第八十六話 超越
そういえばめちゃくちゃ今更なんですけど、悠は第四十一話くらいの時に、人格は全盛期の物に戻ってます。第四十一話くらいを読み返したのですが、明記してなかったので、一応明記しておきました。ごめんなさい。
手を合わせる。追悼をする。
今まで何人もの仲間が死んできて、何度も繰り返すうちに、友情も愛情も感謝も全て薄れていった。
ようやく、友情を思い出した。なんという皮肉だ。力も何もかも持った悠が、失ってようやく思い出したのだ。
決戦当日。葬儀は行われず、遺骨の前で関係者が手を合わせて追悼をして終わってしまった……訳ではない。
決戦直前、異世界警察が集まる集会にて、大舞台に立った悠はマイクすら使わず言った。
「全ての犠牲も……全ての怒りも……今日の決戦のためだ!!」
2億5000万いる異世界警察のうち、今集まっているのはほんの数百万。だが、移動となれば数億単位の兵が一気に十星世界に流れ込む。
悠は叢雲を抜いて、太陽にかざした。
「星を超えろ。」
叫ばずとも、兵全員にその言葉は伝わった。兵は「うおおぉぉぉっ!!」と叫ぶと、次々に区や隊ごとに別れて動き始めた。
「悠様、ボク達もいきましょう。」
舞台袖のアストラは悠に言った。悠は叢雲を収めると、パーカーのフードを被った。
アストラ、圭太、凜奈、蒼、ライア、アタスマ、慎一、V-ENOM、蒼皇、仝々、そして悠の計11人はまとまって移動する。多いと思うかもしれないが、これでもとても少ない方だ。多い隊は数千いるところもある。なんせ、2億以上だ。
「ワープ式だ。みな手を繋げ。」
悠の手をアストラが取って、それに続いて全員が手を取った。
「作戦通りに行くぞ。圭太は凜奈と共に、アストラはライアと共に、他は単独だ。いいな。」
悠はそう言うと、テレポートのボタンを押した。11人がワープした先は、十星の基地に近い、扉の目の前だった。背後を振り返ると、長い道に溢れんばかりの兵がいて、次々にワープしてきている。
扉は先に乗り込んでいる異世界警察によってこじ開けられており、中では既に戦いが始まっていた。
「ここの11人が最も戦闘力が高い!私達が十星とぶつかるよう、心してかかれ!」
その合図で全員がバラけて、各々十星と戦いに行った。
うち、悠は叢雲を抜くと、最も魔力を感じる方に一直線に走っていった。
何やら妙に体が軽い感覚がある。別にいつもと変化は無いはずなのに、何やら違和感がある。が、悠は無視して走り続けた。
「叢雲で月すら欠かせてやる。」
悠はそう言うと、十星の兵隊をバサバサなぎ倒していった。こちらの兵はパーカーを着用しているのでひと目でわかるが、あちら側はパーカーの中の人物を知ることは出来ない。
そんな時、パーカーの腕部分のボタンから声が聞こえてきた。
『こちら仝々だ。金星は俺に任せろ。』
そういうと仝々の声は止まった。おそらく、金星と鉢合わせたのだろう。自信に満ち溢れたその声は全員を元気づけるようだった。
悠も一刻も早くゴドラと戦おうと、足を早めた。向かってくる兵は切り捨てるか、無視して走った。
「待っていろゴドラ、その肉体、私が切り刻んでやる……!!」
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「えと……仝々君だっけ?困るなぁ、ここで巨大化されると建物が崩れる。」
「心配いらねぇ。崩れる前にお前を殺してやる。」
金星と相対してしまった仝々は、そう言うと短刀を抜き出して、金星に一直線に走っていった。
「仝々君、この世に金で買えないものなんてないんだよ!」
そう言うと、金星のかざした手からは、大量の黄金の矢が放たれた。仝々は短刀で弾き返して軽く躱すと、金星の腹部に短刀を突き立てた。
「なら勝利を今買ってみたらどうだ?」
金星は少し後ろに下がって距離を取ると、腹部を押さえた。激痛が走っているはず、なのに金星は気味の悪い笑みでニヤニヤしていた。
「勝利くらい、金を使わなくても買えるのさ。」
十星の兵とこちらの兵が辺りで争い、怒号と悲鳴が聞こえる中、金星はただ一人、不気味な笑みで笑っていた。
「『金星』」
金星がそう唱えた瞬間、地面は黄金に輝き、瞬く間に地面を侵食していった。触れたら不味い、仝々は本能的に察し、壁にかかっている時計にぶら下がった。
侵食された金に触れた兵達は次々に黄金の像へと変貌していき、そのまま動けなくなってしまった。騒ぎが広がっていくが、仝々は落ち着いて他の警官にも伝えた。
パーカーのボタンを押すと、仝々はボタンに向かって叫んだ。
「金星の能力で地面や壁が金に侵食されて行ってる!触れれば金の像になって死んじまう、気をつけろ!」
仝々はそう言うと、まだ侵食されていない壁を突き破って外に出た。今も尚、異世界警察の兵達がゾロゾロと歩いて十星の基地に侵入していっている途中だった。
金星も仝々を追いかけて外に出た。
「僕を外に出してどうするんだい。能力は止まらないよ?」
「馬鹿じゃねぇの。」
仝々は笑みを浮かべると、ほのかに怒りを孕んだ声でそう言った。瞬間、金星の景色は吹き飛んだようだった。
仝々が『巨大化』の能力で巨大化し、金星を蹴り飛ばしたのだ。吹き飛ばされた金星は、金の壁を作り出して、勢いを止めた。
「俺はハナからてめぇを殺すことしか考えてねぇよ!!」
第八十六話 終
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