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第百八話 異世界警察設立

 ゴドラ・()()()。男はそう名乗った。 

 世界の英雄、神的存在の朝霧悠に宣戦布告した男の名である。


「俺と戦え、朝霧悠。」

「なぜ私が貴様などと戦う必要がある。部を弁えよ、痴れ者が。」


 初め、悠はそうあしらって一蹴した。異世界警察が設立されるよりももっと前。世界切断からたったの1000年程しか経っていない時だった。

 1000年と聞けば長く感じるかもしれないが、『世界切断』は言い換えれば世界を一から作り直す行為。地球が生まれて、たったの1000年程度で人類がここまで成長したのは奇跡としか言いようがない。


 その1000年の間に誰に宣戦布告されようが、悠にとっては興味がなかった。


「それほどの力を持ってして、なぜ世界を壊さない。なぜ支配しようとしない。貴様の目的はなんなんだ。」


 ゴドラはそう問いかけた。悠のことを崇める存在は大勢いるが、悠が自主的に支配行為を行うことはなかった。それがゴドラにとっては不思議で仕方がなかった。

 だが、悠は目を大きく開いて、ゴドラの目の前まで近づくと、人差し指でゴドラの頭を突くように触れて一言言った。


烏滸(おこ)がましいぞ餓鬼。人類(貴様ら)が大切で守ってるとでも思ったか。自惚れるな。人類を滅亡させる理由がないから滅亡させないだけだ。私の好いた物を堪能するための世界だ。それに満足していないというのならば勝手にやっていろ。」


 悠はそう言い切ると、ゴドラを睨んでいた眼光を逸らして、またどこかへ歩いていってしまった。ゴドラは思わず腰が抜けて、立ち上がることすら出来なかった。


「ま……待て!!」


 ゴドラが必死にそう叫ぶと、悠は嫌悪感丸出しの表情で振り返って、ゴドラを睨んだ。


「貴様の好いた物とはなんなんだ……!?」

「……バーガーと自分。」


 その答えにゴドラは思わず拍子抜けしてしまって、「はぁ……?」という情けない声しか出せなかった。

 やはり世界の英雄とは思えない。だが、それが人を惹きつける理由であることは、ゴドラが体現した。


────────────────────────


「……弟子入りだと?」

「あぁ。私を弟子にしろ。」

「全く……上下関係は好まん。」


 そう言うと、悠はどこから生み出したのか、バーガーを2つ手にすると、1つをゴドラに渡した。


「組織を作る。貴様と私のツートップだ。」

「ぇっ……あぁ。」


 一瞬困惑していたが、ゴドラは笑みを浮かべて、受け取ったバーガーを一口かじった。テリヤキ味である。


「私一人で異世界をパトロールするのにも限界が来ている。数があまりにも多すぎる。ENDが居なくなってからというもの、どんどん捌ききれなくなってきているのだ。」

「つまり……異世界をパトロールさせる組織を作ると。」

「察しが良くて助かるよ。名は『異世界警察』。感情的にならない、軍団を作るのが理想だが、集団である以上それは不可能だろうな。」


 悠はバーガーと共にチキンナゲットを口に放り込むと、顎を指で押さえて少し考えた。

 だが、その思考も途中で遮られることとなる。突然、真っ黒のスポーツカーを、荒々しく運転する女性が近くに止まった。


「悠、逃げるぞ。」

「そうはいかないわ。」


 スポーツカーの扉をバタンッと閉めて、現れたのは黒髪で長髪の女性だった。


「どこに行ってるかと思えば、こんな所にいたのね。帰るわよ。」

「ん、貴様、メイ・ルリアか。名は聞いてるぞ。なんでも、飛び級で入った大学を首席で卒業したらしいな。」

「そ……そんな、大した事ないです。ほら、ゴドラ、早く謝りなさい。」

「いや、いいんだが。ゴドラと貴様はどういう関係なんだ?」


 メイはゴドラの首を両手で締めるように抱えて、無理やり引っ張ろうとしていた。


「私がゴドラの()です。」

「そういえば……ゴドラ・ルリアと言っていたな。」

「ほら、帰るわよ。」

「いや、帰る必要はない。」


 そう言うと、悠は立ち上がって叢雲を抜き出した。ちなみにこの中にはまだ何も宿っていない。


「2人とも異世界警察になってもらおう。」

「……なんだと?おい貴様、この馬鹿女は邪魔だ。対等なのではないのか。」

「全員対等だ。」

「アンタ今馬鹿女って言った?コノヤロー……!!」


 メイはそう言うと、ゴドラの頭をガシャガシャと撫でた。


「悠、異世界警察とやらを作るにしても、どうやって他の異世界を探知するんだ。お前の力あってこそ見つかるのだろう。」

「それは私に任せてくれよ。」


 そう言いながら現れたのは、研究員のような長い白服を着た男だった。男の眼鏡の下からでも見える眼光は好奇心に満ちた光を放っていた。


「お前は……」


────────────────────────


 こうして、メイとゴドラ、そして十数名の人物によって異世界警察は作られた。同時に世界の文明は小さな1歩を踏み出した。西暦が作られ、人々の間ではようやく時間が進み始めたのだ。

 創立直後に、悠のストーカーであったアストラ、各地の大犯罪者のMBU隊長を迎え入れて、異世界警察は更なる拡大を見せていった。この頃のメンバーは契りをかわし、不死では無いものの、不老になる力を得られた。



 だが、数十年後、メイとゴドラが殺し合いに発展するほどの大喧嘩をすることになる。姉弟の喧嘩どころではない。喧嘩の発端は、ゴドラが(ムーン)の力を得たことだった。結果、メイは異世界警察を辞めた。誰にとっても苦渋の判断であった。この時、不和の歯車は動き出してしまっていた。

 立て続けるように起こった事件は〖近郊崩壊〗。ワンク5の世界にて、餓者髑髏に襲われた悠は意識を失う。

 その後、ゴドラによって十星が設立され、悠はゴドラ含む、自身の周囲の人間に裏切られたような気分になり、敵意を抱くこととなった。


 これが十星と朝霧悠の因縁の歴史である。


第百八話 終

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