決着!~聖女が暴露する決着の裏舞台と変態従者の幼少期~
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ドドドドドドドドドドドドド
筋肉ゴリラが、可愛さ余って憎さ百倍といった感じで向かって来る。
だが蓮は――微動だにしない。
静かな水面の様に落ちついており、冷静に相手を観察している。
静かに呼吸を整え、そしてどんどん氣を研ぎ澄ましていく。
その瞬間、蓮の周囲の空気が変わる。
レオが息を呑むほどの“氣の跳ね上がり”。
「御子ーーー! 俺のものになれーーー!!」
「断る。ついでに教えてやる」
両手を構えると、筋肉ゴリラが両手で蓮の手首を掴む、瞬間――
蓮は、自分の肩の力を抜き、ほんの指先ほど重心をずらした。それだけで、相手の力が空を切る。
次の瞬間。筋肉ゴリラの左手首を内側に捻り上げ、右手首を外側に捻り下げて、
相手の肩の力を抜かせ、前進力をそのまま円に乗せる。
蓮の動きは、まるで水が流れるように滑らかだった。
「しなやかな筋肉の前に、硬いだけの筋肉は無力だ」
「ぐっ……!?」
筋肉ゴリラの重心が浮いた。
――蓮はその“浮いた瞬間”を逃さない。
ここで通常なら〖合気道:天地投げ〗だが、筋肉ダルマが俺に向かって来た時の勢いが凄まじいので、
その勢いを利用し、足裏で地面を軽く押し、腰を中心に円を描くように回転させ――
遠心力を乗せて、投げる。
バシャーーーーーーーーーン
投げ飛ばした先は用水路だったので、豪快に水しぶきが飛び、虹が出た。
「……返事は返したぞ。物理でもな。」
いろんな意味で、ごめんなさいだ。
「……派手にいったな」
濡れた髪をかき上げる。
「!!・・・・・パチパチパチパチ✨(拍手)」
目を輝かせて拍手喝采するリリー。
「御子様!お見ご――」
「お見事です!!御子様!私、感銘を受け、私も御子様の技もナニもかもを、この身に深く叩きつけていただ――」
「(スルー)リリー、大丈夫か?」
「! はい!大丈夫です!ありがとうございます!」
筋肉ゴリラは受け身を失敗したのか落ち所や打ちどころが悪かったのか、気絶したまま用水路にプカ~っと浮いていた。
その様子を見て、疑問が浮かんだ俺の質疑に、レオが応答した。
「?……沈まないな。 通常は脂肪は水に浮き、筋肉は沈むはずなんだが……?」
「頭の中身が空(空気)なので、浮くのでしょう」
「ここで失踪中の脳みそに救われるとは皮肉な話だな」
そのまま浮かせておくのも可哀想かと思ったが、引き上げてる最中に意識が戻ってまた襲われるのも面倒だし、自分の行いによる自業自得な部分もあるので、そのままにしておくことにする。(塩対応)
求愛は自由。そこまでの情熱と、行動を起こせる勇気も素晴らしいと思う。
だが、相手の意思を無視した時点で、それはただの迷惑行為になる。
……気づける時が来るといいな。
「・・神殿に着いたら回収を頼めばいいだろう」
「(……〝乙女のメンタルケア″も必要かしら………)」
「はい、あの肉塊の生ごみを投棄(物理)したところで、誰も咎める者などおりません」
おりませんのか、、、。なんだか、少し哀れになってくるな。
その時丁度、レオが倒した群衆を運び終わった神官達が来ていたので、(……若干チャラそうな神官が一名居た様な気もするが)、事情を説明して、後を任せることにした。哀れな不法投棄物にならなくて良かった。
「・・・レオは耳や体は大丈夫なのか?」
「御子様が私の心配を!?」
「そりゃするだろ普通」
「(……ああ、この無自覚な慈愛。この方の御傍に居られるのなら、全てを捧げても構わない……)私、感激のあまりな――」
「大丈夫そうだな。じゃ、行くか(塩対応)」
こうしてまた、何事も無く神殿に向って歩き出す。
「・・・・・」
