天界の炬燵で、日本の神々による因果応報鑑賞会①
──神代神社の本殿に繋がる、神聖な空間(神道)。
その奥にある大鳥居を潜った、更に奥の神宮殿で、大きな炬燵を囲んで、数尊の神々が液晶テレビのような神鏡しんきょうを覗き込んでいた。
「いや〜〜〜、実に見事な『お祓い』じゃったな! ウチの蓮の放った『金鵄・天照』、身内ながら惚れ惚れするほどの神威であったぞ!」
炬燵の来賓席でみかんを剥きながら、豪快に笑っているのは、神代家の遠い祖神である。
昔から神々たちは、謙虚で実力主義なこの神代家を、とても気に入っており、代々見守ってきているので、とても深い縁となっていた。今も、たまにこうして、神々たちから招待されている。
今回は、異世界に連れ去られてしまった子孫(蓮)を、心配する祖神(身内)へ、現状を共有するため、招待されていた。
「本当ですねえ。能力を封印されたあの不条理な地獄で、蓮の体の負担を心配しましたが……無事でよかったです」
「……研鑽で磨き続けている肉体と技術、知識を活かせる叡智を持った蓮だから乗り切れた」
「ほんに、ほんに!まったくあのエイローシスめ!ウチの子を何度も何度も命の危険に晒しやがって!」
「精神干渉にも、自力で精神の“自己統合”で跳ね返した……。さすがは私たちが目をかけている神代の子です!」
「だが、このままエイローシスを見過ごすわけにはいかねえ。俺は、きちんと警告してやったんだぜ?その結果が、コレだ」
「あ!あの時、誰が行くか公平にじゃんけんで決めてたのに、抜け駆けして勝手に蓮の岩戸から会いに(降臨して)行ったんだったね!ズルいですよ!ズルはダメ、絶対!!」
「うるせー、どうせ埒が明かなかっただろうよ」
「……連邦評議会を通して、既に抗議文は送ってあります。たんまりと。それはそれはもう、ウンザリするくらい、たんまりと」
「……うわっ、姉貴おっかねーな怒らせると……」
「……普段温厚な人ほど怒らせたらダメなんですよ。まあ、僕もこれから、たんまりと送る予定ですが」
「私もさっき神境見ながら、送信しましたよ。たんまりと」
「俺も。たんまりと」
「ここに居ない方達も、送ると思うよ。たんまりと」
「……神代家は、連邦評議会の中でも、ファンが居る。……隠れファンも居る。たんまりと」
「ははっ!、ホント、たんまり、だな!!」
――――後日、連邦評議会を通じて、それはそれは、何通にもわたる(たんまりな量の)丁寧な謝罪文と、エイローシスについての処罰が書かれた文が届いた。
ただでさえ、干渉禁止の法を破っており、その上で、能力を封印し、あまつさえ命の危険にまで晒したのだ。何度も。何度も。
そのうえ、当の本人は何をしているのか、助けるどころか放置している始末である。
当然あちら側からしたら、頭が上がらない状態である。
「…因果の清算をさせるそうだ。……まあ、少し甘いようにも思うが、妥当か?」
「……連邦評議会を通じて、アルゴウスの特別性モニターなるものが送られて来ました。後日、エイローシスが送られることになる、因果の世界を見ることが出来るそうです」
「おお!そん時は全員呼ぼう!酒の肴にしてやろうぜ!ははっ!」
――こうして、エイローシスの公開処刑とも呼べる、因果の生配信鑑賞会が決定したのだった。
――――――――
――『異界の御子、貴方の能力が使えるように、この謁見の間を、神聖な空間に変えてあげましょう!さあ、唱えなさい!』
「おお!始まるぞ!」
まずは神鏡で様子を見ていた神々と神代家祖神。
――『――――掛けまくも 畏き 天神地祇の御前に白さく この清き庭に 天地の光を 満たし給へ』
アルテミアが、愛の神殿(地)を神聖な光で満たし、
アポロニアが、エイローシスの神殿(天)を神聖な光で満たす。
「主に双生神のお二方が、ご協力してくださったのですね。後で、ネメスシス様も含めて、文を送りましょう」
――『………連邦評議会からの意向でもある』
『………えっ!!??』
『抗議文やら異議申し立てやら苦情やらが凄いことになっててな……』
「…みんな、たんまり送ってたからな(笑)」
「当然」
――『ええ~~~…………えっっっ!?……御子様ご一行!!てことは、地上の神殿!?』
――――『魂鎮め』
――『!しまった!また僕の……力が……』
「よしっ!さすがウチの子!先手必勝!抜かりなし!」
「今日もうちの子はキレッキレじゃのぉ~、良い良い」
――『……エイローシス、迷宮への素敵なご招待の、礼をしに来てやったぞ』
「……くぅ~~~っ!蓮、相変わらずカッコイイわね~~~!!!」
神々が、そこまで絶賛している神鏡の画面に、その蓮が、招待状付きの矢を引き絞っている姿がアップで映し出された。
「いっけ~~~!!ぶち込め~~~!!!」
蓮は、これまでの数え切れないほどの死線と理不尽な出来事を思い出し、……いろいろな思いを込めて……込めて込めて込めて……力の限り、限界まで、引き絞っていた。
「…神代の子が、こんなに感情を出すなんて…やっぱり、体はもちろん、心への負荷が相当だったようですね……」
「そりゃそうじゃ」
「そうだよな~。ますます、エイローシスがこの後どんな因果の清算になるのか、じっくり鑑賞してやろうぜ」
――パアアアアアアアンッッッ!!!
