第六十七話 犬と猿、馬と鹿
作品の辻褄合わせの為に、たまーに投稿した話を変更する場合があるので、気が向いたらチェックしてみてください。とは言っても、そこまで大きな変更はないので安心してください
「ライアさん!!」
「圭太クン、君は下がってて。戦える状態じゃあないだろう。」
アストラも毛頭助けに行くつもりなど無かったが、ここで圭太が助けに行けば足手まといでしかない。
ライアの腹部に爆ぜるように水を放ったネプチューンは、勝利を確信して、アストラ達にジリジリと歩み寄ってきた。
〖朝霧悠ヲ殺すのダ。どケ。キル・アストラ。〗
「貴様の視界に悠様を入れる事すら許さない。」
アストラは立ち上がると、圭太を少し下がらせてネプチューンと向かい合った。
〖全ク、盲信モ甚だしイ。土星ノ負ケ犬風情ニ成リ下がっテ……貴様のプライドというものハ何処にあるのカ是非教えてもらえたいものダ。このガキと同じよウ、貴様モ盲信ニ溺れテ死ネ!!〗
ネプチューンは挑発で動揺を誘うため、アストラに可能な限りの暴言を吐き散らした。ただ、その選択は後悔を生むこととなる。
「溺れ死ぬのはテメェの方だよ、タコ野郎。」
圭太は思わず目を見開いて驚いてしまった。今の言葉がアストラの口から出てきた事が信じられなかった。ネプチューンも思わず少し引いてしまった。
「自己陶酔に浸ったテメェの心はそのまま溺死しちまえ。」
そう言うと、アストラは地面を蹴りつけるような勢いで、ネプチューンに向かって走っていき、剣道のように面胴小手を殴ると、体を捻って、右足で頭を蹴った。
ネプチューンは当然、黙ってやられる訳もなく槍で反撃しようとしたが、アストラに軽く奪い取られて、柄の部分で腹を突かれた。
〖っァ……!!〗
「ほら、起きろ。」
⟬はぁ……はぁ……屈辱だよ。⟭
アストラは槍でライアを少しどつくと、ライアは不満そうだったが、立ち上がって先程の斧を手に持った。
⟬どけよ、俺がやるから。⟭
そう言うと、ライアはアストラを退けてネプチューンに向かっていった。アストラは予想外の出来事に尻もちをついて、槍を取り落としてしまった。
「おい、ボクが助けたんだぞ。その態度はないだろ。」
⟬恩着せがましいんだよ!⟭
ライアがそう叫ぶと、アストラは頭に来たのか、立ち上がって胸ぐらを掴んだ。
「ボクはムカついてるんだ。君の不義理にも、あのタコの愚かさにもね。怒りを行動にしてしまってもいいんだよ。」
⟬やれるもんならやってみろよ……!!テメェの力なんざたかが知れてんだろ……!!⟭
二人が睨み合って喧嘩をしている間に、ネプチューンは静かに歩み寄って、魔法を構えていた。だが、その微かな足音にライアは気がついた。
⟬っ……おい!アストラ、退け!⟭
「だから退かないって……」
⟬いいから離せ!!⟭
気が付かず、胸ぐらを掴んだまま引こうとしないアストラに、ネプチューンは槍を拾って襲いかかった。
⟬クソがっ……!!⟭
ライアはそう呟くと、アストラを突き飛ばすように庇った……が、槍はライアの背中に突き刺さった。
⟬っあぁぁぁああッ!!!⟭
〖馬鹿メ!仲間なド見捨てれバ良かったものヲ!!〗
槍が更に奥まで突き刺さっていき、内臓の損傷にまでなりかけたが、寸前でアストラが止めたので、ギリギリで助かった。
「何やってんだよ馬鹿!!」
〖全くダ。仲間へノ情デ死ぬなどなんト馬鹿らしイ。〗
⟬バカタコ、そいつは違ぇな……!⟭
そう言うと、ライアはボロボロの身体で立ち上がった。
⟬俺はこいつの仲間なんかじゃねぇんだよ……だから余計な貸しなんざ作らねぇ……!!⟭
ネプチューンは激怒し、〖ふざけたことヲ!〗と言って槍をもう一度握り直した。
〖愛モ情モ下らン!!己ヲ犠牲にしテ得るものなド浅はカ!!〗
「く……追い詰められてることには変わりない、どうすれば……」
アストラが思わずそう弱音を吐いたと同時に、ライアに圭太が近寄ってきた。
⟬なんだお前……⟭
「ようやく魔力が回復したんです。大人しくしてください。」
そう言うと、圭太は手のひらを軽く切りつけて、その傷跡をライアの怪我の部分に近づけた。
すると、青い炎、そう『再生の焔』がライアの体を渦巻いて、重症だった傷跡はみるみる治療された。
⟬なんだこの能力……⟭
「また俺は魔力使い果たしたんで、前線は任せましたよ!」
そう言うと圭太はそそくさと室外機に戻って倒れるように座り込んだ。
ライアは漲る力で斧を握りしめると、アストラに近づいていった。
⟬おら、感謝の言葉はねぇのか。⟭
「んなっ……ボクが言おうとしてたのに……そういうこと言われると言う気なくすよ!」
アストラがそう言うと、ライアは馬鹿にしているのか⟬ぎゃっはっは⟭と大笑いした。10秒くらい笑い転げて、ようやく落ち着いたのか、ライアは斧を左手に握り、『錬金』で剣に変えた。
⟬とりあえず、このタコやるぞ。⟭
「あぁ。」
〖貴様ラ、何カ勘違いしているナ?〗
そう言うと、ネプチューンは右手を出し、その指全てで水の弾を作った。
〖二人集まったところデ勝てないかラ十星なのダ。〗
⟬それはどうかな。⟭
ネプチューンが指で作り出した水の弾を飛ばすと共に、ライアは走り出して全てを剣で防いだ……が、気がつけば剣は水に食べられるかのように包まれていた。
〖全てヲ水デ包ミ込ム。溺れてしまエ!!〗
「そのセリフもう聞き飽きたよ。」
アストラは走り出すと、ポケットからピストルを出してネプチューンに向けた。
だが、ネプチューンは地面を触手で滑るように移動すると、そのまま隣の『第弐区』のビルの側面も登っていった。
アストラはピストルで狙いを定め、数発打ったが全て躱されてしまった。
「そういえばピストルのセミナーは受けたことないんだよなぁ……魔法頼りだから。」
ネプチューンは空中に魔力で魔法陣を描くと、右手と左の手のひらを少しずらして合わせた。
悠の報告で『超新星解放』について知っていたアストラは今すぐ止めなければと思い、引き金をひいた。
「不発……!?」
運悪く不発だったピストルは「カチッ」という音だけを立てて、何も発射されなかった。気がつけばネプチューンは詠唱を始めていた。
〖創星の時より廻りし天の理よ
輝き沈む海王星、今ここに顕現せよ〗
瞬間、視界が悪くなり、呼吸出来なくなった。水に包まれている。警戒していたので、焦らず冷静に泳いで上まで向かった。
だが、やけに水面が遠い。泳いでも泳いでも全く届かない。嫌な予感が漂いながらも、水面に出ると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
見えるのは広大な海とネプチューン、そしてライアだけ。
異世界警察署も、世界も、全て海に沈んだのだ。
〖超新星解放。〗
第六十七話 終
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