14話
「お久しぶりです。」
学校から帰り道、人とすれ違うことは余り無いが今日は待ち人がいた。
ところどころ塗装が剥がれた郵便ポストに真っ白で目が赤い女性が居た。
「うどん屋のアルビノ。」
「三流小説のタイトルようなあだ名ですね。」
「それはすまない。 では、あなたは誰ですか。」
女性は見た目だけでなく、どこかしら普通の人では無い気がしてならない。
「そうだ、私は青筒から契りを結ぶ為に呼ばれた善狐だ。」
「そうか、だったらよろしくな。」
「えぇ、此方こそよろしくお願いしますが、私は今日彼方にお会いしてのは契りをさせない為です。」
善狐を名乗る女性は矛盾したことを口にする。
「どうしてですか。」
「はい、私は全て話す為に来ましたが、立ち話もなんですし喫茶店で話ましょう。近くに美味しいアイスコーヒーが飲める場所があるんです。」
俺は紫苑と一緒に話を聞いたほうが良いと思ったが、女は先に紫苑と話をしたから二人だけで話したいと言って、川沿いに立つレトロながら掃除が行き届いた小狭い店内に入る。
サイダーを飲み話しを聞く。
「彼方は自分が死んだ後、紫苑の正気を保たせますか?」
「......一度、死んでみないと分からないですね。」
意図して考えもしなかったことを聞かれて、曖昧な返答を返す。
「あの子は、彼方を好き過ぎて、その思いが裏返れば強力な怨念になってあの子は悪霊になります。」
「でも、契りを交わせば悪霊に成らなくなると聞いたけど。」
「たとえ、契りが成功しても、あの子は人間の命の短さを嘆いて悪霊になります。」
「そうだな、紫苑ならありえそうだな。 でもアイツは今まで悲しいことあっても一人で耐えてきたようだし乗り越えるんじゃないか。」
「いいえ、あの狐は今まで何度か悪霊になりかけたことは封印してきただけです。」
「そうですか....。」
「それで、彼方にお願いがあります。」
「紫苑を傷付けないで付き放つのか?」
「ぇ、彼方は、エスパーですか?」
「違う、そういう流れに話が進んでいたから、察しただけです。」
「では、どのようにあの子を突き放すかもう考えてついているんですね。」
「いや、俺は何も考えていない。 死んだ後のことは何もな。」
「無計画では、ズルズルと関係が続いて、後に引くことが出来なくなりますよ。」
「イヤ、もう引けないところまで来ているかもしれない。」
俺は、さっきから送られる大量のメールの一部を白狐に見せる。
『黒夢はとても優しいくて、ずっと甘えていたいが、運命がそうさせない。だから、考えた、考えた、そして気付いた。黒夢も神になれば私達は永遠に一緒に居ることができる。だから、黒夢には私の神格を半分あげる。だって、私達は運命共同体だから運命を共にするのは当然でしょう。だから、だから、永遠の時間を一緒に過そう。』
「あの子、本当に何を考えているのですか?。」
「どうやら、自分を神にしようと考えているようだな。」
「これでは、あの子も彼方も二人で仲良く悪霊ルートになりますね。」
チャラチャラ~~♪ と鈴が鳴り、喫茶店のドアが開き客が入ってくるが、その客はとても厄介な生き物だった。
「黒夢、何で電話に出ないのだ。」
「何で、俺の居場所が分かったの?」
「位置情報(GPS)が教えてくれたのだ。」
最近の電子機器は便利だけど、便利すぎるのも考え物だな。。
「紫苑、チョコパフェでも食べるか?」
「ねぇ、何で電話に出てくれなかったの。」
俺はポケットに入っているスマホを握り潰して液晶パネルにヒビを入れて、紫苑に壊れたスマホを見せる。
今の紫苑をキレさせるのに比べたら、スマホの修理代は安いほうだ。
「実はスマホが壊れて、ネットカフェに入って連絡を取ろうとしたけど、普通の喫茶店に入って出るに出られなくなったら少しジュースを飲んでたんだ。」
「そうだったの?」
「それよりも、耳と尻尾が出ているぞ。」
「あ!」
張り詰めていた顔をしていた紫苑が、パッとしたアホな顔に変わる。
「まったく、お主は視野が狭い。」
「白狐! 黒夢に変な事を吹き込んでは無いだろうな。」
「変な事は吹き込んでいない、人を疑うのは止めろ。」
「まぁまぁお二人さん、耳出ているよ。」
「白狐、この際に言うが私は神や人など如何でもいい、黒夢と一緒の道を歩むことにしたのだ!」
「ほかのお客に迷惑がかかるから場所を変えようか?」
爪を立てながら強く抱きしめる紫苑を引きずり、お会計を済ませて店を出る。
客の視線がとても痛い。
「黒夢、お願いだから死んで。」
ドアから出た瞬間、突然紫苑は腕を放してナイフを取り出す。
「え?」
「黒夢殿、逃げるぞ。」
包丁に刺されないように意識を紫苑に向けてた故に、真横から繰り出された白狐の飛び蹴りをもろに受ける俺は地面に倒れて、そのまま白狐に引っ張られてる。
「善狐さん どこへ向かっているんですか?」
「山の祠だ。 もう紫苑は封印するしかないようだ。」
「考え直してはもらえませんか。」
「悪いが、私にとって紫苑が悪霊になって滅ぶより私の手で引導を渡すのが上司として責務だ。」
そう言っている白狐の手が硬く握られているのが伝わってくる。
「最後に聞きたいことがある。」
「なんだ。」
「なぜ、紫苑は自分を殺そうとしたのか?」
「それは多分、彼方を殺した後に神格を分け与えるためだ。」
俺は紫苑が送ってきたメールの内容を振り返り、紫苑の目的を考える。
「なぁ、もしも俺が神になったらどうなる?」
「もしそうなれば、彼方の魂は人の輪廻から外れて消滅する。」
「じゃ、紫苑の計画て無意味?」
「そうだ、無知とは怖い。」
紫苑の上司面する白狐に、俺は心の中で上司ならちゃんと教育しろと叫ぶ。




