第六十三話 星屑
まじでストックが無さすぎてやばい
〖二人の処理も終わったからね。朝霧悠、次は君の番だ。〗
悠は見下ろしたまま、やはり口は開かずに、顎でヴァーギンをさした。
ウラヌスは180度頭を回すと、ヴァーギンの姿を見た。だが、ヴァーギンは特に異常もなく、むしろ獲物を倒したことで幸せそうだった。
〖?何も無……〗
そう言ってウラヌスが振り返った刹那、悠はウラヌスに斬りかかっていて、ギリギリの所でウラヌスは回避した。
〖ユー、以外と卑怯なんだね。〗
「合理的と卑怯を履き違えるなよ、星屑。」
〖大口叩きのゴミクズがなんかほざいてるねぇ。〗
そう言うと同時に、ウラヌスの背中の翼の少し下から、二本の触手が生えてきた。ベージュの上に、薄桃色の汚れのようなものが斑に散らばっていた。
〖死ね〗
ウラヌスはそう言うと同時に悠に向かって触手を振り回し始めた。
何も考えずに振り回しているだけなら楽々避けることができるが、ウラヌスはそう一筋縄ではいかなかった。
緻密に計算された、繊細な動き。1歩踏み外せば触手の餌食になってしまう。先程見えたどす黒い炎、あれは恐らく“可視化されてしまった魔力”だろう。触手にも爆発的な魔力が込められている。悠と言えど、当たればタダではすまない。
だが、悠は落ち着いて触手に蹴りを与えて、少し怯ませると、突然叢雲を鞘に収めた。次の瞬間、触手には切れ目が入り、それは収まることなく広がっていき、触手は真っ二つに切り離されてしまった。
「仝々、V-ENOM!そのペットはお前達に任せたぞ。」
悠がそう言った瞬間、ヴァーギンは突然目を見開いて狼狽え始め、段々と持ち上げられて言った。何が起こっているのか。
「了解致しました、悠様。」
そう言って現れたのは仝々だった。ヴァーギンの巨体に埋もれてヒッソリ隠れていたが、巨大化の術でヴァーギンを持ち上げてしまったのだ。
「ぅおおぉらぁっ!!」
仝々の肩に乗っていたV-ENOMは、ヴァーギンに向かって飛びかかると、小さい体でありながら、ヴァーギンの巨体を蹴り飛ばした。
〖ユーやるねぇ。〗
全てを見透かしているかのようにウラヌスは余裕の表情でそう言うと、背中の触手を再生し、なんなら初めより幾つか増やした。
〖これはどうかなッ!!〗
悠は当然怯むことなく向かうと、簡単に触手を切り刻んでいった。だが、ウラヌスは突然向かってきた悠の頭に触れた。
〖脳天:啄木鳥〗
ウラヌスがそう唱えた瞬間、悠の頭にはまるで大型トラックが突っ込んできたかのような衝撃が与えられた。しかも、それは止むことなく続いた。
「っぁあッ!!」
〖人間の一番弱い部分は?心臓?急所?いや、答えは脳だ。〗
そう言うと、悶える悠をウラヌスは蹴りつけようとした。だが、悠は足を受け止めるて話し始めた。
「要するに……リンパ液を揺らし続けているわけだ……」
痛みはまだ続いているはず。ウラヌスは思わず面食らったが、驚いてる隙もなく、悠はウラヌスの頭部を掴んで、前後左右に揺らし続けた。
〖っあぁぁッ!!〗
悠は掴んだ頭を自分の膝にぶつけて、怯んだ隙に叢雲を抜こうとした。だが、ウラヌスはニヤリと笑みを浮かべると、悠の頭に手を置いた。
〖なんてね。〗
瞬間、ウラヌスは触手で悠の身体を打った。だが、それでも悠は微動だにしなかった。何故か。
“リンパ液が浮かび上がっている”。その言葉が良い表現であった。悠は最早気分の悪さで呼吸もままならなかった。
〖触手爆散。〗
ウラヌスがそう唱えた瞬間、触手は爆発して悠の身体を抉った。横腹の当たりが抉られて、悠はその場に倒れてしまった。
それと同時に、ヴァーギンは天に届くほどの勢いで飛び上がった。
その鳴き声が辺りに響いて、大地は振動した。ヴァーギンの近くには仝々とV-ENOMが転がって意識を失っていた。
〖お片付け完了ーっ!さてと、ヴァーギン行こうか。〗
そう言って帰ろうとしたとき、ウラヌスは何かの攻撃によって耳を掠められ、反射的に振り返った。
「〆桜。」
そう言って悠は叢雲を振るった。瞬間、その一太刀で、ウラヌスは正確に右耳だけを切断された。
「次はその心臓だ。」
〖ユーも大概学ばないな。僕達が何か悪いことでもしたのかい?END達を始末しようとしているだけだよ。〗
耳を切断された事など気にしないかのように、ウラヌスは薄ら笑いをしながら言った。
「命を見たことがあるか。」
突然の悠の質問に、ウラヌスは眉をひそめて困惑した。ウラヌスは少し考えてから、馬鹿にするような笑みで〖ないね〗と言った。
「どんなに酷く心の臓を切り裂いたとしても。体の内臓全てを解剖しても。脳を切り開いたとしても!!命は見ることができない。」
何を当たり前のことを。そう思い、ウラヌスはため息をついて、ヴァーギンの頭を撫でた。だが、悠は叢雲の切っ先をウラヌスの喉元に向けると言い放った。
「それだけ価値あるものなのだ。」
〖綺麗事だね。〗
「貴様自身が汚いから綺麗なものを妬むだけだろう。」
悠はそう言うと、叢雲を振りかぶって、地面に向かって垂直に下ろした。瞬間、ウラヌスは魔力を感じ取って、咄嗟に逃げたが右腕を刀に刈り取られた。
「『紫煙』。」
悠はトドメを刺すようにそう唱えると、充満した煙の中で、ウラヌスは一瞬にして腹部の中心を叢雲によって貫かれていた。
「一突きで終いだ。スペースデブリ。」
第六十三話 終
冒頭にも言った通りストックが無さすぎるので、1週間休みます。まじですいません。




