黒歴史から繋がる縁、繋がる手、繋がる想い
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本っっっ当―――に、ありがとうございます!!!
「…………はあ、あの時の女性か……」
俺がそう呟くと、口を塞いでいた年上の女性の肩がビクリと震えた。
そして、恐る恐る上目遣いで俺を見る。
「覚えて……くれていたんですか?」
「まあ、流石に三回連続で先回りされて、遭遇を強要されればな」
「~~~~~!!」
女性は両手で顔を覆い、天を仰ぎ見、悶えている。
「レイア、よかったね!!」
「よくない!!ティアの天然もいい加減にして!」
「ええ~~~?3回先回りして2回無視されたけど、3回目はちゃんとお話しでき―――」
「ご本人の前で蒸し返さないで!!!!!」
顔を真っ赤にしながら必死にティアと呼んだ女性の口を塞ぐ。
少し涙目だ。……まあ、本人的には黒歴史蒸し返されて、俺達関係者一同(公然)の前で公開処刑されてるも同然だからな……。
「…ウウ……もう少し成長してからお会いしたかったのに……ボソッ」
……なるほど。あの時から成長はしているらしい。
レイアと呼ばれている女性が、改めてこちらに向き直る。
「………改めまして、あの時はご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。そして、寛大なる対応、ありがとうございました」
女性は頭を下げ、謝罪と御礼を口にした。
……! すごく成長している……。一体なにがあったんだ!?
「……随分変わったな。十分成長出来てると思う。人はなかなか変われないのに、凄いな。」
「!! ……っ!」
「わ~~~!!良かったねレイア~!何回も神殿に出戻っていろいろ―――」
「ご本人の前で余計な事言わなくていいから!!ティアもそういうところいい加減成長して!」
顔を真っ赤にしながら必死にティアと呼んだ女性の口を塞ぐ。
少し涙目だ。……感極まって泣きそうだった雰囲気が、赤っ恥かいて泣きそうな雰囲気にシチュエーションチェンジした。……流石だな。自然にシフトチェンジが出来る所はそのままらしい。
以前は、行き倒れ演出女性からホラー女優にジョブチェンジしていたからな……。一部レオの容赦のない除霊(攻め)が要因の一つでもあったが……。
「ここまで短期間に変われた(成長できた)ということは、それ相応の何かがあったのか?」
「えっ♡、レイアに興味を―――」
―――「!」
レイアの肩が跳ね上がる。
―――「!?」
リリーの肩が跳ね上がる。
―――「…………」
レオの眉間に皺が寄り、ゴミ屑を見る目に変わる。
―――「! ………っっ!!」
周りの反応を同時に目撃したミュロが笑いを堪える。
「持たれたので―――」
「いや、本人にというよりかは、短期間で成長できた理由に、だな」
―――!「(……分かってはいましたが、切るの早すぎじゃないですか御子様!)」
レイアの肩がガクリと下がる。
―――!「…………(ホッ)」
リリーが胸を撫でおろす。
―――「…………(流石御子様!今回の切れもキレの速さも絶妙な――(割愛)」
レオの脳内が御子様称讃論で溢れかえる。
―――!「……ぶはっ!!ダメだった!!ww 我慢できなかったww」
周りの反応を同時に目撃したミュロが笑いを堪えられず吹き出した。
「!?」
「ああ~!違う違う!お姉さんを笑ったんじゃないよ!!……でも、誤解させちゃって……ごめんね?」
ミュロが可愛く首を傾げながら、ウルウルと上目遣いで、ごめんねのジェスチャーをして、恐る恐る様子を伺っている。……流石ミュロ。今の見た目(ショタっ子)を活かし、あざとく、しっかり武器にして使いこなしている。
「!!……これが……昔の私……!……なるほど、確かにこれは御子様が言った通り年齢を超えた奴がやるとイタイ奴にブツブツ」
ミュロを見ながら、レイアと呼ばれている女性が何か呟いている。
「や~~~ん♡ やっぱりミュロ君可愛い~~~♡♡♡」
「! ミュロを知っているのか?」
「勿論ですぅ~♡」
「ラニス様、こちらは愛の神殿の女性神官です」
「!!」
レイアと呼ばれている女性が、レオに過剰に反応した。……トラウマになってそうな勢いだな。
そして、ティアと呼ばれている女性は神官だったのか。それで俺達4人のことが分かったのか。
「ラニス様というのですか?御――」
「いい加減にしろ鳥頭」
「!」
「ヒッ、」
レオがティアと呼ばれている女性の前に立つ。ただし、一般人には分からないくらいに調整された威圧を放っている。
「公衆の面前で御子様の正体がバレれば、どうなるのかも分からない脳みそなら、頭に入れといても意味が無いと思わないか?むしろ御子様を危険に晒す奴は生きてる価値さえ無い。意味も価値も無いなら消してしまった方が良いと思っているのだが」
「……申し訳ございません。以後気を付けますのでご容赦ください~……」
小さい声で話しているらしく、会話の内容は聞こえないが、すっかり小さく縮こまってしまった二人。レイアと呼ばれている女性は既に白目を剥きそうになっている。またホラー出演女優に返り咲いてしまいそうなほどの、あかんやつ状態の一歩手前だ。
話題を変えるか……。
「……二人は変装もマントもしている俺達が、どうやって分かったんだ?」
「!……まずは、こちらの子ですね~♡」
撫でようとして来たティアと呼ばれている女性の手を、ミュロが躱し、俺の後ろに隠れる。
「僕?あ、でもそうだよね~w子供連れとか、すぐバレるよね~wごめんねみんな~w」
俺にしがみ付きながら、詫びる気が無いであろう謝罪の言葉を発した。
「……こちらの御三方は、雰囲気や体のフォルムで何となく……」
「……ラニス様は……私はオーラのことはよく分かりませんが、纏っている空気?が他の人と違うので……」
「……俺を纏っている空気とは、どんな感じのものなんだ?」
「私たちはヘミコス山に行ってきたのですが、その澄み切った空気と、ラニス様は似ているので……」
そうなのか。
そしてヘミコス山に行ってきたのか。女性であの山の登山は結構大変だったと思う。
「……いろいろ頑張ったんだな。人の忠告を受け入れられるのは素直な証で、自分の欠点や弱さ、消してしまいたくなるような過去を受け入れられるのは強さと勇気がある証だ。それをポディティブに努力に変えられるのは不屈の証。……たくさんの長所、見つけられてよかったな。これからもたくさん見つけていってくれ」
「!! っ、はいっ!」
「わ~~~!!よかったねレイア!!」
「だからちょっと黙ってて!!感想の余韻に浸らせて!」
「レイアは―――」
パシィン!!