――――聖女様は見た――――
今は何事も無かったかのような流れだが、ガルヴァンドラが御子様に突撃して来るとき、この犬畜生は静かに距離を詰めていた。二人の視界に入らない死角の位置に。
そして、ガルヴァンドラが御子様の両手首を掴んだ時、暗器を手に用意し構えた。
ガルヴァンドラが御子様の手首を掴んだまま両腕を広げ、そのままの勢いで胸に飛び込んで(抱擁して)いたら、きっとこの犬畜生はガルヴァンドラを仕留めていたに違いない。
この犬畜生はいろいろ異常だが、能力値は桁外れに異常だった。何においても他の者が足元にも及ばない程優れていることを自分でも知っているため、犬畜生は何者にも靡かない。
そんな犬畜生を、傲慢と妬むものも居れば、憧憬や恋慕の眼差しを向ける者など様々だったが、本人は何を言われても一切、誰にも何にも興味を持たなかった。
犬畜生、、レオニダスは、幼少期の頃うちの神殿に預けられて来た。その時にはもう、歪んでしまっていた。
幼くても容姿や能力値が圧倒的に優れていたため、近づく者は多く、きっといろんな人間の本質を垣間見てきたのだろう。すっかり心を閉ざしてしまっていた。
私とは歳も近く、心配して声を掛けるも、彼が私に目を向けることは無かった。その悲しさは、だんだんどうしようもない怒りに変わっていった。
レオニダスのこれまでの境遇や心情も理解できるが、もう少し頼ってくれてもいいのに、信用してくれてもいいのに、という寂しさと葛藤にも悩んだ。「何でもっと頼ってくれないの!?」。つい言ってしまった、その言葉も思いも、彼には届かなかった。
それが今は、主と仰げる御子様に出会い、異様な執着を見せている。きっと、自分の境遇と似て非なる何かを感じ取ったのだろう。レオニダスはようやく光を見つけ、色褪せた世界から色づいた世界になったのだと思う。
そんな大切にお護りしている御子様に何かしようものなら、この犬畜生は容赦しないだろう。
しかし、いかんせん。変態なのである。何でこうなってしまったのか……。
きっと、あまりに完璧すぎて孤独だった男が、初めて見つけた光の御子様に対して、愛の種類の混沌化と出力調整を間違えて変態化したのだろう……。(私調べ)
御子様に心酔しているので、御子様が嫌がる事はしないだろうが、信用しきれないのが変態である。
『私が変態の魔の手から御子様を御守りしなければ・・!』
人知れず改めてそう思っていた聖女様なのであった。
――――――――――――
神殿に向って少し歩いていると、何かが聞こえてきた。
「~~~~~~~~~~~」
「?」
その何かはだんだん近くなってくる。
「~~#~~~~~♭~~~~」
「・・・・・」
「・・・・・」
リリーが何だか気まずそうな顔をしている。
「・・・あれほどお辞めなさいと言っておいたのに、、、(ボソッ)」
「?」
ようやく神殿に着いて、はっきり聞こえてきた。
「~~♩♩♪♬♩~♩♩~♩♪♬♩~」
「......歌?」
「......うぅ......申し訳ございません御子様......」
神殿に着いたけど、まだ扉の外だ。扉の外なのに大合唱のようなモノが大きくはっきり聞こえている。あくまで大合唱、のような、モ・ノだ。
音程が壊滅的にズレているのか、それとも歌詞が呪文のように狂っているのか。扉越しに伝わってくるの
は、音楽というより、集団的な狂気の振動だった。
「......はぁ~......ゆっくり静かに一息付けるようになるのは、まだまだ先になりそうだな」
読んでいただき、ありがとうございます!この狂った世界で懸命に頑張る主人公(蓮)を、是非応援してあげてください(笑)。主人公(蓮)の今後の行方が気になる方は是非ブックマークを!(笑) 蓮の周りが益々騒がしくなってくるので(いろんな意味で)、楽しみにしていてください。




