第六十六話 錬金
66が顔にしか見えないの僕だけですか?
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﹀ ←こういう
〖ライア・ビーク……死んダ筈……なゼ生きていル?〗
⟬さぁな、俺が聞きてぇぐらいだよ。⟭
そんな事を言っている時、魔力を感じ取って来たのか、ハシゴを登ってアストラが現れた。
「ん、ライア君。キミが相手するのかい?」
⟬なんだアストラァ、黙っとけ、俺の相手だ。⟭
「お好きにどうぞ。」
そう言うとアストラは圭太を抱えて、近くの室外機に座った。そう、アストラとライアは昔から犬猿の仲なのだ。
⟬さっきも言った通り、蘇って初対戦だ。存分に暴れさせてもらう。⟭
〖ほざケ。〗
ネプチューンはそう言うと、三本の突起がついた槍を体の回りでグルグルっと回して、ライアに向かっていった。
ライアもネプチューンに向かっていって、魔法を右手で構えた。
基本的には魔法は右手の掌から放たれる。だが、ライアはその「基本」では無かった。
ライアの魔法は『錬金術』。左手に持ったものと同等の価値の物を右手に生み出す。ただし、“同等の価値”というのはライアの匙加減である。
ライアは腕時計を外して左手に握った。すると、腕時計は溶けるように消えてなくなり、右手には鉄パイプを握っていた。
ネプチューンの槍とライアの鉄パイプがぶつかり合う。その衝撃で圭太も目を覚ました。
「う……アストラ!?……あれは誰なんだ?」
「目を覚ましたのかい?あれはライア・ビークっていうボクの同期だよ。よく分からないけど生き返ったらしい。」
「な……なんて強さ……!?ネプチューンと渡り合ってる……!?」
ライアはただの平凡な鉄パイプに魔力を込め、ネプチューンの金でできている槍と対等に渡り合った。
〖実力ハ衰えていないようだナ。〗
⟬お褒めの言葉ありがたいねっ!⟭
そう言うと、ライアはネプチューンの槍に押し勝ち、弾かれて隙が出来たネプチューンの腹に強烈な一撃を叩き込んだ。
ネプチューンは吹き飛ばされそうになったが、ギリギリで耐え、地面に槍を突き立てた。
〖油断大敵だナ。〗
ネプチューンはそう言うと、魔力を解放した。次の瞬間、ライアの視界は暗闇になり、少しだが、刺激が目を襲った。一瞬何が起こったのか分からなかったが、直ぐに水の中だと気がついた。
〖『海王星』。〗
遠くから見ていたアストラは、ネプチューンの魔力量と、魔力操作に感心した。そう、ネプチューンは四角い水の塊で、自身とライアを閉じ込めたのだ。
小型の海とでも言うのだろうかどうあれ、水の形を維持しておく程の、繊細な魔力操作は素直に素晴らしい。
ネプチューンは神話では海を司る神。水中の中であっても楽々呼吸可能で、生活出来る。圧倒的にライアが不利な状況。
(目が見えねえ……なんとか気合いで開けるか?いや……)
ライアは水中で冷静にそんな事を考えていたが、いつまで経っても目を開ける事はなく、その場でフワリフワリと漂っていた。
ネプチューンは〖諦めたナ〗と呟くと、槍を向けて、一気に水の中を移動した。
だが、ライアの心臓に槍が突き立てられそうになった瞬間、目も開いていないのに、ライアは槍を素手で受け止めた。
「目が見えなくても感じ取れる」とでも言いたげにライアはネプチューンを睨むと、ネプチューンを水の外に追い出した。今攻撃しても水中では大したダメージにならないと判断したのだ。
「凄い……あのネプチューンを圧倒してる!」
「圭太君、まだ安心するには早いよ。勝負はここからだ。」
そう、ライアが水中から出てこない。先程から静まり返ったままだ。もしや溺れたのか?そんな事が頭に過ぎった瞬間、何故か『小型の海』は縮んで、どこかに吸われていくようだった。
ネプチューン達が呆気にとられていて数秒もすると、中からはライアが出てきて、地面に降り立った。
⟬『錬金』⟭
ライアが息を切らしながらそう呟くと、右手には凄まじい魔力が集中した。それと同時にネプチューンは勘づいた。そう、ライアは『錬金術』の能力で左手で水を吸い込んでしまったのだ。
物凄い水のエネルギーは右手に集中し、爆発的な魔力は風圧のように当たりを響かせた。
ライアは両手の掌を合掌するように合わせると、ネプチューンに向けた。
次の瞬間、暴発するようにエネルギーは放出されたが、ブレもなく、ただ一点に水圧は集中した。
ネプチューンは咄嗟の判断で槍で防ごうとしたものの、簡単に弾き飛ばされ、水鉄砲に肩のあたりを抉られた。
〖ッ……判断能力ハ評価してやル。だガ致命傷にハ至らなかったナ。〗
⟬なに、まだ序の口さ。俺にはかすり傷ひとつないぞ?⟭
ネプチューンは挑発は無視し、冷静に槍を向けてその場でジッと隙を伺った。
ライアがポケットから何かを取り出そうと漁ったとき、ネプチューンは一瞬生まれた隙を見逃さず、槍に魔力を込め、直径一メートルほどの水の弾を四、五発放った。
ライアはポケットから石を出して左手に握り、能力で“斧”を作り出すと、水の弾を弾いて防いだ。
〖随分原始的じゃないカ。退化したのカ?〗
⟬ピカソも子供のような絵を描きたがったらしいぞ。⟭
ライアはそう言うと、ネプチューンに詰め寄って、斧で切りかかった。斜め上から振り下ろした斧をネプチューンは黄金の槍で防ぎ、その先端をライアの腹部に向けた。
だが、ライアは地面を蹴りあげ、バク宙をして軽く避けた。
その後も斧と槍のぶつかり合う金属音が響き渡り、肉弾戦は止まることなく繰り広げられ続けた。
「十星と互角に渡り合うなんて……!」
「圭太クン、今のこの状況の危機に気がついてるかい?」
アストラは圧倒されている圭太の気持ちに水を差すようにそう言った。驚愕していた自分がアホらしく感じてきて、圭太は眉をひそめた。
「君、さっき“圧倒してる”って言っただろう。そう、実際に先程まではライアが圧倒してた。だけど、今じゃ“互角”。ライアに疲労が見え始めてる。」
アストラのその発言は、僅か数秒後に実現することとなってしまった。ネプチューンが大きく振りかぶった槍をライアは止め、生まれた隙に腹を攻撃しようとした。
だが、次の瞬間、ネプチューンは右手をライアの腹部に当てて、一気に魔力を放出した。
ライアの腹部では水の爆弾が爆発し、内臓にまで大きな損傷が加わった。ライアは耐えられず、その場に膝を着いてしまった。
〖ライア・ビーク。戦闘不能。〗
第六十六話 終
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