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7.結婚式まであと1年?まだ1年?

7.結婚式まであと1年?まだ1年?


 暗闇の中、私は一人彷徨っていた。どこからか声が聞こえてくる。ハッとして振り向く。

「祐二くん!」

 そこで意識が戻った。

「お客さん、終点ですよ」

 目の前には愛しの祐二くんではなく、制服姿の車掌さん。ちょっとだけいい男に見える。思わず左手を見てしまう。やっぱりな…。その薬指にはしっかりと指輪がはまっている。朦朧とする意識のまま電車からホームに降りる。反対側のホームに停車している上り電車に乗る。吊革につかまって溜息を吐く。あーあ、何やってるんだろう…。


 週末、打合せのため、また結婚式場へ出かけた。

「今日もお一人ですか」

「ええ、彼、休日の仕事が多いもので…」

 そんな訳はないでしょう!ほっといてよ。もちろん、声に出しては言えない。

「そうですか。大変ですね。僕も仕事柄、休日は休めないのでよく解かります。さて、本日は…」

 逸見さんは淡々と説明を始めた。今日は出席者の人数やら会場の規模やらを打合せした。逸見さんの声は相変わらず心地いい。毎日この声を聞いていられる彼の奥さんが羨ましい。

「そろそろお昼ですね…。近くに美味しいカレーを食べさせてくれるお店があるんですが、どうですか?」

「えっ?」

 私を誘ってくれているの?婚約者が居る私を?本当は居ないから問題ないんだけど…。彼が独身だったらなあ…。

「あ、大丈夫ですよ。ナンパとかそういうのじゃないですから。それともカレーは嫌いですか?じゃあ、パスタの…」

「好きです!お願いします」

 思いもよらぬ大きな声が出てしまった。これじゃあ、私が彼に告白しているみたいじゃない。当然、周りに居た他のカップルや受付の女性社員たちの視線が集まる。恥ずかしい…。

「じゃあ、行きましょう」

 周りの様子など気にする素振りも見せずに逸見さんは微笑んで席を立った。声だけじゃなくて、この笑顔も素敵だわ。あー、どうして私が好きになる人は既婚者ばかりなんだろう…。


 結婚式まであと1年…。いや、まだ1年ある!


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