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第18話 返却期限のない嘘

監査のあとも、リディアは最後まで笑顔を崩さなかった。


「姉さまは昔から、本にばかり愛されてずるかったのよ」


 その言葉に、私は不思議なくらい腹が立たなかった。代わりに、少しだけ哀れみが湧いた。


「愛されていたんじゃないわ。私は読んで、戻して、守ってきただけ」


「そんな地味なこと」


「ええ。地味なことよ。でも、誰かの本を返すのは、誰かの人生を返すのと同じなの」


 リディアは言葉を失った。彼女には最後まで、それがわからなかったのだろう。


 返却期限のない嘘なんて、ない。本も、婚約も、蔵書印も、借りたままにはできない。いつか必ず、持ち主の名へ戻る。


 その真実だけが、私の背筋をまっすぐにしてくれた。


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