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4話

「あたま、いたいの?」


 妹の方がぼそっと呟く。


「そうなのよ。人に憑依しただけならそんなに疲れないんだけど、身体まで支配するともの凄く頭が疲れるの。あまり長い時間は動かせないの


「それに魂が入っていない身体を放置するのは凄く危険なの。よくて数時間もてばいいけど」


 オカンはそこまでの説明に留めた。


 正解だと思う。それ以上のリスクは言うべきではないと思う。


「まー暫くは憑依ゴッコでもして遊びましょ」



 そんな遊び、嫌すぎるだろ。


 丁度良いタイミングで、インターホンが鳴る。


 お寿司が到着したらしい。




「とりあえず、寿司食べましょ。今度は白峰家について説明しますね


 それにしても、この姉妹、むちゃ美人過ぎて困る。


「あの、お姉ちゃん? か、加奈子お姉ちゃん?


 妹が手を差し出してくる。なので手を繋いだ。


 すると……


挿絵(By みてみん)


【聞こえる? 僕の考えてること。わかる?】


 おー、すげーな。もう理解できたのか?


【聞こえるよ。華凛ちゃん】


 ウチはそう答えると、華凛ちゃんの顔がぱーっと明るくなった。



【凄い!】


【考えること,お姉ちゃんには何でもバレちゃうよ? 気をつけようね】


 華凛ちゃんがもの凄く喜んでるのを見てると、こっちまで嬉しくなってしまう。


「華凛。俺もやってみたい」


挿絵(By みてみん)


 今度はお姉ちゃんだな。

 楓蓮さんだったっけ? 手を繋ぐと、心を読むために、わざとらしく目を瞑った。意味ないけどな。


 っていうか。今、「俺」って言いましたよね?


【あのーわかります?】


【分かりますよ】


 楓蓮お姉ちゃんは驚いてる! いいねその顔。


【ちょっとお話いいですか?】


【もちろんですよ。何でも質問どうぞ】


 余裕たっぷりに言ったつもりだったが、ここから楓蓮お姉ちゃんのターンになってしまう。


挿絵(By みてみん)


【実は、三輪さんと今日会うのはこれが2回目なんです】


【え?】


 心を、読んでるウチがら驚くと、楓蓮お姉ちゃんの方がニコっとしてるだと?


挿絵(By みてみん)


【高校で一緒のクラスになりましたね】


 は? いやいや、そんなハズはない。

 おっと、今の感情は読まれていないそ。この辺の使い分けは長年この能力を使って来たからできるワザだ。


 って言うか、楓蓮お姉ちゃんみたいな綺麗すぎる人を見逃すハズがないです!


 ウチが何も言わないと、向こうから伝えてくる。


挿絵(By みてみん)


【何だか賑やかなクラスでしたよね? ほら、あのピンクの髪の女の子。白竹さん。めっちゃ緊張してて、三輪さんが前の席から助けてて、俺も染谷くんも、みんな必死に応援してましたよね? ああいう状況ほっとけなくて……】



 え? なんで? なんで知ってるの?


【ごめんなさい。ちょっと意地悪でしたね】


挿絵(By みてみん)


 まだよく分かってない。楓蓮お姉ちゃんみたいな人はいませんでした、、


【覚えてないかもしれませんが、染谷くんの後ろ席に座ってた、黒澤蓮って男いたでしょ?】


挿絵(By みてみん)


【うん。い、いました。けど?】


【あれ、俺なんですよ】



【……はぁ?】


 うあっ! あまりの衝撃に叫んじまった!


 くすくすと笑う楓蓮お姉ちゃん。


「楓蓮! マグロ食わねーのか?」 と、麗華ママ。


「後で、ちゃんと説明しますね」


 楓蓮お姉ちゃんの凄まじいスマイルを下さった。


挿絵(By みてみん)


 今の話を要約すると、こんな感じだだよね?


 黒澤くん? 黒澤くんが、楓蓮お姉ちゃん?


挿絵(By みてみん)


 いやいやいや、そんなわけないよ?

 

 ちょっと意味が分からないウチは一旦手を離した。


「じゃあ、さっき……ウチのオカンが妹さんにやってたように、記憶を探らせてもらえれば……わかるかもしれません」


「そっか! 高校の時の記憶を見てもらうんですね? わかりました!」


 ハキハキに答えまくる楓蓮さんに圧倒されてしまう。喜んで手を差し出してくる。


「思い浮かべるんですね? じゃあ……ピンクの髪の白竹(しらたけ)さんのシーンを……」


 ウチが楓蓮さんの手を持つと、それはもう鮮明なワンシーンが浮かび上がってくる。


挿絵(By みてみん)


『〇〇県からきますたぁ! きますたぁ! 白竹しらたけぇ。白竹しらたけぇ。白いと書いて竹の竹ですぅ! 白竹しらたけ。美優みゆうでしゅぅ! でしゅぅ! ですぅうう! あ、あ、ああっ、よろしゅく! よろしゅう! よろしゅくぅおねがぁいしますぅうう!』


 ウチの視点ではないアングル。

 黒澤くんは白竹さんの斜め後ろの席だから。こう見えたのだ。


挿絵(By みてみん)

 

『大儀であった。あとは任せよ』

 

 うぅ……ウチはあんな顔をしていたのか……



 そしてあの時のシーンが別の視点から展開されていく。


 ウチの自己紹介のシーン。西部と言い合うシーンに染谷くんに蹴りこまれてるシーンなど、

 そして、染谷くんや黒澤くんがウチに、白竹(さん)への友達申請を申し出たシーンだ。


挿絵(By みてみん)


『いえいえ。全然いいっすからっ! あの、さっきのは、このチンパンジー……じゃなくて西部に言っただけの、勢いで言っただけで……仕切るつもりなんてないっす……』


 は、恥ずかしすぎる!!!


 なんだこの顔は! ウチはこんなブサイクに対応してたのか!


挿絵(By みてみん)


 

 ああ……参ったな。これ


挿絵(By みてみん)


  ウチが持つ本来の記憶と、彼女の頭の中にあった記憶は100%一致した。


 数時間前に同じ場所で、同じ学校で、同じ教室で、同じ時間を過ごしたという、確固たる証拠となったのだ。


 そこから推測するのは簡単だった。

 

 目の前に見える彼女は、黒澤くんは自分なのだとカミングアウトしてくれたのだから、もう疑う余地など残されていない。


 ウチに限っては、この時点で楓蓮(かれん)さんイコール黒澤(くろさわ)くんという数式が成立した。


 信頼度は100%。誰が何を言おうと、ウチは確信した。


 あとはどうやって楓蓮さんと黒澤くんが結びつくのか、その理由を詳しくお教え願いたい。



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