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おだんご太平記  作者: 東のマ王


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10/24

10話

ちよ「若様、ご精が出ますね」


 あれから数日後、お部屋で習字の練習をしている僕にチヨがそう話しかけて来ました。


勘十郎「はーい」


 立派な武士になるためにはこう言うじみちな事も必要だし、元は大学生なのだから字ぐらいはチャント書けないと恥ずかしいと思って僕は机に向かって字を書く練習をしています。

 でもいくら頑張ってもA4くらいの書道の紙にひらがなが二文字くらいしか書けません。

 もっと小さくじょうずに書こうと思っているのにうまく手が動かなくてどうしても一文字が大きくなっちゃうの。

 5歳児の実力じゃこのくらいにしか書けないのかな。

 残念……。

 いや諦めたらそこで試合終了になっちゃうのでもう少し頑張る事にしましょう。

 かきかき……。


ちよ「若様そろそろ一休みしませんか?」

勘十郎「んー、まだ途中だからもう少し書いてからにするの」


 筆で文字を書くのってけっこう難しいんだよね。

 シャーペンとかポールペンみたいにペンを持っている手のわきを紙に付けて書けたら楽なんだけど、筆でソレをすると手がすみで真っ黒になっちゃうし、練習あるのみです。

 かきかき……。


ちよ「あまり頑張りすぎると疲れてしまいますよ。そろそろお殿さま達が見に来る頃ですし一休みしませんか?」

勘十郎「んっ? 父上がどうかしたの?」

ちよ「あっ、なんでもありません。ええと、チヨは少しお腹が減ったので一休みしましょうよ」

勘十郎「お腹がすいたって……仕方ないな」


 チヨに法術の事を父上達に黙っていて貰う見返りにおだんごを食べさせてあげる事にしたのです。

 僕も食べたいから一石二鳥と言う事もあるし、おだんご一つでお寺に修行に出されずに済むのなら安い物だよね。

 一つで済んだ事はないけどね!


勘十郎「それじゃあ茶室を出すね」


 キチンと筆を筆入れの箱の中に片付けて僕はそうチヨに話しました。


ちよ「はい」

勘十郎「それでは、茶室召喚!」


 僕がそう唱えるといつものように僕の少し先の所から光が立ち昇りソコに茶室が現れました。


勘十郎「それでは、どうぞ」

ちよ「それじゃあ失礼します。よいしょっと」


 僕とチヨはいつものようにその茶室の中に入って行きました。


勘十郎「うん、それじゃあこの障子は閉めておきましょう」


 障子を開けっぱなしにしていたら誰かに僕達の姿を見られて色々面倒な事になるかも知れないのでキチンと障子は閉めておいた方が良いよね。よいしょっと。


ちよ「あっ、若様今日は天気も良いですしその障子は開けたままにしておきませんか?」

勘十郎「んっ? でも誰かに見られたら困るし閉めておくの」

ちよ「でも開けておい方が誰かがこの近くに来るのが分かりやすくて、この茶室を直ぐに消したりできるのではないですか?」

勘十郎「んっ? そうかも……」


 確かに茶室の中に隠れていれば僕達の姿を見られる事はないけど調べられたら直ぐに中に居るのがバレちゃうよね。

 チヨの言う通り開けておいた方が直ぐに茶室を消せて安全なのかな。


勘十郎「それじゃあ障子は開けたままにしておきます」

ちよ「はい。この方が良い風が入って来て気持ちが良いですね」

勘十郎「そだね」


 一応この茶室にも右側の壁の上の所に障子の小窓が付いていたり僕の座る席の正面右斜め上にも障子の小窓が付いているから入り口の障子を閉めていても換気はできるし、上の方にエアコンも付いているから閉めっぱなしにしていても問題はないのだけど、入り口の障子を開けておいた方が開放的で気持ちは良いのかな。

