表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/121

第百四話 火星

ほんの少し今回の話短いです

 十星の初期メンバーは十人であるが、初代のまま変わっていないのは、たったの四人。

 『(ムーン)』『火星(マーズ)』『木星(ジュピター)』『地球(アース)』。他のメンバーは全てが二代目以降だ。


 『(ムーン)』ことゴドラのみがその中で突出した武力を誇った。が、力のあるものが長となれば、他のメンバーは従うしかない。なので、ゴドラは自主的に火星(マーズ)を長に推薦した。だからこそ、ゴドラは今でも火星(マーズ)の命令だけは確実に聞く。

 『火星(マーズ)』。本名は『鈴木 拓(すずき たく)』。怠惰で斜に構えた性格。だが、正義は確かにあった。


 だが、()()()()。そう、一度だけだった。黒魔術。死者蘇生を()()()()してしまった。亡くなった想い人への執着心。同情からか、十星は誰一人その件を咎めようとしなかった。

 それが不和の種だった。正義感は歪み、次第に『代償のない死者蘇生を可能にするため』という口実で、火星(マーズ)は死者蘇生を許可した。代償のいらない死者蘇生など、不可能な事が分かっても、十星の武力行使のために許可してしまった。


 堕落した星は夜を照らさず。


 十星が初めて死者蘇生を行った時に朝霧悠が放った言葉。学校の教科書にもチラッと紹介されている。

 だが、何を言われようとも火星(マーズ)は、想い人との愛を永遠と思い疑わなかった。二人の愛は同等のものと思い疑わなかった。

 火星(マーズ)は歪んだ正義と同じ、歪んだ愛を持っていた。十星の死者蘇生は止まることを知らず、火星(マーズ)は何度も想い人を生き返らせた。

 両手両足を使っても数えられないほどの数になった時、想い人は遂に限界を迎えた。

 一つ忠告しておくが、死者蘇生における“限界”とは、その肉体、精神が異常をきたすことである。

 火星(マーズ)は気がついていた。その女性の肉体が崩れていたことに。両足の機能は衰弱し、車椅子での生活を強いられていた。続ければ完全に体は動かなくなる。

 体が衰弱したにも関わらず、女性は火星(マーズ)にビンタして、姿を消してしまった。数日後、異世界警察の建物から飛び降りた女性の姿が発見されることとなった。


 もうその女性のために死者蘇生を行うのは辞めた。が、火星(マーズ)の心は病んでしまった。

 数日後、悠によって、十星の半数が暗殺される。十星で二番目の力を誇る火星(マーズ)。自身の死くらい回避できたはず。だが、亡くなった。


 十星の長、火星(マーズ)……否、鈴木拓は生を望まなかった。


────────────────────────


《嗚呼。》


 蒼に巻き付かれた火星(マーズ)は、もはや為す術なかった。的確に筋肉が抑えられ、体は微動だにしなかった。


 蒼は手を振りあげると、心臓部に向かって振り下ろそうとした。

 ようやく。十星に死者蘇生をされ、地獄に帰ってきてしまった。ようやく想い人の元へ帰れる。火星(マーズ)は笑顔を浮かべた。


〖今行く。〗


 が、蒼の体はピタッと止まった。笑顔を見せた火星(マーズ)を見て、蒼は何かを思い出したのか。

 一瞬だった。ほんの一瞬、攻撃が止まっただけだ。だが、火星(マーズ)はこの世に未練が湧いてしまった。(ゴドラ)は大丈夫だろうか。それに木星(ジュピター)水星(マーキュリー)達も。

 潔く死ぬことすら許さない。蒼はそんな男だった。


 蒼は手を振りかぶると、顔面に一撃、そして、脳天に指を突っ込んだ。

 頭蓋骨がバキバキと音を鳴らし、蒼は満足そうな笑みを浮かべた。何か柔らかいものに触れる感覚がすると、蒼は一気に手を突っ込んで、それをグチャっと潰した。

 柔らかいものを潰すのは、楽しい。本能的快楽に溺れた蒼は口を開いて、大きな高笑いをした。


 当たりは炎に巻かれている。気づかない間に蒼は煙を吸いすぎていたらしい。その場に倒れて、蒼の意識は遠のいていった。


〖屋外の戦い 火星(マーズ)vs蒼(狂心症)〗

 勝者 蒼


第百四話 終

この作品が面白いと思ったら是非★やブックマーク、コメントなどお願いします。

また、他の連載作品などもお願いします。

作品の質向上の為にもアドバイスなども下さったら有難いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