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第七十六話 関西人

「関係者以外立ち入り禁止だってさ。」


 DNe'の基地は、大通りに出て進むとすぐにあった。大理石で作られていて、明らかに高級そうな城。金で作られた獅子の像は侵入者を睨んでいるようだった。

 警備の兵すら一人もついていなかった。兵すら信頼していないのか。それとも、「かかってこい」とでも思っているのか。


「じゃあ……バーナさんありがとうございました。さようなら……」

「何言ってんだ。私も着いていくぞ。」


 蒼が別れの挨拶をしようとすると、バーナはヴァンに乗ってそう言った。魔力は微量しか感じない。悠は眉間に皺を寄せて、呆れてしまった。

 バーナはその勢いを殺すことなく、ヴァンに「行け!!」と指示すると、DNe'の基地の扉をぶち破って侵入した。


「なっ……何者だ!?」

「よくも皆を苦しめてくれたな!ヴァン、やっちまえ!」


 バーナはそう叫んだが、ヴァンは動かなかった。いや、足がすくんで動けなかった。大量にいる、一人一人の兵の魔力を見極められていた訳ではない、だが第六感で異様な雰囲気を感じていた。

 兵の一人が武器を取って、バーナに向かってきた。だが、バーナが攻撃される前に悠と蒼に同時に攻撃されて吹き飛ばされた。


「だから帰らせようとしたのだ。」

「あ……ありがとう?」


 何が起きたのか理解できていないのか、バーナは困惑しつつそう言った。

 吹き飛ばされた兵は痛そうに攻撃された箇所を抑えて立ち上がった。


「……蒼、貴様気がついているか。」

「え?」


 悠は何かに気がついたようだ。だが、説明するより先に叢雲を抜くと、『紫煙』を放って辺り一帯に煙を充満させた。悠は蒼とバーナに煙を吸わないように指示して、ヴァンの口と鼻を押さえて別室に移動した。

 3人が移動したのを確認すると、扉を閉めて、煙が入ってこないようにした。


「今の煙を吸えば頭がイカれる。絶対に吸うな。」

「そんなものアタシ達がいる場所で放つな!」


 バーナはヴァンの頭を撫でてそう叫んだ。ここは小さい一室のようだ。人は誰もいなかった。蒼は先程の悠の発言が気になって聞いてみた。


「ところで……気がついたってなんの事ですか?」

「恐らくだが……ここはENDの組織だろうな。規模からみるに、ほんの一部だろうが、相当な実力者の魔力は貴様も感じるだろう。」


 蒼は頷いた。基地内には大量の魔力があるが、奥に一つ化け物級の魔力を感じる。


「『DNe'』、反対から読めば『END』だ。それに、先程の兵の硬さも異常だ。一般の兵であれば私に触れられただけでノックダウンだろうな。」


 先程の煙が晴れたのを確認すると、扉を開いて3人は外に出た。大量の兵はラリっているのか、頭がおかしくなってしまっているのか、3人の姿に気がつくこともなく、唾液を垂れ流して倒れていた。

 奥に繋がるであろう扉を発見すると、蒼は開こうとしたが、バーナが止めた。


「アタシの魔法で中の様子が分かる。」


 小声でそう言うと、バーナはそっと扉に手を触れた。安全なのを確認すると、バーナは頷いて扉を開いた。

 バーナの言う通り、部屋の中には誰もいなかった。想像以上に部屋は広く、中央には食事用と思われる長い机が配置されていて、食器も丁寧に置かれていた。


「バーナ、下がっておけ。」

「え?」


 瞬間、バーナの景色は吹き飛んだ。何が起こったのかバーナには理解できなく、ヴァンに抱きついているのが限界だった。

 奥の扉から何者かが蒼に蹴りで攻撃してきたのだ。蒼は同時に反撃し、辺りの食器や家具は吹き飛んだ。


「うおぉっ、朝霧悠やんけ!」


 男は金髪をかきあげていて、ピアスを開けていた。丈の短い黒のパーカーを羽織っていて、下には無地の白Tを着ていた。

 チャラそうな関西弁の男。胡散臭い見た目は悠の嫌いなタイプだった。


「お前、異世界警察最強なんやろ?」

「それがどうした。」

「じゃあ俺が勝てば最強超えやな。」

「勝てないから最強だ。」


 悠は男の上着の襟を掴んで背負い投げしようとしたが、男は身軽な動きで上着を脱ぐと、まるで重力に逆らうように壁に足をついて、悠に反撃しようとした。

 反撃されるより先に叢雲を抜くと、男の腕をほんの少し掠めた。


「なんな、お前?めちゃくちゃ元気やん。日光浴びてないと弱いんじゃないん?」

「窓があるだろう。」


 悠は少しでも日光を浴びていれば『太陽(サン)』としての実力を発揮出来る。そう聞くと、男は「なんやねん」と呟いてそそくさと帰ろうとしていた。


「何のつもりだ。」

「めんどい、帰る。」


 悠は男を止めずに、叢雲を収めた。バーナとヴァンが近くにいるこの状況では戦いにくい。それに、あの男、やけに身体能力が高い。恐らくあれでも全力ではないだろう。


「確認だが……貴様がビーストなのか?」


 男は止まって振り返ると、ニヤリと笑みを浮かべて答えた。


「どうやろな。」


 男はそのまま廊下を通って暗闇に消えてしまった。悠は気に食わなく、眉をひそめた。


「嫌いだ。非常に。」


 悠は苦虫を噛み潰したような表情でそう言った。


第七十六話 終

関西弁ディスではありません

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