因果の清算④
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――――暗転。
「……っ、は……っ……!」
エイローシスは、荒い息を吐きながら目を開けた。
視界が揺れる。 頭は割れそうに痛い。 額には、まだ因果の矢が深々と刺さったまま。
だが、周囲の空気が――先ほどまでとは違っていた。
湿気がない。 温泉の湯気もない。 畳の匂いもない。
代わりに――
甘い香り。 花の香り。 そして……妙にロマンチックなBGM。
「……え、ここ……どこ……?」
ゆっくりと上体を起こす。
白い建物。色とりどりの花々。赤いバージンロード。
そこは――
巨大なチャペルだった。
『最終確定ルート♡ 【愛のゴールイン♡♡♡】 結婚式ヲ開始シマス♡』
白いバージンロード。 天井から降り注ぐ花びら。 左右には、顔のない参列者たちや、牛型のギミックがズラリと並び、 全員がエイローシスを凝視している。
「いやあああああああああああああああああああああああ!!!???」
エイローシスの絶叫がチャペルに響き渡る。
ズシン……ズシン……ズシン……
バージンロードの奥から、 2.5メートルの巨躯の「彼女」が、 純白のウェディングドレスを着て歩いてくる。
「ブフォォォォォォ……♡」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいや!!! なんでウェディングドレス似合ってるの!? ていうかサイズどうなってんの!? 」
そして、神父役のギミック(顔無し)が登場した。
顔は無いが、どことなく、アードニスに似ている。
『誓イノ言葉♡ “病メル時モ、健ヤカナル時モ、 乙女ヲ愛シ、乙女ヲ護リ、乙女ノ全テヲ受ケ入レルコトヲ、誓イ、マシタ♡”』
「!? 誓ってないよ!!これからも誓わないよ!!誓うわけないでしょ!!?」
『誓イマシタ♡』
「誓ってないってば!!誓ってない!!怖い怖い怖い勝手に捏造して進めないで!!?」
すると、神父役のギミックは、サッと、紙を見せてきた。
――婚姻届け――
「!? はあ~~~!? ボクの拇印押されてる!! あっ!気絶してた時に勝手に僕の指に朱肉付けて押したの!? もうそれ結婚詐欺じゃん!!!」
『誓イマシタ♡』
「誓ってないってば!!なにこのループ!!本気で怖い!!!そしてこれは犯罪だからね!!!」
『愛ガ、アレバ、大丈夫♡』
「最初から微塵も無いよ!!!」
巨躯の「彼女」が、 嬉しそうに両腕を広げながら近づいてくる。
「ブフォォォォォォォォ♡♡♡」
「ひぃぃぃ来ないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
エイローシスは全力で後ずさるが、 背中が何かにぶつかった。
振り返ると――
神父役のギミック(顔無し)が立っていた。
「いつの間に!?」
『指輪、交換♡』
「指輪!?僕持ってないし、交換する気もないよ! どのみち「彼女」の指、太すぎて入らないから、物理的に無理だよ!?あっ!物理的にホールドするのヤメテ!!(トラウマ含む)」
『指輪、交換♡』
「無理だし、嫌…痛ぁぁぁぁぁ僕の関節が未知の角度に~~~!!!」
そして、巨躯の「彼女」が、既に指輪が填められている手(?)で、 エイローシスの手を掴んで捕まえる。
バキッ
「ぎゃあ! 骨折れたぁぁぁ!!!?」
そして、エイローシスの指にも、リングが填められた。
「いやああああ!!……取れない!!?えっ、これ、束縛リング!?」
『デハ、愛ノ誓イノ、キスヲ♡』
「キス!?無理無理無理無理無理無理無理!!! 」
巨躯の「彼女」の顔(?)が、 どんどん迫ってくる。
「そもそも、プロガミア(1日目 神々への捧げものと誓い)も、ガモス(2日目 婚礼と披露宴)も、エパウリア(親族からの贈り物)もやってないじゃん~!!」
『宗派ガ、違ウノデ、必要アリマセン♡』
「いやいやいや、僕、この世界の愛の神だよ!!」
『アナタガ、古今東西、集メタ、恋愛イベント、デス♡』
「!!! 僕の因果深すぎる~~~!!!!!」
そして巨躯の「彼女」は、エイローシスを抱き寄せ――
めきょっ
背骨と肋骨と内臓が、悲鳴を上げ、顔面も圧迫している。
「ブッ……ガハッ…!!」
『結婚、成立シマシタ♡ オメデトウゴザイマス♡♡♡』
「……………」
ドサッ
エイローシスは体から力が抜け、白目をむいて床に倒れ伏した。HP残数は、虫の息のようだ。
『次ハ新婚旅行デス♡ 逃ゲラレマセン♡』
「……………」
返事がない。屍のようだ。
巨躯の「彼女」が、 どこから取り出したのか、新婚旅行用の巨大トランク(二人分)を持って近づいてくる。
「ブフォォォォォォォォ~♫」
「(行かないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! 僕は行かないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!)」
心の中で叫ぶも、虫の息で声も出せないエイローシス。
『末永ク、オ幸セニ♡ 皆様、オ二人ニ、愛ノ祝福ト、新タナ門出ノ、送リ出シヲ♡』
ゴ~ン リゴ~ン
チャペルの鐘が響き渡る。
「……(詰んだ……オワタ……)……」
鐘の音を聞きながら、朦朧としていた意識が、次第に暗転していった――――。
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「「「あっはっはっはっはっはっは!!エイローシス結婚おめでとう~~~!!!(爆笑)」」」
――後日、エイローシスの元に、神々(連邦評議会含む)からの『(笑)』付きの祝辞や結婚祝い品が大量に寄せられるのであった。
今後の勉強のために、ご意見や感想、評価やレビューを頂けると大変助かります!
これからも、蓮達を応援してくださると嬉しいです。




