9.払った会費は無駄ではなかった!?
9.払った会費は無駄ではなかった!?
自力で結婚相手を探すことを諦めてからというもの、仕事に対してもやる気がしなくなっていた。そんな時、後輩の女子社員に声を掛けられた。会社の化粧室で。
「先輩、ご結婚されるんですか?」
「えっ?」
「隠さなくてもいいじゃないですか。私、見たんですよ!先輩が結婚式場の打合せコーナーで引き出物を選んでいるところを…」
マジか!ヤバいぞ。相手も居ないのに結婚式場を予約しているなんてことがばれたら、いい笑い者だ。
「あそこ、いいですよね!私もこの秋にあそこで式を挙げるんですよ。先輩はいつですか…」
ヤバい!ヤバい!なんと言ってごまかす?
「そうだ!先輩の結婚式、招待してもらえませんか?どんな式になるのか見てみたいし」
「ごめんなさい。もう、招待状は送ってしまったから…」
「そうですか…。残念。じゃあ、写真、見せてくださいね」
そう言うと後輩は部署へ戻って行った。
仕事が終わって、結婚式場へ打ち合わせに向かう途中、携帯電話が鳴った。登録をしていた結婚相談所からだった。
「もしもし、野本です」
「野本さん、条件の合う人が見つかりました。急なんですけど、今週末のご予定はどうなっていますか?」
「大丈夫です!」
さすが、プロは仕事が早い。20万円の会費を払っただけのことはある。このチャンス、絶対にものにしてやるわ。
「今日もお一人なんですか?」
逸見さんのこのセリフはもはや、挨拶のようなものになってしまっている。
「ええ。でも、次の打ち合わせには彼と一緒に来られると思います」
「そうなんですか…」
そうなんですよ!まだ確定したわけではないのだけれど。でも、逸見さんのこの時の表情はなんだか少し気になるものだった。
週末、待ち合わせの場所に行くと、相手は既にそこで待っていた。それは意外にも…。
結婚式まであと1カ月!やっとなんとかなりそうな気がして来た今日この頃…。




