◆ リリー視点:『遭逢』(3.5話)
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本っっっ当―――に、ありがとうございます!!!
「え…」
初めての衝撃だった。
こんなに綺麗な人が居るなんて……。
――――愛の泉に『愛の御子様』が現れるという予言が、愛の神より告げられ、泉の周辺は大勢の人達に囲まれていた。
期待に満ちた顔、欲望に塗れた顔、興味本位の野次馬、様々な人達が居た。
突然異世界に召喚され、様々な思いが渦巻くこの群衆を目の当たりにして、『愛の御子様』は、平常心でいられるだろうか。
いざとなったら、レオニダスも待機しているので、大事には至らないと思うけど……。
ただ、レオニダスは他人に興味が無いので、御子様にどう対応するのかは、予想できない。
「失礼なことを言ったり、したり、しなければいいけど…」
そんな事を思っていたら、いざこざのトラブルが起こったという報告が入った。
「…またですか…」
これだけの群衆が集まっていれば、トラブルも起こるだろうとは思っていたけど、こうも頻繁では、対応に追われてしまい、『御子様』のお出迎えに間に合わないかもしれない。
いざとなったら、レオニダスが神官長と私に報告(通信)してくれる手筈になってはいるけど……。
――トラブルの対応を終え、神官長に報告している途中、神官たちが大慌てで扉を開けて来た。
「神官長!聖女様!た、大変です!『愛の御子様』が泉から現れました!!」
「! レオニダスは!?」
「御子様の御足に頬ずりしていました!!!」
「!?」
………………!?
「ハハッ、何やら面白いことになっている様だね~」
「父…神官長!笑い事ではありません!何がどうなってそうなっているんですか!?」
全く、いろいろな意味で何をやっているのですかレオニダスは!!!
「その後、御子様が群衆に襲われています!!!」
「!!」
「リリー、」
「はい!急ぎ向かいます!!!」
何をやっているのですかレオニダスは!!!(2回目)
御子様の御足に頬ずりなんてしているから、御子様が襲われるんですよ!!
てか、何で御子様の御足に、頬ずりなんてしているんですか!!アホですか!!(後に変態になっていたことが発覚)
まあ、レオニダスなので、襲ってくる群衆など一蹴してしまうでしょうが。
――――そして、泉前の広場に到着すると、案の定、群衆が一蹴された後だった。
「御子様は……!」
辺りを見回すと、レオニダスと、もう一人、男性が立っていた。
「え…」
初めての衝撃だった。
まるで神聖な空気の中に立っているような、そんな清廉潔白なオーラを纏っている男性だった。こんな綺麗な人が存在しているなんて。
(この方が……御子様)
オーラはもちろん、綺麗に整った容姿、凛とした立ち姿や、品のある所作までも美しかった。
胸が熱くなる。
「御子様!今日から絶対御前を去らず、片時も――」
!! 宣誓の誓約!? まさかこの世界のことを何も知らない御子様にいきなり!?
「断る」
! あ、良かった、断――
「あ~もう御子様の虜です~!死ぬまで付き纏って絶対に御子様から離れません~」
!?
「……えっ、…………??」
…………あの、何者にも媚びず、靡かず、孤高の狼の様だったレオニダスが……今、なんて……?
「御子様をマーキングしましたので、御子様が何時何処に行かれても、100%追跡できますのでご安心ください!」
!!?
……はあーーー!? いろんな意味で、本当に何をしてくれているんですかあの犬畜生は!!!
「御子様……私に名をお与えください」
!!
っ、こんの……犬畜生っ!! 報告(通信)を怠って何していたのかと思えば、調子に乗って御子様にこんな、とんでもないことを……!!!
――「お待ちください!」
全速力で駆け寄り、急いで御子様を御護りする。
必死のあまり、御子様の前で‟犬畜生”呼びを出してしまったが、後の祭りだ。
御子様は少し驚いた顔をしたが、それだけだった。
レオニダスとなじり合いのような口論になっても、御子様は引いたり軽蔑したり、ガッカリしたりしなかった。
ただ、じっと、私たちの様子を見ていた。
人間観察的な俗っぽいものではなく、瞳の奥を覗き込み、まるで、その人の本質や真実を見抜くような、そんな眼差し。
その眼差しを見て、昔、アルテミア様が、アポロニア様から聞いたという、
「稀に人間の中にも、『審神者の眼』を持つ者がいる」という話を思い出し、
もしかしたら、御子様も『審神者の眼』をお持ちなのかもしれない、そう思った。
真っすぐで、目を逸らせない、不思議な魅力を宿した、綺麗な瞳だった。
接し方も、他の人達とは違う、御子様の態度(対応)に、凄く安心して、
きちんと私自身を見てくれているみたいで、それがなんだか嬉しかった。
「リリー、これからも何かあった時はよろしく頼む」
!!
御子様は、まだ私が、『強力な加護を持つ聖女』、だということは知らない。
本当に『審神者の眼』をお持ちなら、話は別だが、御子様の様子を見るに、
気付いた様子は一切ない。(※蓮はエイローシスによって能力を封印されている)
家族以外で初めて、『強力な加護を持つ聖女』ではなく、‟リリー”という一人の人間として見てくれて、向き合ってくれて、あまつさえ、「何かあった時はよろしく頼む」とまで言ってくれた。
………レオニダスも、御子様のこういうところに懐いたのかもしれない。
幼少期の頃からレオニダスを見てきたが、レオニダスにこんな一面があったなんて、知らなかった……ううん、知りようも無かった。
『最高峰の加護』の称号を持つレオニダスは、私よりも、もっと、孤独で苦痛な日々を過ごしていて………誰にも心を開いていなかったから……。
同じ称号を持つ者同士、分かり合ったり、支え合ったり出来ると思ったんだけど、彼にとっては、私のその考えや感情すらも不要で、鬱陶しかったようだ。
それがすごく悲しくて、寂しかった。
今も尚、レオニダスに拒絶されて、手を叩き落され、傷ついている自分がいた。
―――でもすぐに、御子様が庇ってくれて、双方の顔を立てるようにフォローまでしてくださった!
安心感、敬意、信頼、……ううん、 もっと強い、
―― “憧憬”のような感覚。
でも、更に……
もっと深い……、
――感覚 。
それがどんなものなのか、今の私には、まだ分からない。
でも分かったことは――――、
御子様はとても尊敬できて、
信頼出来て、
――「せっかくの濡れた御子様の色気が、、」
この、なんかいろんな感情を拗らせまくって変態化した犬畜生から御守りしなければいけないという事です!!!!!
……御子様、貴方は初対面の私を、一人の人間として、信頼してくださいました。
この先、どんなことがあろうと、私は今日の御子様のお言葉とお心遣いを、決して忘れないでしょう。
きっと、どんなに辛いことがあっても、このことを思い出す。
そして、私も御子様を助けられる、一人の人間になりたい。
ですから、どうかこれからも、御傍でこのご恩返しをさせてください。
――――歩きながら庭園を眺めている御子様の横顔を見て、そう、強く、希った。
今後の勉強のために、ご意見や感想を頂けると大変助かります!




