「腹が減っているヤツって……まあそう言う事もあるかも知れないが、そう言う事は家臣の誰かとか下働きの者にやらせれば済む話しで、俺達は武士なんだから剣が上手うまくならなければ意味がないだろう」

勘十郎「それはそうだけど、お腹が減ると悲しくなるし食べないと死んじゃうの……」


 うん、食べ物は大事だよね。


信長「いいか勘十郎、その団子を作る元の米とか芋を作っている領民たちを野盗とかオカシナ奴らから守るのが俺たち武士の仕事なんだ。強くなければ誰も守る事ができないし領地を守りぬく事もできない。団子を作っているひまがあるならそのぶん剣を振って少しでも強くなるのだ」

勘十郎「……はーい」


 信長にいちゃんの言う事はその通りだと思うけど、でもおだんご作りは絶対にやめたりしませんよ。

 僕がおだんごを食べたいと言うのは勿論あるけど、お腹が減ると悲しくなっちゃうし食べる物が無ければ死んじゃうから絶対におだんごが多く作れるようになった方がだんぜん良いよね。

 僕はおだんごでみんなを幸せにするんだー。


信長「よし、もう一度だ。勘十郎かかって来い」

勘十郎「はーい。いくよー。たぁあああああ!」


 とは言え強くならないとダメだと言うのも分かるので、僕は信長にいちゃんと一緒に剣の稽古に励むのでした。


 ◇◇


勘十郎「いたたたた……」

ちよ「若様、ずいぶん吉法師さまにやられていましたね」


 剣の稽古が終わって自分の部屋で休んでいたらチヨがそう話しかけてきました。


勘十郎「……だって、信長にいちゃんの方が背が高くて腕も長いから僕が頑張って棒を振っても信長にいちゃんに当たらないし届かないの」


 あの後、何度も信長にいちゃんに向かっていたっけど一度も僕の振る棒を信長にいちゃんに当てる事が出来ませんでした。残念。


ちよ「そうですか。でも戦場で必ず若様と同じくらいの背丈の相手と戦える訳ではありませんし、いまの吉法師さまよりももっと背の高い相手と戦う事も普通にあると思いますよ。良い訓練だと思って頑張るしかありませんね」

勘十郎「それはそうだけど……」


 うぅん、チヨってお勉強の事とかは結構いいかげんなのだけど、剣術とかの話になると割りとキビシイんだよね。

 ヤッパリ筋肉ムキムキで力自慢の柴田勝家さんの従兄弟の子だけはあるって感じ。


ちよ「吉法師さまも初めから今みたいに剣が上手うまく使えた訳ではなくて修練を続けて今の強さになられたのです。若様もこのまま修行を続けていればきっと吉法師さまと同じくらいの腕前になれると思いますよ」

勘十郎「はーい。僕頑張るの」


 諦めたらそこで試合終了になっちゃうので剣の修行も頑張る事にします。

 なんか色々やる事があって大変だよね。

 この時代ってもっとのんびりしているのかと思っていたけど、お勉強をしたり稽古事をしたりけっこう大変なんだよね。

 たまたま僕の家がそんな感じなだけなのかな?


ちよ「と言う訳で、お茶を飲んで一休みしましょう」

勘十郎「はーい。って、いれるのは僕なんだけど」

ちよ「そんな細かい事を気にしていたら立派な男の子になれませんよ?」

勘十郎「なんか違う気もするけど、お茶は飲みたいから茶室を出します」

ちよ「はい」

勘十郎「それでは、茶室召喚!」


 僕がそう唱えると光が立ち昇り茶室が現れました。


ちよ「それじゃあ茶室に入りましょうか」

勘十郎「うん」


 僕とチヨは召喚した茶室の方に歩いて行きました。


信秀「勘十郎、剣の稽古は終わったのか? やや! コレはどうした事だ。なんで部屋の中にこんな小屋があるのだ!?」

土田御前「まあ! いつの間にこんな物を作ったのかしら?」


 えっ? 父上と母上の驚いた声が聞こえたよ?

 ええーー!? なんで父上と母上が僕の部屋に来ているの!!

 声の聞こえた方に顔を向けるとソコに父上と母上の姿がありました。

 ま、マズいーー! 父上と母上に僕の茶室を見られちゃったよ!


信秀「チヨいったい誰がこのような物を勘十郎の部屋に運んで来たのだ?」

ちよ「申し訳ございません。気が付いたら既にこんな物がこの部屋に置いてありました」


 わわわ、チヨが誤魔化してくれているけど、これは絶対にオカシイと思われているよね!

 僕はお寺に連れて行かれてしまうのかな!


信秀「ふむ、チヨが知らぬとなるといったい誰がこんな物を運んで来たのだろうな?」

土田御前「そうですね。勘十郎ちゃんはなにか知っているかしら?」

勘十郎「えっ、僕は、僕は……」


 えぇーん、もうダメぇえええ。

 僕はお寺に連れて行かれちゃうんだー。

 もう母上にも父上にも信長にいちゃんにも会う事が出来なくなって、ずっとお寺で知らない人と暮らす事になるんだーー。

 そんなのイヤぁああああ!