超速の矢がエイローシスの額に突き刺さった。
――『……よかったな、オシャレな落ち武者みたいになれて』
「ぶっwごほっw」
「ははは!」
「ウチの子、最高かよ!(笑)」
しゅるしゅるしゅる
招待状の封筒から、赤い糸が生き物のように飛び出し、エイローシスに絡まり付く。
――『! こ、これは……もしかして……!?』
『……俺からの"御返し"の"素敵なご招待"、楽しんできてくれ。……運命の赤い糸の相手も待ってるかもな。……頑張って合格(生還)、できるといいな』
『!!!』
赤い糸に引っ張られて、招待状の封筒に吸い込まれる。
『いやああああああああ……――――』
「ははは!いいぞ!いい気味だ!」
「いっけ~~~!!!」
「……(合掌)」
「あいつ、ウチの子で、食うか食われるか、男にオチるか女にオチるか、賭けしてたんだっけな。俺達も賭けるか?」
「とんでもない奴ですねホントに! じゃあ、生還で出来ずに因果の世界の‟運命の赤い糸の相手”に食われる方に賭ましょう」
「私も~(笑)」
「俺も」
「賭けになんね~ww」
バイバイしているアルテミアの横で、バイバイしながら敬礼のポーズを取っている元冒険者。
「アルテミア様、世話になった!ウチの子のサポート、御礼申し上げる!」
「……ショタっ子ウケるw」
「はは!ノリいいな(笑)」
更にその横で、餞別の祈りを捧げているリリー、
「良い子ね」
「可愛い」
「俗に言う「お嫁さんにしたいタイプ」ってか?」
「セクハラ、有罪」
「何でだよ!」
「……誰もエイローシスを庇護しないのがウケる」
更にその横で、蓮の姿を隈なく網膜に焼き付けながら、密かに狂ったようにスケッチ&念写しているレオ。
「ぶはっw」
「あの従者は何をしておるのじゃ(笑)まあ、うちの子は素晴らしいから、描きたくなる気持ちは分かるがのぉ~(笑)」
「どんな時でもブレませんね(笑)」
「蓮にあそこまで心酔してたら、我々としても、あの子の好感度上がるよねww」
「個人的にもあの変態プレイしてる奴、面白いから興味あるww」
「どんなに変態的発言や行動で試そうと、ウチの子は普通に接するからな、嬉しくて仕方ないんだろ」
「……まあ、あの子の場合、ウチの子が構ってくれるなら何でも良さそうですけどね(笑)」
「……かわいい」
そして、蓮達は、レオの御子様シリーズ集の話になった。
――『……また〔御子様・大全集〕とか――』
『それは違います!それは〔御子様・美の全集〕〔御子様・武の全集〕に続き、〔御子様・オーラ全集〕〔御子様・――(割愛)』
「だっはっはっは!!なんだそれー!(笑) スゲー気になる~~!(爆笑)」
「……確かに。ウチの子のことを網羅してそうな書、読んでみたい」
「私も!見て見たい!(笑)」
「俺も俺も!」
「私も、是非、拝読させていただきたいですね」
「儂が一番読んでみたいわい!」
――『どんな時でも通常運転wしかも、やばさがやばっww』
『あ、でも『御子様・美の全集』の第12章にも即メモリアップ――!『御子様・武の全集』にも――(割愛)』
『やばっw』
「「「 やばっw (褒め) 」」」
「これは、是非とも見せてもらいたいね(笑)」
――そのすぐ後、女神アルテミアから通信が入り、後に、レオニダスからの報告書という名の御子様全集、御子様大全、御子様画像集、御子様画集などのコピーが送られてくるのであった。
そして―――、
『エントリーヲ受ケ付ケマシタ♡ドウゾ先ニ、オ進ミクダサイ♡』
エイローシスの、因果の世界での、"因果の清算"が始まった――――。