 僕は狭い所の方が落ち着いて結構好きなんだけどね。


勘十郎「それでは、お茶をいれます。よいしょっと……」


 僕はパパッとお茶の道具を準備してお茶碗に抹茶を入れました。


勘十郎「コレにお湯をそそいで、しゃかしゃかしゃか……」

ちよ「若様ずいぶん手際が良くなりましたね」

勘十郎「んー、毎日お茶とおごんごを欲しがる人がいるから慣れちゃった。しゃかしゃかしゃか……」


 しゃかしゃかと茶筅ちゃせんでお茶碗をかき回しながら僕はそう答えました。

 何回か作って分かったけど、このしゃかしゃかかき混ぜるのを上手じょうずにしないとお茶碗の底にカップスープを作る時と同じように抹茶が溶けずに固まって残っていたり小さなツブツブが舌に当たってイマイチな感じになっちゃうの。

 このしゃしゃかするのってけっこう大事な作業なんだね。

 しゃかしゃかしゃか……。


ちよ「…………」

勘十郎「このくらいで良いかな? はい、できあがり」


 細かい泡も沢山できたし良い感じに作れました。


勘十郎「と言う訳で、どうぞ」


 できあがったお茶をチヨの前に置いてあげました。


ちよ「それではいただきます。こくり……ふぅ〜〜、若様とっても美味しく作れましたね」

勘十郎「それは僕がいれたから当然なの」

ちよ「そうですか。でも最初の時はほとんどお湯を飲んでいるみたいな感じでしたよ」

勘十郎「それは言っちゃダメー。あの時は初めてだったんだから仕方ないの」

ちよ「そうですけど、この数日で比べ物にならないほど美味しくお茶をいれられるようになったのですから凄い進歩ですね」

勘十郎「美味しくいれられるように僕頑張ったの」

ちよ「そうですか、なにごとも精進あるのみですね」

勘十郎「そだね。お茶の道のなかなか難しいモノみたい」


 何度かお茶をいれていたら茶道(初級)と言う技能が追加されて増えていました。

 僕はまだ初級だけどお茶の達人の利休りきゅうさんとかその弟子の人がもう少し後で出て来る筈だけど達人と呼ばれた人はその人達くらいだからただお茶をいれると一言で言っても意外と奥が深いモノなのかも知れないね。


???「………じぃーー」

???「………じぃーー」


 あれ? 誰かの視線を感じるような?

 んっ、気のせいだったかな?

 なんとなく誰かの視線を感じてソチラに顔を向けてみたら誰もいませんでした。

 

ちよ「若様どうかしましたか?」

勘十郎「んっ、誰かに見られているような気がしたのだけど、気のせいだったみたい」

ちよ「そうですか……あっ、チヨはそろそろお団子が欲しくなってしまいました」

勘十郎「仕方ないな。それで……ドォーーン! はい、どうぞ」


 そう催促さいそくされて僕はチヨにおだんごを作ってあげました。


ちよ「あぁあ、コレですコレ、それではいただきます。ぱくり……あぁあ、若様が作ってくれるこのあんこのお団子はほっぺたが落ちてしまいそうなほど凄く美味しいです。ぱくぱく……」


 チヨが嬉しそうにニコニコしながら僕の出したおだんごを食べてます。

 そんなに喜んで貰えたら作った甲斐かいがあるよねー。

 なんだか僕まで嬉しくなっちゃう。

 

勘十郎「チヨはあんこのお団子が好きだよね」

ちよ「はい、とっても甘くて美味しいです。ぱくぱく……」

勘十郎「そう、それじゃあ僕の分も作ろうかな。ドォーーン! はい、できました」


 チヨが食べているのを見ていると僕も食べたくなっておだんごを作って取り出しました。


ちよ「若様のはみたらし団子なのですね」

勘十郎「うん、僕はみたらし団子が一番好きなの」

ちよ「そのみたらし団子も凄く美味しいですよね」

勘十郎「うん。……あれ?」


???「…………じぃーー」

???「…………じぃーー」


ちよ「若様どうかしましたか?」

勘十郎「んっ? また誰かに見られているような気がしたのだけど、気のせいだったかな?」

ちよ「そうですか? チヨは全くそんなモノは感じませんでしたよ?」

勘十郎「そう……」


 うぅん、一度だけじゃなくて二度目となると誰かがドコかで隠れて見ているのかな?