 僕はお寺になんか行きなくないのにぃいい、いやぁあああああ。

 わぁあああああん(T ^ T)


土田御前「あらあら急に泣き出してしまってどうしたのかしら? よしよし、勘十郎ちゃんはどこにも行ったりしないから心配しなくて良いのよ?」

勘十郎「母上ぇええ、僕、いやぁああああ」

土田御前「あらあら、どうしましょう。コレは困ったわね」


 だって僕はドコにも行きなくないもの。

 でも法術の事を知られちゃったからお寺に行かなくちゃならなくなるんだ、こんなの悲しすぎるよね。

 わぁああああん(ノ_<)


信秀「……ふむ、しかしこの小屋のような物はよく見ると意外とシッカリ作ってあるのだな」

土田御前「あらそうなのですか? 勘十郎ちゃん一緒に見に行きましょうか」

勘十郎「僕は、僕は……」

土田御前「はいはい、よいしょっと……さあ一緒に見に行きましょうね」

勘十郎「……うん」


 僕は母上に抱っこされて茶室の方に運ばれて行きました。


土田御前「あらこうして見ると小屋の中に床の間とかも作ってあるのね。へぇーー、けっこう素敵な部屋になっていますね。小っちゃいけど」


 小ちゃいは余計ですー。

 お寺に連れて行かれたらもうこうして母上に抱っこしてもらえる事もなくなるのかな。

 わぁああん、僕悲しいの……。


信秀「ふむ、そのようだな。小さな机も置いてあるしその上に小さなかまみたいな物も置いてあるし、なかなかよく出来ているのだな」


 それは秀吉さんが作らせた茶室と似たような形をしているから造り自体はチャントした物になっている筈だよね。

 もう僕はこの家にはいられないのだけどね。

 わぁあああん。


土田御前「お前さま、誰がこのような物をココに運んで来たのかは分かりませんが、コレはこのままココに置いておく事にしませんか?」

信秀「むむっ、それはどう言う事だ?」

土田御前「勘十郎ちゃんの遊び場にちょうど良いと言うか、机もある事ですしココでお勉強をしたり色々使い道はあるのではないですか?」


 えっ? 母上それはどう言う事?


信秀「いや、しかしココにこんな物を置いていたら勘十郎の部屋が狭くなってしまうのではないか?」

土田御前「そうですけど、あって困るほど部屋が狭くなる訳ではありませんし、小さな部屋が一つ増えてふた部屋になったと考えれば悪くないのかも知れませんよ?」

信秀「ふむ、そうとも言えるか……」


 僕のこの部屋は8畳あるから3畳の茶室があっても困る事はないけど。

 僕はこの部屋にはもういられなくなっちゃうからあまり関係ないのかな……。

 

土田御前「勘十郎ちゃん、勘十郎ちゃんはココにコレを置いておいても良いかしら?」

勘十郎「……僕は……うん」

土田御前「そう、勘十郎ちゃんが良いのならなにも問題はないわね。お前さまそれで良いですか?」

信秀「ふむ、そう言う事なら問題なかろう」

土田御前「勘十郎ちゃん良かったわね。綺麗に使うのよ?」

勘十郎「……はい」


 あれ? もしかしてコレは僕はお寺に連れて行かれずに済んだのかな?


土田御前「それではチヨ後の事はよろしくお願いね」

ちよ「はい、奥方さまかしこまりました」

土田御前「それじゃあ勘十郎ちゃんまた来るから良い子にしているのよ?」

勘十郎「……はい」


 母上はそう話すと抱っこしていた僕を下に下ろしました。


信秀「お土、そろそろ部屋に戻るぞ」

土田御前「はいお前さま、それにしても誰がこんな所にこんな物をこさえたのでしょうね?」

信秀「まこと不思議な事があるものだな」

土田御前「そうですね」

信秀「おっ、そう言えば権六あたりが勘十郎の事を気にかけていたから作って持って来たのかも知れんな」

土田御前「まあそうでしたか、後で勝家に尋ねてみましょうか」

信秀「まあ権六が作ったとは限らんが、なかなか面白い事をする者が我が家にはいるみたいだな」

土田御前「そうですね」


 そんな事を話しながら父上と母上が僕の部屋から去って行きました。

 ええと、コレって僕はお寺に行かずに済んだって事で良いのかな?


ちよ「若様良かったですね」

勘十郎「……うん」

ちよ「まあこうしてこの茶室を見ただけなら誰も法術でこの小屋を出したなんて思わないでしょうし、案外バレないモノなのかも知れませんね」

勘十郎「……そだね」


 そうかー、法術で出している所を見られた訳じゃないから父上と母上に気付かれずに済んだのか。

 僕ヒヤヒヤしちゃったよ。


ちよ「それじゃあ、バレずに済んだお祝いにお茶にしましょうか」

勘十郎「うん、なんか緊張して色々疲れちゃった。お茶を飲んで一息つきましょう」


 僕とチヨはホッと肩の力を抜いてお茶をいただく事にするのでした。

 ほんとバレなくて良かったー。

 コレで僕はずっとこの家にいられるね(^-^)v

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