元冒険者の実力~ミュロの正体~
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「御子ーーー!!ここかーーー!?」
バアアアンッッ!!
片っ端から扉をぶち開け始めるガルヴァンドラ。
そこへ―――、
「フフッ、おじさん、勝手に開たらダメだよ」
「!」
「それ以前に、勝手にここに入ってきたら、メッ!だよw」
現れたのは、元冒険者のミュロだった。今の見た目は、完全に可愛い6歳くらいのショタっ子だが、本人は、むしろそれをノリノリで楽しんでいる。
「おじさんではない!………迷子か?」
厳つい見た目とガタイだが、性根は繊細で心優しい乙男なので、ミュロを心配するも、
「迷子はおじさんの方……違うな、もう不法侵入している不審者おじさんだ!w」
と、見事なまでに温度差のある返り討ちにあい、繊細で心優しい乙男の心には早くも―50のダメージが入った。
「不審者おじさんではない!………教会に預けられた子か?」
「そう!御子様と聖女様、二人の元に預けられたの!」
「御子の元に!?なら、俺も御子と一緒にお前の面倒を見てやろう!」
「なんでそうなるの!?w(聖女様の存在何処にいっちゃったの!?w やっぱり脳みそ行方不明なのかな?w) 」
ミュロのツッコミに不思議そうに答えるガルヴァンドラ。
「? これから御子の元で一緒に過ごす事になるのだから、当たり前だろう」
「なんでもう既に、養子を引き取る正妻(押しかけ女房)ポジ目線になってるの!?w」
「? よく分からんが、俺はもう既に、御子のものだからな!!」
「やばっww」
ケタケタと笑っているミュロを見て、何故笑っているのか理解できないが、まあ子供はこんなものだろうと傍観している脳筋ガルヴァンドラ。
「……あのね、御子様と聖女様は、とっても仲が良いんだよ!」
と、言いながら、ミュロの脳内で、『とっても仲が良いのは私とであって、メス豚聖女様が出る幕など無いわ子豚めっ!』と言っているレオがカットインした。
「本当のパパとママみたい―――」
「!」
ミュロの、夫婦発言に驚いたガルヴァンドラだったが、それ以上に、
「―――!!」
《《得体の知れない何か》》の気配で一瞬背筋が寒くなり、驚いたミュロ。
「……レオニダス様怖っww」
しかし、直後―――、
ガルヴァンドラの発言にも驚いた。
「……なら、その聖女様とやらより、俺の方に懐けば問題無いな?」
「……えっ、あの、ちょっ……」
両腕を広げ、ズンズン近づいて来るガルヴァンドラ。
「……さあ!!俺で遊べぇぇぇーーー!!!」
「やばあっ!!!ww」
厳つい見た目の筋肉ゴリラが、6歳の可愛いショタっ子に迫り行く。傍から見れば、人攫いか、変質者にしか見えないだろう。中身は乙男なのだが。
「聖女様と御子様(とレオニダス様)だけで間に合ってます~!w」
ミュロが短い棒杖を取り出し、空気を撫でるように、棒先を手慣れた職人技のように滑らせていくと、術式が次々と金色に浮かび上がり、特定の場所ごとに流れ行き、幾何学模様に近い形になっていく。
その間にミュロの目の前まで来ていたガルヴァンドラだったが、
―――「!?」
ミュロが、いつの間にか棒杖を棍に変換させていて、
鳩尾へ叩き込んだ一撃で、ガルヴァンドラの身体が浮く。
鍛え直した筋肉のお陰で、直撃には耐えられた。
―――が、飛んだ。
そして、次の瞬間――、
「!!」
いつの間にか赤い糸がガルヴァンドラに絡みついていて、ガルヴァンドラの体を引っ張り始めた。これが先程のミュロの術式だったらしい。
「ふふっ、愛の迷宮で御子様を引きずりこんだり、指に絡みついたままだった呪縛の赤い糸、参考にして応用してみたんだけど、成功したみたいだね、良かった♪」
―――ミュロは、凄腕冒険者の他に、〖術式技師(術師の上位互換)・エネルギー変換師〗の最年少マスターでもあった。
「こんなもの……!?」
「抵抗すると絞まるから、大人しく引っ張られるまま身を任せた方が良いよ!行先は"愛の迷宮”だけどw」
「なに!?」
「御子様が言ってたんだよ、おじさんに『迷宮で亡くなった人達の浄化をしに行く、神官の人達の護衛を任せたい』って」
「!」
「御子様のお願い、無下にするの?w」
「!!」
ガルヴァンドラは抵抗を止め、大人しく赤い糸に引っ張られるまま、迷宮に行くことにしたようだ。
「御子にすぐ戻ると伝えておいてくれ!」
「戻らなくても大丈夫だよ!w」
「!?」
「その赤い糸の先には、おじさんの運命の人が待ってるかもしれないからね~!ww」
「! 俺は―――」
笑顔で大きく手を振ってバイバイしているミュロに向って、ガルヴァンドラが何か言いかけたようだったが、最後まで言い切る前に吸い込まれて行った。
「任務完了!」
ビシッと敬礼ポーズを取るミュロ。
「あ、神官さん達を救護室に運ばないと!反重力のエネルギー術式と、重量変換の術式を同時に組み込んで―――」
ミュロの周りの空間が、黄金に輝き、金色の記号、模様、マーク、術式、様々なものが飛び交い、周波数ごとに振動で波うち、エネルギーが流れ、やがて形を形成していく。
エネルギーの流れでミュロの髪が靡き、光の粒子をまとったミュロも輝いて見え、その姿はまさに、神から祝福を受けた神童そのものに見えるだろう。
―――神官達が次々と浮き上がり、一人の幼子によって運ばれて行く、シュールで異様な光景。
しかし、本人は至って何でもない事のように運んでいた。
「そうだ、聖女様達にも報告しないとね!」
こうして、このミュロの活躍はすぐ広まり、第二の人生が華々しく始まるのであった。
……もちろん、御子様ご一行周辺が静かになるはずもなく……、
むしろここからが本番だった―――。
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