ちよ「特に足音とか話し声も聞こえませんし若様の気のせいじゃないですか?」

勘十郎「うぅん、そうかも」


 縁側を歩いて来たらギシギシ音がする筈だし気のせいだったのかな。


ちよ「若様のを見ていたらチヨもみたらし団子が食べたくなってしまいました」

勘十郎「えっ、もう食べちゃったの?」

ちよ「だって若様のお団子はとっても美味しいから直ぐになくなってしまいます」

勘十郎「仕方ない、それじゃあ作ってあげるからチョット待っていてね」

ちよ「ありがとうございます。あっでも無理はしないでくださいね?」

勘十郎「大丈夫、まだ霊力は残っているから心配しなくて大丈夫だよ」


 コレも何度か魔法を使かって分かった事だけど霊力が0になると気を失って気絶してしまうみたい。

 霊力自体は時間が経つと自然に回復するらしいけど、茶室を出している間は茶室を出すのに使った分の霊力は減ったままで最大値−5までしか霊力が回復しないの、おだんごを一皿作るのに霊力を1使って茶釜でお湯を沸かすのにも霊力を1使うみたいで、それでこの間倒れてしまったんだね。

 10分くらい休めば霊力が回復して動けるようにはなるけど、チヨに心配かけちゃうし0にならないようにソコだけは注意しないとね。

 

勘十郎「と言う訳で、ドォーーン! はい、できました。どうぞ」


 僕は作ったみたらし団子をチヨの前に置いてあげました。


ちよ「コレも美味しそうですね。いただきます。ぱくり……あぁ、とっても美味しいです。ぱくぱく……」


 チヨが出してあげたおだんごを美味しそうに食べ始めました。


勘十郎「さて、僕も食べましょう。ぱくぱく……うん、美味しいね」


 この時代には甘いスイーツとかはないからこうしていつでもおだんごが食べられるのって最高だよね♪


ちよ「そうだ、せっかくだからお殿さまや奥方さまにもこのお団子を食べさせてあげたらどうでしょう」


 おだんごを食べながらチヨがそんな事を話してきたよ。


勘十郎「えっ、でもそんな事をしたらバレちゃうんじゃないかな?」

ちよ「若様のコレは少し変わっているけどお団子はお団子ですし、普通に作ったと言っても誰も疑わないと思いますよ?」

勘十郎「……うーん、そうかな?」

ちよ「はい、こんなに美味しいモノを若様とチヨしか食べないのももったいない気がしますし、持って行ってあげれば奥方さまも喜んでくれるのではないですか?」

勘十郎「うぅん、母上に食べさせてあげたいと言うのは分かるのだけど……」


 信長にいちゃんも喜んで食べていたしきっと母上や父上も喜んでくれるかな。


勘十郎「でもこの茶室とか法術の事がバレたら困るの」

ちよ「その事でしたらチヨが上手じょうずに話してあげましょうか?」

勘十郎「チヨが話すの?」

ちよ「はい。若様がイキナリ持って行って話をしているうちにボロが出ても困りますし、チヨが若様の代わりに持って来たと話して近所の誰かに作り方を教えて貰って作ったとか適当に誤魔化しておけば疑われる事はないと思いますよ」


 うーん、それなら疑われる事はないのかな?


勘十郎「それじゃあそうしようかな」


 甘いお菓子とかそうそうないし母上や父上にも食べさせてあげたいし、バレないのなら問題ないのかな。


ちよ「はい、それじゃあコレを食べ終わった後でそうしましょう」

勘十郎「はーい」


 チョット心配だけど喜んで貰えたら嬉しいし、もしかしたら褒めて貰えるかも知れないからチヨに任せる事にしましょう。

 そんな事を考えながら僕とチヨはおだんごを美味しく食べるのでした。

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