「また余計なこと言う前に、私たちはこれで失礼します!」
「さっさとそうしてください。むしろ遅いくらいです」
「!」
「ヒッ、」
……すっかりレオがトラウマになってしまったかな?
「じゃあな」
「あ!ラニス様!」
「…………」
「ヒッ、」
レオに、まあまあ、という目配せをすると、意図を汲んだレオが、頭を軽く下げ、俺の後ろにスッと退いた。
「なんだ?」
「! あ、あの、私は今、図書館の司書をしておりますので、何かお役に立てることがあれば、いつでもお声かけください!」
「! ああ、その時はよろしく頼む!」
「!! はいっっっ!!!」
「わ~~~!!よかっ――」
パシィン!!
「……あの二人のやり取り、だんだん、レオンお兄ちゃんの変態発言を切り流すラニスお兄ちゃん達のやり取りに似て来てるww」
「…………」
「あと、魔術道具店でも掛け持ちしておりますので、そちらでもどうぞよろしくお願いいたします!!では、また会いましょう!」
「~~~~~」
手を振って去っていく二人に、軽く手を挙げ見送った。
―――レイアとティアと蓮のやり取りを、ずっと静観していたリリー。
「……(何故だか少し……胸の奥が……)」
「…………大丈夫?リリスお姉ちゃん?」
「! あ、はい、大丈夫ですよ!」
「………無理も我慢も、しなくていいからね?」
「? はい、しませんよ!ありがとうございます」
「…………うん。じゃあ、ラニスお兄ちゃんの所に行こう!」
「え?」
「ラニスお兄ちゃ~~~ん!」
「うるさいぞ子豚」
「ヒドイやレオンお兄ちゃんw」
そんなやり取りをしながら、ミュロがさりげなく、御子様の隣になるように私の手を引く。
そして―――、
「はい!皆で仲良くお手手繋ぎましょう~♫」
私と御子様の手を強引に握らせる。
「!」
一気に顔に熱が走る。
御子様の手の感触。ぬくもり。
「…………」
胸の奥が、今度は熱くなる。
「!子豚―――」
「はいはい、皆で仲良くお手手繋ぎましょう~♫」
今度は御子様の腕を掴み、手をレオニダスの方に動かす。
パシッ!
案の条、瞬時に御子様の手を掴み取る。
「…………ミュロ」
御子様がミュロの意図を確かめるべく、声を掛けるけど、ミュロは
「仲良しアピールしておいた方が良いと思ってね!後々のいろんな事を考えた上でね☆」
と、ウィンクで軽く返すだけだった。
ミュロの茶目っ気ある仕掛けに、呆れつつも、誰も否定はしない。
後々の面倒を減らすための、彼なりの処世術であり、優しい配慮なのだと、みんな分かっているのだろう。
「……子豚め、確信的犯行、後で仕置きだ」
レオニダスの呟きに、ミュロが「自分だってラニスお兄ちゃんと手を繋いでるじゃ~んw」と楽しそうに笑いながら、私と手を繋ぐ。私の両手も塞がった。
「…………(暖かい)」
そんな賑やかなやり取りの中、私は密かに御子様と繋がれた手を眺める。
―――繋がれた手から伝わる、確かな感触と温もり。
大々的な英雄の凱旋でもない、ただの日常のワンシーンなのに、今の私にとっては、世界で一番特別で、贅沢な時間のように思えてしまう。
これからも、あなたが選ぶ未来の隣に、このまま私を居させてもらえますか?
―――なんて、そんなことは言えないけれど、
私達4人は、繋いだ手の熱をそっと分け合うように並んで歩いて行く。
見上げた街の青空は美しく、見守るように空にいる太陽は、私たちの少し歪で、けれど絆の様に繋がった影を、何処までも照らし続けていた。
今後の勉強のために、ご意見や感想、評価やレビューを頂けると大変助かります!
これからも、蓮達を応援してくださると嬉しいです。




